JAF中部ジムカーナ選手権が1年ぶりに開催。安仲慶祐BRZが悲願の地区戦初優勝達成!

レポート ジムカーナ

2021年3月30日

2021年の中部地区のJAF地方ジムカーナ選手権が3月14日、愛知県のキョウセイドライバーランドで開幕した。

2021年JAF中部ジムカーナ選手権第1戦
2021年JMRC中部ジムカーナ選手権第1戦
2021年JMRC全国オールスター選抜第1戦
M-I FIRST ATTACK 2021

開催日:2021年3月14日
開催場所:キョウセイドライバーランド(愛知県岡崎市)
主催:M-I

 昨年のJAF中部ジムカーナ選手権は、3月に開幕戦が開催されたが、その後は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、中止が相次ぎ、結果的には第1戦のみが行われた形となり、選手権は不成立を余儀なくされてしまった。

 そのため、今回は実に1年ぶりの地区戦開催となる。今年の中部地区は初戦と第2戦がキョウセイで行われた後は、奥伊吹、鈴鹿国際南、美浜と続き、その後は2戦連続で北陸イオックスアローザが舞台になる。最終戦は再び東海地区に戻って幸田サーキットで開催というスケジュールだ。

 シリーズ8戦を6つもの会場で戦うため、ドライバーの総合力が問われる一年になりそうだが、奥伊吹、イオックスとフルパイロンジムカーナが3戦組まれているのも、シリーズの行方を大きく左右するポイントになるかもしれない。今回の一戦には地区戦の再開を待ち焦がれた90台のエントラントが集った。

 9台が参加したRPN1クラスは、昨年のJMRC中部東海シリーズで2度目のチャンピオンを決めた須貝圭司選手が、第1ヒートの3位から逆転を決め、地区戦初優勝を飾った。キョウセイがホームコースの須貝選手は、「冬場にここを走り込んだのがやっぱり大きかったですね。セッティングも色々試したんですが、全部ダメで(笑)。結局、元に戻したんですが、シリーズが始まる前に決め込むことができて良かったと思います」とひとこと。「走り慣れているコースでも、今日は難しいコースでした。勝負所のターンがマグレで決まったのが良かったと思います」と勝因を振り返っていた。

 BRZを駆ったPN3クラスの安仲慶祐選手も、須貝選手同様、逆転で待望の地区戦初優勝を達成した。「キョウセイはホームコースですが、今までなかったような設定で難しかったですね」という安仲選手はMR2からBRZに乗り継いだRWDスラローマーの一人。「1本めにミスしたターンをしっかり決められたのが勝因ですね。タイム的にも納得できる走りでした」と振り返った。そして「ギアの使い方で迷いましたが、周りの選手の方々に聞いた通りに走ったら、正解でした」と、貴重なアドバイスをくれたライバル選手へ感謝しきりだった。

 一方、PN1クラスでは、クラスファーストゼッケンで走った今年から地区戦に本格参戦する小野圭一選手が快走を見せた。第1ヒートではボンネットが完全に締まらない状態で走ったため、ノータイムに終わったが、第2ヒートでは、山本泰寛選手が第1ヒートでマークした暫定ベストをいきなり0.4秒更新する1分22秒699をマーク。このタイムは最終ゼッケンの山本選手の前まで破られることはなく、首位をキープし続けたが、最後は山本選手が0.1秒凌いで逆転。幸先の良いスタートを切ることに成功した。

 シードゼッケンの意地を見せた形となった山本選手だが、「正直、小野選手のタイムは焦りました」と、かなりプレッシャーはかかった様子だ。「2本目は21秒台を狙うつもりで行かないと勝てないと思ってスタートしたんですが、最後のターンに行く手前に大失敗して、それまでのマージンを吐き出してしまった。最後のパイロンは、もう強引に回しました」と薄氷の勝利を振り返った。

