JAF中国ダートトライアル選手権が開幕。注目のAEクラスは赤羽政幸選手のアクアが制す!

レポート ダートトライアル

2021年3月19日

3月7日、全国屈指の高速コース、テクニックステージタカタで、今年の中国地区のJAF地方ダートトライアル選手権が開幕した。

2021年JAF中国ダートトライアル選手権第1戦
2021年JMRC中国ダートトライアルチャンピオンシリーズ第1戦
2021年JMRC全国オールスター選抜第1戦
クルマスターカップ CCNエキサイトダート

開催日:2021年3月7日
開催場所:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:CCN

 昨年はコロナ禍の中、4戦が開催され、シリーズが成立したJAF中国ダートトライアル選手権。2021年の開幕戦となる「クルマスターカップCCNエキサイトダート」は3月7日、当初の日程通りに無事、開催され、新たな年のシリーズが始まった。

 会場は同選手権の主戦場であるテクニックステージタカタ。今年はここで6戦、山口の楠ハイランドパークで2戦が行われる全8戦のシリーズとなる。今回の開幕戦では62台のエントラントが8つのクラスに分かれて戦ったが、今回最大のトピックは、AEクラスが4台のエントリーが集まり、選手権が初戦から成立する運びになったことだろう。

 JAFの定めるAE車両は電気モーター、または電気モーターとエンジンを併用して動力とする、保安基準に適合した車両を指す。中国地区戦では2014年からAEクラスを設定しているが、現在は、気筒容積1500cc以下でモーター出力50kw以下の2ペダルの2輪駆動車でなおかつ、エンジンを始動せずモーターだけの動力で自力走行できるAE車両 という規定が採用されている。助手席のシート交換はできるが、LSD、別タンク式又は車高調整式 サスペンションの装着は不可とされている。

 今回参加した車両はすべてトヨタ・アクアだった。地元の中国地区では計時の第一人者として知られる小野守選手のほか、全日本ラリーの一戦、ツール・ド九州in唐津の主催者でラリードライバーの七田定明選手は、同じクラブの井口和彦選手とダブルエントリーしてきた。そして翌週の全日本ダートトライアル選手権開幕戦にもアクアでエントリーしている全日本ダートラのトップドライバー、赤羽政幸選手は関東から参戦した。

 AE車両は他地区ではほとんど小排気量のガソリンエンジン車等を対象としたクラスに組み込まれているため、AE車両のみが競う形としている中国地区のこのクラスは、高い関心を集めているようだ。注目の結果は、第1ヒートでは赤羽選手が井口選手を2秒差で従えてトップで折り返したが、第2ヒートでは七田選手が大きくタイムを上げて赤羽選手の第1ヒートのベストタイムを塗り替える。しかし最後は赤羽選手が意地を見せて0.7秒差で再逆転し、記念すべき初戦のウィナーとなった。

 昨年、TGRラリーチャレンジに2戦出場したアクアを持ち込んだ赤羽選手は、「来週の全日本を前に、ダートラでのアクアの動きを確認したかったので参戦しました。動きがいいし、意外と楽しいクルマです。ここはランサーで何回も走りましたけど、アクアの場合は余裕を持ってラインを選べるし、コーナーではスピードを殺さないように小さいラインで回らないとタイムが出ないなど、ランサーではできなかった走りができるので(笑)、楽しいですよ」とアクアの魅力を語ってくれた。

 他のクラスに目を移すと、参加14台と今回一番の激戦区となったSA1クラスは意外な結末を迎えることになった。第1ヒートは昨年のチャンピオン、コルトを駆る松岡修司選手が1分56秒15を叩き出してトップに立ち、1秒遅れて川本圭祐選手のインテグラが続く展開となるが、第2ヒートに入っても各選手、タイムアップはするも、松岡選手のタイムを超えることはできず、膠着状態が続いた。

