野中誠太選手がもてぎ大会を制覇、富士大会第2戦から4連勝で勇往邁進!

レポート レース

2021年7月26日

7月17~18日にツインリンクもてぎで開催されたFIA-F4選手権は、併催のスーパーGT同様、鈴鹿大会の延期によって2か月半のブランクが開き、ドライバーたちは久々のレースとなった。このレースウィークに関東地方は梅雨明けしたことから、雨の心配がまったくなくなり、むしろ厳しい暑さを相手とする戦いとなった。

2021 FIA-F4選手権 第5戦/第6戦/第7戦
(2021 SUPER GT Round4内)

開催日:2021年7月16~18日
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)
主催:株式会社モビリティランド、M.O.S.C.、株式会社GTアソシエイション

 第3戦と第4戦の鈴鹿大会が延期になったことで、実質3~5戦目となるもてぎ大会は、今季初の3レース開催となった。予選でレース1のグリッドをベストタイムで決め、レース2のグリッドをセカンドベストタイムで決定し、レース3のグリッドはレース1中のベストタイム順となるのは従来どおりである。

 土曜日早朝に行われた予選は30分間の計測ながら、大方の勝負は中盤までに決していた。開始時は雲に覆われて若干温度は低めだったが、時間の経過とともに上昇し続けていたのと、20分ほど経過したところで赤旗中断があったからだ。再開後の上位陣でタイムアップした者はおらず、むしろピットでステイしたままのドライバーの方が多かったほど。

 そんな中、トップタイムを記録したのは伊東黎明選手。2番手で続いた野中誠太選手がセカンドベストタイムではトップだったことから、ふたりとも初めてのポールポジションを分け合うこととなった。

 「温度が練習より低くなった分、タイムも上向きました。ポテンシャルがあった分、ダブルポールが獲れなかったのは少し残念でした」と伊東選手が語れば、野中選手は「けっこうミスが多かった中でのタイムだったので、実際はベストタイムもまだまだ上がるような感じでした」と。勢いはどちらにあるのか、決勝に注目が集まった。

インディペンデントカップ13台を含めて計34台がエントリーしたもてぎ大会。気温30度超えの灼熱下でのレースとなった。

 レース1こと第5戦で、伊東選手と野中選手に続くグリッドに並んだのは、第1戦のウィナー木村偉織選手とチームメイトの太田格之進選手、そしてルーキー最上位につけた松澤亮佑選手だった。このあたりのドライバーが、簡単にフロントローのふたりを逃がしてくれるはずがない。だが、スタートが切られると、少々予想外の展開となった。

 伊東選手がスタートに出遅れ、野中選手が1コーナーへのホールショットに成功。伊東選手はなんとか2番手には留まった一方で、オープニングラップのうちに上位の順位が動く。4コーナーでは太田選手が木村選手をかわし、130Rでは予選8番手だった、小出峻選手が松澤選手を抜いて5番手に浮上。その5台でトップグループ形成かと思われたものの、3周目からは野中選手がひとり逃げ出す格好となる。

 それでも2番手争いはなおも激しく続き、やがて加わった荒川麟選手に勢い十分。10周目に一台、最終ラップにも一台かわして4位でゴールすることとなった。チェッカーを受けた時、野中選手は2位の伊東選手にさえ、6秒の差をつけていた。

 「富士の2番手スタートと同じ景色だったので、イメージどおりというか。路面温度が高くて、タイヤが貼りついているような、いつもとちょっと違うようなスタートだったんですが、それもイメージどおりに決められたので、これはのちのレースにも自信持っていけると思います」と野中選手、まずは2連勝。

 一方、「練習の段階から野中選手たちはユーズド(タイヤ)になったら速くて、それに比べて僕らの落ち幅が多いという不安があって、それが結果に表れてしまったので、頑張って修正していけたら」と伊東選手は、敗因をそう分析していた。

野中誠太選手(TGR-DC RSトムススピリットF4)が第5戦で優勝した。
第5戦の表彰式。左から2位の伊東黎明選手、1位の野中選手、3位の太田格之進選手。
鳥羽豊選手(HELM MOTORSPORTS F110)が第5戦インディペンデントカップで優勝した。
第5戦インディペンデントカップの表彰式。左から2位のHIROBON選手、1位の鳥羽選手、3位の齋藤真紀雄選手

