近畿地区戦が開幕!激戦区PN1は、驚速のタイムを叩き出した小野圭一ロードスターが制す

レポート ジムカーナ

2021年4月14日

4月4日、奈良・名阪スポーツランドで今年のJAF近畿ジムカーナ選手権が開幕した。

2021年JAF近畿ジムカーナ選手権第2戦
2021年JMRC近畿ジムカーナチャンピオンシリーズ第2戦
2021年全国オールスター選抜第2戦
DIREZZA CUP Gymkhana

開催日:2021年4月4日
開催場所:名阪スポーツランドCコース(奈良県山添村)
主催:LAZY W.S

 2021年のJAF近畿ジムカーナ選手権は当初、3月第1週に開幕を迎える予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、やむなく中止を決断。1か月後に第2戦として組まれていた今回の一戦が、事実上の開幕戦となった。

 当日は降水確率が高く、ウェットコンディションが確実視されたため、1本目勝負を見込んで、各選手、第1ヒートから果敢な走りを見せたが、結果的には雨は第2ヒートの中盤から本格的に降り出す形となった。このため、前半の5つのクラスは2本のタイムが拮抗し、2PD、BR1、BR2、BR3の4クラスは第2ヒートのタイムが優勝タイムとなった。

 また今回はコースレイアウトも話題を呼んだ。名阪スポーツランドCコースは、全日本ジムカーナ選手権などではタイヤが暖まっていないスタート直後に、敢えて低速のセクションを持ってくる例が過去多かったが、今回も、非常に低速で抜けるスラロームが、いきなり待ち受ける設定が採られた。このセクションは再び外周から逆向きに入る設定も採られ、今回はここが一番の勝負所となる、という声が多かった。

 今季から新設定されたBR1クラスは、4台のエントリーがあった。1,582cc以下のB車両を対象としたクラスだが、使用できるタイヤに制限があり、いわゆる通称Sタイヤでの出走は認められていない。第1ヒートは昨年のJMRC近畿ミドルシリーズGT1500クラスのチャンピオンである川那辺学選手のカプチーノが、1分34秒286をマークして首位で折り返したが、第2ヒートに入ると廣瀬成章選手のコペンが、0.24秒、暫定ベストを更新する。

 「2本目は雨乞いしてたんですけど(笑)、タイムを更新されて火がつきました」という川那辺選手は、すかさず1分33秒台に叩き込んで再逆転。記念すべき新設クラスの初戦を制した。「序盤のスラロームは2本目もギアで悩みましたが、結果的には選んだギアで正解だったと思います。ワンミスが大きく響く、ヒリヒリする設定だったけど、楽しかったです」と川那辺選手。K CAR対決を制し、ホッとした表情を見せた。

 一方、4つに分かれたPNクラスは、PN1クラスが出走16台と最多のエントリーを数えた。うち15台はND5RCロードスターだ。このクラスが始まるまでに、暫定の総合ベストをマークしていたのは、1週間前の全日本ジムカーナで優勝したZC33SスイフトのAT車で2PDクラスにエントリーした織田拓也選手。そのタイム、1分27秒337を0.8秒上回ったのは、クラス2番目に走った小野圭一選手のロードスターだった。

 後続の藤田哲也選手が、小野選手と同じく1分26秒台にタイムを入れるも、痛恨のパイロンタッチ。その後も、結果的に今回の2WD車のベスト、総合でも2番手をマークすることになる、この1分26秒537というタイムを脅かすドライバーは最後まで現れず、近畿地区戦のデビュー戦でスーパーベストを叩き出した小野選手が堂々の優勝を飾った。

 北海道出身の小野選手は2018年から就職で愛知県に移り、主に中部地区を中心に活動している25歳。学生時代から、スズキ・キャリイで、ジムカーナ、ラリー、ダートラなど様々なモータースポーツに参戦。地元では、そのアグレッシブな走りで注目を集めた。2018年に名阪で開催された全日本ジムカーナ選手権でも、選手権外のクラスにキャリイでスポット参戦している。昨年からND5RCロードスターに乗り換えて、今年から本格参戦を開始した。

 「走り好きな父がずっとFR車に乗っていたので、モータースポーツやるなら“リア掻き”しかないと思ってました(笑)。学生時代はお金がなかったので軽トラしか選択がなくて(笑)。今は、予算のこともありますが、ともかくPN1クラスで戦いたいので、ロードスターを選択しました」とのこと。しかし同じくデビュー戦となった3月の中部地区戦の開幕戦でも、あわや優勝を飾るかというスピードを見せ、注目を集めていた。