 中部地区が誇る全日本のトップドライバーの一人、森嶋昭時選手と同じチームに所属する山本選手だが、今年は森嶋選手が全日本ラリーに出場するため、ジムカーナはお休みする予定。「そのためチームの筆頭として皆を引っ張らないといけない立場になったので、どうしても今日は勝ちたかったんです」と、もうひとつ別の重圧も跳ねのけての勝利に、ホッとした表情を見せていた。

 全国的にもハイレベルなDC2インテグラ同士の激戦が続いているSA2クラスは、ベテランの隅田敏昭選手が2ヒートともベストの快走を見せて優勝した。「前の人達の走りを見ていたら、何かグリップしていない感じがあったので、リアタイヤを極力滑らせないように、入口はゆっくり入って立ち上がりで加速を乗せる走りで行ったのが結果的には良かったみたいですね。ただタイム的には20秒5を狙っていたので、21秒を切れなかったのは、ちょっと…」と、前半を抑え過ぎた走りを悔やんでいた。

 昨年の秋、シリーズが終わった後、キョウセイの練習会を走った際に、同じDC2インテグラを乗るドライバー同士でタイムトライアルを行ったという隅田選手。「キョウセイを走ったことのなかった関東の若手の某全日本チャンピオンにぶっちぎられたのも悔しかったけど、ミスも重ねたんで、最下位だったんですよ。だから今年は一年かけて、その時負けた仲間にリベンジしようと決めたんです(笑)。今日だけで6人、リベンジ達成したんで、後は全日本でやっつけます(笑)」と、新たな目標が定まった一年の戦いに意欲を漲らせていた。

会場では入場者全員に検温が行われたほか、マスク着用の徹底など万全な感染対策が図られた。
表彰式もソーシャルディスタンスが図られ、選手は壇上に置かれたメダルと賞品を自分で手に取る形となったほか、肘タッチでお互いを称え合っていた。
RPN1クラスを制した須貝圭司は地区戦初優勝を達成。
RPN1クラス表彰の各選手。
RPN2クラスでは柏木良文選手が第2ヒートで大きくタイムを上げて快勝。
RPN2クラス表彰の各選手。
4WD対象のRPN3クラスとPN4クラスは参加1台のため、残念ながら不成立となったが、ヤリスを持ち込んだ伊達陽一郎選手(左)と、杉本季優選手(右)がそれぞれ完走を果たした。
PN1クラスは山本泰寛選手がシードゼッケンの貫録を見せて初戦を制した。
PN1クラス表彰の各選手。
PN2クラスは全日本にも参戦する土手啓二朗選手が快勝した。
PN2クラス表彰の各選手。
PN3クラス表彰の各選手。第2ヒートで快心の走りを見せた安仲慶祐選手が地区戦初優勝を達成した。
少数精鋭の戦いとなったSA1クラスは酒井昭選手が逆転勝ちを収めた。
SA1クラス表彰の各選手。
15台のDC2インテグラが競ったSA2クラスは隅田敏昭選手がライバルを抑え込んで優勝。
SA2クラス表彰の各選手。
SA3クラスでは全日本ドライバーの安部洋一選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
SA3クラス表彰の各選手。
SA4クラスは第1ヒートでは3位だった西田哲弘選手が逆転で優勝。
SA4クラス表彰の各選手。
SCクラスは全日本ドライバーの桃井守選手が順当勝ち。
SCクラス表彰の各選手。
Dクラスでは五十嵐豊光選手が、第1ヒートのミスコースを払拭する走りで優勝。
Dクラス表彰の各選手。
キョウセイは、平日は企業・団体等を対象とした運転教習の場として使われているコースをジムカーナにも使用するJAF公認のスピード競技コース。かつては全日本ジムカーナ選手権も開催されてきた中部地区を代表するコースだ。
当日のコース図。キョウセイを走り慣れたドライバー達をも唸らせた、ひとクセもふたクセもあるコース設定となった。ある優勝ドライバーは「ミスを引き出しやすいコース」と評していた。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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