2021鈴鹿クラブマンレースが開幕! JAF鈴鹿・岡山ツーリングカー選手権は西尾和早選手がFIT 1.5チャレンジ初勝利!!

レポート レース サーキットトライアル

2021年3月9日

三重県の鈴鹿サーキットで開催されている伝統の鈴鹿クラブマンレースの2021年シーズンが開幕した。当日は曇り空ながらもドライコンディションに恵まれ、JAF地方選手権として行われるF4選手権、鈴鹿S-FJ選手権、鈴鹿・岡山ツーリングカー選手権も開幕した。

2021鈴鹿クラブマンレースRound1
JAFフォーミュラ4選手権第1戦/JAF鈴鹿スーパーFJ選手権第1戦/JAF鈴鹿・岡山ツーリングカー選手権第1戦

開催日:2021年2月28日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:チーム淀、SMSC

 鈴鹿サーキットの2021年最初のレース、鈴鹿クラブマンレースRound1が2月28日に行われた。シリーズは全7戦での開催が予定され、初めて全戦でフルコースが舞台となる。今大会には3つのJAF地方選手権がかけられており、フォーミュラ4選手権が開幕し、鈴鹿スーパーFJ選手権と鈴鹿・岡山ツーリングカー選手権もそれぞれ開幕することになった。

 鈴鹿・岡山ツーリングカー選手権は、もてぎ・菅生ツーリングカー選手権と同様に、FIT 1.5チャレンジカップにJAF地方選手権がかけられる形で開催されている。鈴鹿・岡山選手権の開幕戦である鈴鹿サーキットのFIT 1.5チャレンジカップ開幕戦では、西尾和早選手が初めてのポールポジションを獲得した。「一発でタイムを出せましたし、自分の力は120%発揮できました。決勝はスタートが苦手なので、それさえ上手くいったら、そのまま逃げたいと思います」と西尾選手。これにコンマ009秒差で岡田拓二選手が続いていた。

 今大会の最終レースとして行われたFIT 1.5チャレンジカップ。夕闇迫る中で行われたスタートでは、フロントローの二人が同時のタイミングで動くも、岡田選手が痛恨のシフトミスを喫した。そのため1コーナーには3台並んで飛び込む形になり、かろうじて岡田選手は2番手をキープした。その間に西尾選手は、早々と逃げの構えに入っていく。オープニングラップを終えると西尾選手のリードは2秒半にもなったが、その後も岡田選手は、杉原悠太選手との応戦一方で、なかなか追いつけずにいた。

 そんな中、4周目のヘアピンで接触があり、何と1台が転倒する事態に。即座にセーフティカー(SC)が導入されて、西尾選手は貯金を失ってしまう。8周のレースにも関わらず素早くコースの安全が確保され、残り2周でリスタートとなった。西尾選手はリスタートを完璧に決めて、そのまま逃げ切りに成功! 初優勝を飾ることとなった。

「とっても嬉しいです。スタートについては、初めてと言っていいぐらいの成功でしたね。でも、SCが出たときは『なんで〜』って思いました(笑)。初めてのリスタートだったんですが、それも上手くいって良かったです。この調子で、ずっと行きたいと思っています!」とは優勝の西尾選手。2位は岡田選手が獲得。続いていた杉原選手はリスタート後の1コーナーでハーフスピン、順位を落としてしまい、松尾充晃選手が3位をモノにした。

FIT 1.5チャレンジ決勝レースは12台により行われたが、4周目には接触による転倒があり、今大会初のセーフティカーが入ることに。短いレースながら残り2周でレースは再開。
リスタートをうまく決めた若手期待の西尾和早選手がFIT 1.5チャレンジ初優勝を飾った。
FIT 1.5チャレンジのレギュラー勢である岡田拓二選手が西尾選手に約1.2秒差の2位。
最終的にはグリッド通りの順位を取り戻した松尾充晃選手がFIT 1.5の3位表彰台を獲得。
FIT 1.5チャレンジ鈴鹿大会の表彰台。優勝は西尾選手、2位は岡田選手、3位は松尾選手。

 鈴鹿クラブマンレース2021シーズンの開幕レースとなったのは、フォーミュラ4(JAF-F4)選手権。今大会で1年ぶりの参戦となった鈴木智之選手がポールポジションを獲得。「昨日からバランスが良くて乗りやすくて、色々と試したら、もっと良くなってきて。最終的に狙い通りの走りができました」とは鈴木選手。JAF-F4初参戦の宮下源都選手がこれに続くも、決勝ではフォーメーションラップのエンジンストールにより、ピットスタートを強いられてしまう。鈴木選手はこれで一気に楽になったはずだが何とスタートに失敗。予選3番手だった元嶋成弥選手に並ばれて逆転を許すことになった。

 だが、鈴木選手は元嶋選手に遅れることなく続き、一騎討ちでのトップ争いを終始繰り広げた。「後ろもペースが良くて苦しかったんですけど、タイヤの状態を見つつ、落ち着いてマネジメントしながら走っていました」と語る元嶋選手が辛くも逃げ切りに成功した。