 今回の一戦については、「最初のスラロームが思った通り、難しかったですね。2本目はサイドを引いてみましたけどクルマを動かせなくて。1本目もうまく振り返しを使えなかったので、どっちもうまく見極めができませんでした」と納得していない様子。「今年はともかく沢山、大会に出て経験を積みたいので、メインは中部地区戦ですけど、近畿地区戦も、できる限りは出たいと思います」と意欲を見せた。

 一方、他地区同様、86/BRZ勢とロードスターRF勢が拮抗した戦いを見せているPN3クラスも、参加10台と今回、2番目の激戦区となった。まず近畿を代表するRWDスラローマーである陰地哲雄選手のロードスターRFが1分29秒816をマークして暫定トップに立つが、後続の選手は1分30秒の壁を破ることができない。しかしラスト2台になった所で、先に走った福永隆一選手のロードスターRFが1分28秒202と大きくタイムを詰めて首位に。注目の最終走者、86の石塚誠選手は、86/BRZ勢のトップに立つも、やはり30秒の壁を越えられず、3位に留まった。

 「先に走ったPN1の人達が結構、ミスっていたので、特に前半は慎重に行こうと思ってスタートしました」という福永選手。「結果、余裕を持ちすぎて、置きに行く走りになってしまったので、まだまだ行けたのかなとは思います。ただ得意ではないターンがなかったことと(笑)、新品のタイヤで行ったことはタイムに繋がったと思います。何より、今まで一度も勝てたことがなかった陰地さんに初めて勝てたのは、自信になりそうです」と幸先の良い1勝に笑顔を見せていた。

名阪スポーツランド入場時には検温が行われたほか、受付時には、問診票の提出が求められる等、行き届いた感染対策が採られた。
2PDクラスは1週間前の全日本ジムカーナで優勝を飾った織田拓也選手1台のみの出走となったが、FF総合2番手となる好タイムをマークした。
新設のBR1クラスは最終走者の川那辺学選手が2本ともベストの走りを見せて優勝。
BR1クラス表彰の各選手。
BR2クラスは第1ヒート2位だった寺谷正樹選手が逆転勝ちを収めた。
BR2クラス表彰の各選手。
RWD車対象のBR3クラスは間瀬戸勇樹選手が快勝。
BR3クラス表彰の各選手。
BR4クラスは第1ヒートを僅差で制した山下和実選手が逃げ切って優勝。
BR4クラス表彰の各選手。
Lクラスは辰巳知佳選手が第1ヒートで大差をつけて優勝を飾った。
Lクラス表彰の各選手。
PN1クラス表彰の各選手。優勝は小野圭一選手。
PN2クラスは元全日本チャンピオンの喜多治人選手が貫録勝ち。「1本目はミスコースとパイロンタッチだけは絶対しないように走って、まぁ無難な線ですかねぇ(笑)。最初の設定は今までのCコースではなかった設定だったけど、やっぱりブレーキがキモだったかな。PN1の小野君の抜け方が良かったと思うけど、スイフトでは真似できないので、FFの抜け方を意識して走りました。今年のオフは凄く練習したので、それが報われたんだと思いますけど、同じスイフトの織田君には勝ちたかったなぁ(笑)」と喜多選手。
PN2クラス表彰の各選手。
ロードスターRF勢が1-2を決めたPN3クラスは福永隆一選手が優勝。
PN3クラス表彰の各選手。
PN4クラスは近畿のランエボマイスター、小玉知司選手がライバルを0.3秒凌いで優勝。
PN4クラス表彰の各選手。
今回も接戦となったSB1クラスは、よこ山弘之選手が優勝。
SB1クラス表彰の各選手。
SB2クラスは島田昌典選手がライバルを寄せ付けず、優勝。
SB2クラス表彰の各選手。
DC2インテグラ2台が激しいトップ争いを演じたSB3クラスは前田忍選手が僅差で優勝。雨を得意とする選手だが、ドライの走りで逃げ切った。「先週の雨のミドルシリーズにも出て、ウェットセットは確認できていたので、今日も雨が降る前提のセットで行ったんですが、タイヤ選択を誤ってしまって、特に前半は不甲斐なかったですね。一瞬、あきらめかけたんですけど、まぁ、勝てば官軍、ということで(笑)。今年はオフの間に駆動系等も変えて、今までの集大成とも言えるDC2インテグラで走れると思っているので、地区戦はもちろん、全日本でもいい所を狙っていきたいですね」。
SB3クラス表彰の各選手。
SB4クラスは、第一人者の辰巳浩之選手がきっちりとオーバーオールウィンを決めた。
SB4クラス表彰の各選手。
今回のコース図。スタート直後のスラロームが大きな勝負所となった。
当日は雨が予報されていたが、第2ヒートの中盤近くまでは天気は持ち応え、前半の複数のクラスでは両ヒートともドライ路面での勝負となった。

レポート&フォト/JAFスポーツ編集部

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