レーシングカートに新機軸! 大会毎にタイヤ銘柄がワンメイク指定されるOKチャンプが開幕!!

レポート カート

2021年3月24日

話題満載の新しいカートレースシリーズ「OKチャンプ」が3月14日、三重県・鈴鹿サーキット国際南コースで産声を上げた。エクスジェルをタイトルスポンサーとして開催されるOKチャンプはその名のとおり、全日本カート選手権の最高峰でもあるOK部門の車両規定で行われる。JAFカート車両規定の最高峰部門のシリーズ戦が、全日本以外で行われるのは久しぶりのことだ。

エクスジェルOKチャンプシリーズ第1戦・第2戦
(2021鈴鹿選手権シリーズ第1戦 KART RACE in SUZUKA内)

開催日:2021年3月14日
開催地:鈴鹿サーキット国際南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC

 2021年から開催のOKチャンプはシリーズ戦で1大会2レース制を採用し、全3大会・6戦で設定。すべての大会が鈴鹿選手権シリーズ KART RACE in SUZUKAとの併催で実施される。各大会は公式予選(タイムトライアル)5分間→決勝第1レース20周→決勝第2レース20周で進行。タイムトライアルの結果で決勝第1レースのスターティンググリッドが、決勝第1レースのベストタイム順で決勝第2レースのスターティンググリッドが決まる。

 参加資格はJAF国内A以上または国際Cリストリクティッドドライバーライセンスの所持者で、当該年度14歳以上。エントリーは基本的に年間登録制なのだが、1大会のみのスポット参戦(賞典外)も可能だ。

 何よりユニークなのは、タイヤのレギュレーション。レースは1大会1セットのワンメイクタイヤで行われるのだが、3つの大会それぞれのサプライヤーを、全日本OK部門に参入している3社のタイヤメーカー(ブリヂストン/ダンロップ/ヨコハマ)が順に受け持つのだ。

 各メーカーから参加者に支給されるタイヤは、非市販のスペシャルタイヤを使用する全日本OK部門と異なり、国際カート委員会(CIK)公認の市販ハイグリップタイヤで、スリックのプライム(ソフト)タイプだ。

 注目の開幕戦(ブリヂストン大会)には20名のドライバーが参加。うち13名が年間登録選手だ。エントリーリストを見ると、全日本OK王者の渡会太一選手(DragoCORSE × LOGI)をはじめ、全日本FS-125部門出身のニューエイジ、海外参戦帰りの元ジュニア王者、全日本未経験の新鋭……と非常に幅広く、豪華な顔ぶれがそろっている。

本大会ではレギュラー&スポット参戦合わせて20名の選手がエントリー。各カテゴリーで腕を鳴らしたツワモノぞろいとなっている。
同日開催の鈴鹿選手権とは別に、ドライバーズブリーフィングは独自に行われ、選手たちは真剣に耳を傾けていた。

各選手の参加意図も、またそれぞれだ。

■渡会太一選手(わたらいたいち/16歳/DragoCORSE × LOGI)全日本カート選手権OK部門2020年チャンピオン

「去年の全日本チャンピオンとして参加してみないか、というお誘いをDrago CORSEさんからいただいて出場することになりました。全日本よりは、かなり楽な気持ちで走れています。将来、全日本のOK部門を目指すドライバーにとっては、いい経験を積めるレースだと思います。大会ごとにタイヤが替わるのも、すごく面白いですね」

■山越ヒユウ選手(やまこしひゆう/14歳/ガレージC)全日本カート選手権FS-125部門2020年シリーズ2位

「今年は全日本OK部門に出るので、その練習の機会としてここに参加しました。OK仕様のカートはFS-125部門より速くてわくわくする部分がたくさんあるし、タイヤのグリップが高いので、今まで以上に攻められることもあって、楽しいです」

■梅垣清選手(うめがききよし/13歳/ガレージC)2020年鈴鹿選手権FS-125/X30クラス参戦

「自分に足りない部分を勉強する場として、このレースに参加することにしました。車速が速くて最初はなかなか慣れなかったけれど、やっと慣れてきました。目標にしている選手も参加しているので、しっかり戦えるように頑張ります」

 このシリーズ戦を企画・立案し運営するのは、ホビー指向のスポーツカート耐久「MASTERS 4STROKE」やスカラシップレースの「EXGEL NEXT CUP」といった、誰もやっていないユニークなカートイベントを続々とプロデュースしている有限会社ケーアールピー。その代表を務める河本卓也氏は、OKチャンプをスタートさせた意図をこう語る。

「全日本のOK部門は、タイヤの要素が大きいレースじゃないですか。誰が本当に速いのか分かるように、ヨーロッパのOKクラスと同じワンメイクのタイヤでレースをやりたかったんです。次を狙う若者にチャンスを与えるレースができないか、ということで、参加年齢も全日本より下げました」