 そんな中、SAX車両のインテグラを駆る藤本慎太郎選手がようやく53秒台に入れて暫定首位に立つが、川本選手がさらに52秒台までタイムを上げて首位を奪回。最終走者の松岡選手の走りを待った。しかし松岡選手はマシントラブルのために、ゴールチェッカーを受けることは叶わず。川本選手が逃げ切って幸先の良いスタートを切った。

 川本選手と言えばラリーでも地区戦チャンピオンを獲った中国地区期待の若手だが、ここ数年はダートラに専念している。「今日は松岡さんのリタイヤのおかげで勝てた“不戦勝”ですから、まだまだですね。今日も1本目は、ラリーのクセが抜けない、温(ぬる)い走りになってしまいました」と本人は反省の弁。「それでも2本目は、“これではいけない”と、イチかバチかの走りをしたので、それが報われたことは良しとしたいです。次からは今回の走りを平常心でやれるように頑張ります」とタイトル奪還へ意欲を見せた。

 SA1クラスに続く激戦区となったNS1クラスでは今季から車両を変更した西田ツカサ選手が、勝負のかかった第2ヒートで快走を見せ、第1ヒートの5番手から大逆転で優勝。ただ一人、1分43秒台にタイムを叩き入れてオーバーオールウィンも達成した。

「ACDのあるランサーに乗るのは初めてなので1本目は動きに戸惑いましたが、2本目の前に、全日本ドライバーの川崎(勝己)さんにACDの使い方のアドバイスを受けて走ったら、何とかうまく走れました。足回りもこのままの仕様で行けそうなので、後はやはりACDに慣れれば結果はついてくるのかなと思います」と西田選手。昨年も開幕戦は制したものの、僅か1ポイント差でチャンピオンの座を逸しただけに、今年はリベンジを誓っていた。

中国地区戦の開幕戦は全国屈指の高速コース、テクニックステージタカタが舞台となった。
PN1+クラスは近畿から遠征の全日本ドライバー、藤原祐一郎選手が0.06秒差で昨年のチャンピオン、山谷隆義選手を下して優勝。
PN1+クラス1〜3位入賞の各選手。
PN1+クラス4〜5位入賞の各選手。
N1+クラスは第1ヒートで2位だった恩田淳選手が逆転で優勝。
N1+クラス1〜4位入賞の各選手。
AEクラス1〜3位入賞の各選手。
AEクラス2位にはJAF九州ラリー選手権にも参戦するアクアを駆った七田定明選手が入賞した。
14台が集ったSA1クラスでは川本圭祐選手が初戦を制した。
SA1クラス1〜3位入賞の各選手。
SA1クラス4〜8位入賞の各選手。
毎回、激戦が演じられているSCD1クラスは重松良輔選手が昨年に続いて開幕戦を制した。「クルマをリフレッシュしてコーナーでの安定感が増すなど、動きが良くなったのが勝因です。今年こそチャンピオンを狙いたいですね」。
SCD1クラス1〜5位入賞の各選手。
RWDクラスは臼井幹夫選手が優勝し、タイトル防衛に向けて好スタートを切った。
RWDクラス1〜3位入賞の各選手。
NS1クラスでは西田ツカサ選手が逆転で“NEWマシン”のデビューウィンを飾った。
NS1クラス1〜3位入賞の各選手。
NS1クラス4〜6位入賞の各選手。
SCD2クラスは0.02秒という僅差で西元直行選手を下した織田一昭選手が優勝をさらった。
SCD2クラス1〜5位入賞の各選手。
今回の大会では競技会終了後にAE車両に関する講習会が行われた。会では、JMRC中国の要請により、JAF中国本部ロードサービス部が講師役を務め、競技中にAE車両がアクシデントに見舞われた状況を想定して、AE車両ならびにその乗員をレスキューする際の注意点に関するレクチャーが行われた。
今回のコース図。今年の初戦ということで、まずは“肩慣らし”の意味合いの強い、アベレージスピードは控えめのコース設定となった。パイロンの180度ターンがひとつの勝負所になったようだ。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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