 第6戦では初のポールスタートもそつなく決めて、いきなり逃げの構えに出た野中選手ではあったが、90度コーナーでのアクシデントによって、わずか1周だけだが、セーフティカー(SC)が導入されてしまう。しかし、リスタート後もまた逃げていった野中選手の前に、8周目からやはり1周だけSCが。そのつど差を詰められはしたが、何事もなかったかのように、さらりと逃げて3連勝を飾ることとなった。

 「どうせなら、もっとラップ稼いでよっていうのが、正直なところだったんですが(苦笑)、そこで集中力切らさないで、その後の1周をしっかりまとめて、後ろの選手とはギャップをつくることができので、そこは今後のレースにつながってくる自信かな、と思っています。去年、やっぱり苦しいレースが多かった分、メンタル的にもおかげさまで強化されているんでしょうね」と野中選手。

 その一方で後方でのバトルは、第5戦以上の激しさを見せていた。まずスタート直後の1コーナーで3番グリッドの木村選手が、伊東選手をパス。2度目のSC直前に伊東選手が抜き返すも、完璧なリスタートで木村選手が再度前へ。そのまま逃げた木村選手とは対照的に、伊東選手はV字コーナーで荒川選手にかわされ、連続で表彰台に立つことを許してくれなかった。

 一方、インディペンデントカップでは今季初参戦の鳥羽豊選手が2連勝。第5戦、第6戦ともに同クラスのドライバーを、一歩も寄せつけなかった。

 「最初のレースは少し守りに入っちゃったんですが、一度勝ったことで少し気も楽になって、もっと攻めて走れるようになりました。若手ドライバーとバトルもできて、これからもああいう接戦をしていきたいですね」と鳥羽選手。

野中選手(TGR-DC RSトムススピリットF4)が第6戦で優勝した。
第6戦の表彰式。左から2位の木村偉織選手、1位の野中選手、3位の荒川麟選手。
鳥羽選手(HELM MOTORSPORTS F110)が第6戦インディペンデントカップで優勝した。
第6戦インディペンデントカップの表彰式。左から2位のHIROBON選手、1位の鳥羽選手、3位の佐藤セルゲイビッチ選手。

 そして日曜日に行われた第7戦は、第5戦のベストラップ順にグリッドが決められ、ポールは野中選手、2番手は太田選手、そして3番手が荒川選手。さらに4番手には伊東選手を従えて、清水英志郎選手がつけていた。

 好スタートを切った太田選手に、1コーナーの進入で並びかけられた野中選手だったが、逆転されるまでには至らず。そのまま早い段階で後続を離して一騎討ち状態に持ち込むも、次第に野中選手と太田選手の差も広がっていった。

 その後方では荒川選手、清水選手、さらに奥住慈英選手も加え、チームメイト同士で激しいバトルが繰り広げられる。誰より手の内を知り尽くしている相手とあって、リスキーな攻めこそ見られなかったが、このレースのハイライトのひとつともなっていた。

 第7戦でも野中選手が逃げ切りを果たして4連勝。「太田選手の方がタイヤの状態は良かったので、最初のうちにとにかく逃げることを意識して。昨日と同様に、自分との戦いをしているような感じでした。次回の鈴鹿は、彼らホンダ勢の本拠地なので、また調子は上げてくると思いますし、僕らも一切油断はできないと思います。でも、本当に1回勝つと自信になるなっていうのは、この週末を通じて感じ取ることができたので、この気持ちを良い意味で保ち続けていきたいと思います」と野中選手は語っていた。

 そしてインディペンデントカップでは、鳥羽選手の3連勝ならず。勝ったのは第2戦のウィナーHIROBON選手だった。クラストップからスタートを切り、終盤になって鳥羽選手が背後まで迫るも、辛くも逃げ切り成功。実は1週間前の十勝でN-ONEオーナーズカップに出場するも、転倒していた。「まだ身体が痛くて、特に腰が。あんまり踏めへんのですよ、調子悪すぎて」とHIROBON選手。翌週にはスポーツランドSUGOのTCRジャパンを控えているようだ。

野中選手(TGR-DC RSトムススピリットF4)が第7戦も制して3連勝となった。
第7戦の表彰式。左から2位の太田選手、1位の野中選手、3位の荒川選手。
HIROBON選手(Rn-sports Andare)が第7戦インディペンデントカップで優勝した。
第7戦インディペンデントカップの表彰式。左から2位の鳥羽選手、1位のHIROBON選手、3位の仲尾恵史選手。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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