「タイヤメーカー3社を 口説いて協力を取りつけるのは、大変でした。1年かかりましたね。最初のレースにこれだけ多くのエントリーが集まったのには、びっくりしました。選手たちには自分の力の限界に挑戦する、モノのせいにしないレースを期待したいですね」

2020年11月に新東京サーキットで開催された女性だけのカート大会「MadonnaKART」も手掛けたKRPの河本卓也氏。今年も新東京と神戸スポーツサーキットで開催される。
本番で使用するタイヤは抽選制だ。今回はブリヂストンのCIK公認プライムスペックが指定タイヤとなった。

 各界に幅広いコネクションを持つKRPのプロデュースとあって、賞典も豊富だ。各レースの優勝者にはEXGEL賞として賞金5万円、そのエントラントにも賞金5万円、タイムトライアル1位のドライバーにもamsc賞として賞金5万円、シリーズの上位3名には20万円/10万円/5万円を授与。また、KART REPUBLICシャシー/Drago CORSEシャシー/Triple K製品の各ユーザーの最上位となった選手には賞金1万円が授与される上、その他の副賞も多々用意されている。

 さらなる目玉となりそうな賞典が、タイヤメーカー3社主催テストの参加権だ。これはテスト参加希望者の中で最上位になった選手が対象なのだが、従来タイヤメーカーのテストへの参加は、限られたドライバーのみに許されること。プロドライバー志向の若手ドライバーたちにとって、これは将来につながる貴重な経験となるはずだ。

 ドライバーたちに与えられるのは、形あるものだけではない。この第1戦/第2戦は“TOM'S DAY”と銘打って、伊藤大輔氏が視察に来場。将来有望と判断された選手には、後日TOM'SとKRPが話し合って、将来につながる何がしかのチャンスを与えることが計画されている。同様に第3戦/第4戦ではオートバックスとレッドブルが、第5戦/第6戦ではニッサン系の企業が、このシリーズへの協力を予定しているとのことだ。

 こうして若手の将来につながる企画が多数盛り込まれている一方で、OKチャンプはシニア世代の参加も歓迎。最低重量を148kgと全日本OK部門より3kg重く設定し、レースでは35歳以上対象のジェントルマン賞も用意されている。

OKチャンプにエントリーした選手に、レースにかける意気込みを尋ねる伊藤大輔氏。また将来有望な選手を探すべく、実際の走りにも熱い視線を送っていた。
レースごとにさまざまな賞典が用意されているのもOKチャンプの特徴だ。中でもタイヤテストの参加権が得られるタイヤメーカー賞が目玉となっている。

 注目のレースが始まると、まずタイムトライアルで、全日本OKドライバーの野村勇斗選手(Ash)が2番手に0.2秒以上の差をつけるトップタイムをマーク。これで勢いに乗った野村選手は、第1戦、第2戦とも圧倒的な独走を演じて2連勝を遂げ、山ほど賞品を抱えてサーキットを後にすることとなった。

 また、2位は両レースとも鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)。3位は第1戦が洞地遼大選手(K.SPEED WIN)、第2戦が奥住慈英選手(Triple-K)だった。

 今後の大会スケジュールは、第3戦/第4戦が6月27日にダンロップ・タイヤのワンメイクで、第5戦/第6戦が8月15日にヨコハマ・タイヤのワンメイクで、今回と同じ鈴鹿南コースを舞台に開催予定だ。なお、6月27日の“ダンロップ大会”では福住仁嶺選手、笹原右京選手、大湯都史樹選手の参戦が決定している。

2019年の全日本カート選手権FS-125部門チャンピオンでもあり、2020年からは全日本カート選手権OK部門に参戦する野村勇斗選手が第1戦で優勝を飾った。
2020年は全日本カート選手権FS-125部門東地域で激しいバトルを展開した鈴木斗輝哉選手と洞地遼大選手がそれぞれ2位と3位入賞を果たした。
第1戦の表彰式。左から2位の鈴木選手、1位の野村選手、3位の洞地選手が登壇。
第2戦も優勝した野村選手は「2レースとも独走で優勝できて本当にうれしいです。全日本でもこの調子で勝てるといいなと思います」と語った。
2戦連続の2位は鈴木選手。奥住慈英選手が3位に食い込んだ。
第2戦の表彰式。左から2位の鈴木選手、1位の野村選手、3位の奥住選手が登壇。
次回は6月27日、鈴鹿サーキット国際南コースで開催される。注目は福住仁嶺選手、笹原右京選手、大湯都史樹選手の、プロドライバーたちの参戦だ。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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