毎戦ウィナーが入れ替わる全日本/ジュニアカート選手権西地域。タイトル争いは混戦の予感!?

レポート カート

2021年6月1日

全日本カート選手権FS-125部門/FP-3部門の西地域第3戦が三重県・鈴鹿サーキット国際南コースで開催され、FS-125部門では13歳の加藤大翔選手(HRS JAPAN)が、FP-3部門ではスポット参戦の高村宏弥選手(HIGUCHI RACING TEAM)が優勝。同時開催のジュニアカート選手権・西地域第3戦を含めた4つの部門すべてで、今シーズン3人目のウィナーが誕生する結果となった。

2021年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 西地域第3戦
2021年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 西地域第3戦

開催日:2021年5月22~23日
開催地:鈴鹿サーキット国際南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC

 早くも折り返し点を迎えた全日本カート選手権西地域(全5戦+東西統一競技会)の戦い。日本屈指の人気コースでの一戦とあって、両クラスともスポット参戦を含めて多くの参加が集まり、タイムトライアルはどちらもふたつのグループに分けて行われることとなった。

 さらに同時開催のOK部門第1戦・第2戦が36台ものエントリーを集め、予選のグループ分けとセカンドチャンスヒートが実施されたことで、1日半の会期で行われた公式走行セッションの総数は、ジュニア選手権の2部門を含めて36にも達している。

 過去2戦を10台以上も上回る28台がエントリーしたFS-125部門。決勝のスターティンググリッドは、ポールがルーキーの加藤選手、セカンドグリッドがこの部門2年目の卜部和久選手(TEAM EMATY)だ。

 22周の戦いがスタートすると、加藤選手が先頭をキープした一方で、卜部選手は6番手にポジションダウン。替わってスポット参戦の迫隆眞選手(ERS with SACCESS)が2番手に上がってきた。卜部選手はスタートミスを挽回して2周で3番手まで戻ったが、その時には前のふたりは1秒近くも前方へ逃げてしまっていた。レースはここから加藤選手と迫選手のマッチレースだ。

 全力で逃げる加藤選手と、追う迫選手。両者の間隔は0.4秒ほど。それが7周目に入ると約0.2秒に縮まったが、テール・トゥ・ノーズまで接近するには至らない。2台は微妙な距離を空けたままラップを重ね、息詰まる攻防を繰り広げていった。

 だが、レースが残り3分の1あたりに差し掛かると、トップ争いのギャップは0.5秒ほどに拡大し、その後もじわじわと開いていく。最終的に、ふたりの差は1秒以上に。しびれるような膠着戦を制したのは加藤選手だった。ウェットレースが続いた開幕2戦で、加藤選手は光る速さを披露しながらスピンに泣き、3位が最上位だった。それが今回、快晴の下で持ち前のスピードを遺憾なく発揮してついに初優勝へとたどり着き、ランキングも首位に浮上した。

 2位の迫選手は、「加藤選手の方がラップが安定していた」と優勝争いを振り返ったが、今回が全日本初レースで、加えてパロリン・シャシーでの実戦参加も2回目というデータの少ない状況を思えば、大健闘の一戦だったと言えよう。卜部選手は単独走行の3位フィニッシュで、自己最上位を3つ更新した。

「鈴鹿はレーシングスクールでずいぶん走っていて、勝たなきゃってプレッシャーもあったので、ゴールした時はそれから解放された気持ちになれてうれしかったです。この優勝がターニングポイントになったらいいですね」とコメントした優勝の加藤大翔選手。
FS-125部門の表彰式。左から2位の迫隆眞選手、1位の加藤選手、3位の卜部和久選手が登壇。

 FP-3部門も、今季最多を大きく更新する30台でのレースとなった。その決勝では、スポット参戦の高村選手と久富圭選手(Club Labo)がフル参戦組の脇万葉選手(TEAM EMATY)をはさむ形で先頭集団が形成され、3台によるトップ争いが静かに続いていった。レースが後半戦に入ると、そこに13番グリッドの中村海斗選手(Formula Blue Team Nagao)と10番グリッドの森岡真央選手(Ash)が追いつき、優勝争いはフル参戦組ふたりを加えて5台の戦いへと発展した。

 先頭集団の中でも、森岡選手と中村選手の動きはとりわけ活発で、積極的にバトルを仕掛けて2番手まで上がってくる。しかし、スタートから先頭の座を守り続けてきた高村選手は、決してそのポジションを譲らない。

 残り2周、ヘアピンで久富選手が森岡選手にアタックを仕掛けたことを発端に、2番手の位置をめぐるバトルがもつれた。ここでトップの高村選手は背後に0.5秒ほどのギャップを得ると、そのままゴールへと疾走、ホームコースで初勝利をつかみ取った。

 2位争いは森岡選手が制し、前戦ウィナーの中村選手が3位に。久富選手、脇選手に続く6位には、26番グリッドから怒涛の20台抜きを演じた渡邊雅人選手(NEXT-ONE Racing)が入賞した。

鈴鹿選手権などで腕を磨く高村宏弥選手は「このコースは自分にとってホームなので、アウェイの選手たちには負けられないって意地がありました。先頭を走り続けることを心がけました。ゴールした時はめっちゃうれしかったです」と全日本初優勝を喜んだ。
FP-3部門の表彰式。左から2位の森岡真央選手、1位の高村選手、3位の中村海斗選手が登壇。

 同時開催のジュニアカート選手権・西地域第3戦。8台が出走したFP-Jr部門では、3台一丸のホットなトップ争いから、終盤戦に入ってポールの箕浦稜己選手(BirelART West)が抜け出し初優勝。2位の松土稟選手(LIFE・ROAD RACING with Ash)と3位の松本琉輝斗選手(チームナガオ)は、わずか0.086秒差でのフィニッシュだった。

 今季最多の14台が出走したFP-Jr Cadets部門の決勝では、4台一丸の優勝争いが展開。先頭で最終ラップを迎えた酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)は、ヘアピンで澤田賢征選手(Eiwa Racing service)に逆転を許すが、最終コーナーの攻防で辛くもトップに返り咲き、西地域で待望の1勝目を獲得した。澤田選手は0.071秒差の2位。スポット参戦の藤村太郎選手(ハラダカートクラブ)が、澤田龍征選手(Eiwa Racing service)に0.015秒先着して3位となった。

「勝ててうれしいです。決勝は落ち着いて走れたけれど、ちょっと後ろを気にしてしまったところはダメでした。クルマの仕上がりはいつもどおりよかったです。次も優勝できるよう、冷静にレースをしたいです」と、ポールスタートの箕浦稜己選手が優勝した。
FP-Jr部門の表彰式。左から2位の松土稟選手、1位の箕浦選手、3位の松本琉輝斗選手が登壇。
走り慣れた鈴鹿での勝利にうれしさがこみあげる酒井龍太郎選手。「勝てるコースでしっかり勝ててうれしいです。最終ラップの抜かれ方はよくなかったけれど、抜き返すことができてよかったです。次から全部勝ってチャンピオンになりたいです」と抱負を語った。
FP-Jr Cadets部門の表彰式。左から2位の澤田賢征選手、1位の酒井選手、3位の藤村太郎選手が登壇。

フォト/JAPANKART、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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