 一方の鈴木選手は「路面がズルズルで、前のクルマが滑ったら、僕も滑ってという感じで、なかなかチャンスを見出せず終わってしまいました」と悔しそうだった。3位は急きょ参戦が決まった吉田宣弘選手が予選6番手からスタートを決めて、一気にジャンプアップ。最後までポジションをキープした。そして、ピットスタートの宮下選手は激しく追い上げたものの、5位フィニッシュに留まった。

 鈴鹿スーパーFJ選手権の開幕戦は、ディフェンディングチャンピオンの岡本大地選手が、ポールポジションを獲得。「最後、もっと行けるはずだったのに、デグナーで砂が出てしまって……。でも、タイム差はあるので、レースは余裕持ってできるかなと思います」と語る岡本選手が、決勝レースでもスタートを決めて、早々に独走体制へと持ち込んだ。

 その後方では佐藤巧望選手、高木悠帆選手、冨田自然選手による2番手争いが激しく繰り広げられていた。7周目の1コーナーで前に出た高木選手だったが、同じ周の130Rで佐藤選手に抜き返されて万事休す。最後は岡本選手が10秒差の圧勝となった。

 岡本選手は後方で競い合っていたドライバーを「いずれは……」と警戒した。「彼らカート出身のドライバーは、レースを重ねてぐーんと伸びてきますからね。今はまだシーズンが始まったばかりで、あんまり乗れていないと思うんですよ。今後はヤバいというのがあって、後半にかけてみんなでバトルできたら面白くなりそうですよね」とは岡本選手。

今大会から11月の最終戦富士まで全10戦で争われるJAF-F4選手権がいよいよスタート。
JAF-F4開幕戦は、宮下源都選手がピットスタート、鈴木智之選手はスタートに失敗。代わってスタートを決めたのは元嶋成弥選手。鈴木選手の追撃虚しく元選手が逃げ切った。
2020年は鈴鹿S-FJ選手権でシリーズ4位の元嶋選手がJAF-F4初参戦で初優勝を飾った。
JAF-F4第1戦表彰式。優勝は元嶋成弥選手、2位は鈴木智之選手、3位は吉田宣弘選手。
JAF-F4選手権のHパターンミッション装着車を対象としたHクラスは川原悠生選手が優勝。
鈴鹿S-FJの開幕戦はディフェンディングチャンピオンの岡本大地選手がポールを獲得。
昨年は開催された大会を全勝した岡本選手。10周30分の決勝レースで好発進を決めた。
スタートから後続を引き離した岡本選手が独走。後続を10秒以上引き離して貫禄の優勝。
全日本カートからステップアップしてきた佐藤巧望選手や高木悠帆選手、冨田自然選手らが表彰台争いを展開した鈴鹿S-FJ開幕戦。佐藤選手が2位、高木選手が3位を獲得した。
鈴鹿S-FJ開幕戦表彰台。優勝は岡本大地選手、2位は佐藤巧望選手、3位は高木悠帆選手。

 鈴鹿クラブマンレース開幕戦では、大会最多の31台ものエントリーを集めたクラブマンスポーツ(CS)。VITA-01によるこのクラスは今シーズンも盛況だ。前週に行われたOKAYAMAチャレンジカップ開幕戦でもポール・トゥ・ウィンを飾っている大八木龍一郎選手が、鈴鹿CSでもレコードタイムを更新してポールポジションを獲得した。

「まだまだミスもあるのですが、レコードタイムも獲れて良かったです。決勝もガツンと行きます」と語っていた大八木選手は、決勝でもまさに一人舞台になった。スタートを決めると、もう誰も寄せつけない展開に持ち込み、最終的には5秒差での勝利となった。「鈴鹿でも、この調子で行きます!」とは開幕戦を制した大八木選手。

 対照的に、その後方では激しいバトルが繰り広げられていた。スタート直後の陣取り合戦で大山正芳選手がポジションをキープし、これに続いたのは一つ順位を上げた、いむらせいじ選手。後方にも数台が連なる中、5周目の1コーナーでいむら選手が2番手に浮上。しかし、抜かれた大山選手は駆動系に違和感を覚え、翌周にピットに戻ってリタイアとなってしまう。これで八木智選手が3番手に浮上するも、予選7番手から着実に追い上げてきた中里紀夫選手が7周目の130Rでオーバーテイク。3位表彰台を掴むこととなった。

 鈴鹿クラブマンレースで行われるフォーミュラEnjoy鈴鹿ラウンドは、今年も鈴鹿・岡山シリーズを兼ねて開催され、今シーズンからは56歳以上の選手を対象とした「マイスターズ・カップ」も始まり、開幕戦は16台が出走した。予選では「思ったより良かったです、力が抜けて。予定通りのタイムが出ました」と語る、2020年シリーズ2位の山根一人選手がポールポジションを獲得した。

 山根選手は決勝レースでも好スタートを切って、最初の1周だけで1秒3の差をつける。山根選手に続いたのは大川文誠選手だったが、3周目のダンロップで接触があり、ディフェンディングチャンピオンである辰巳秀一選手が2番手に浮上する。その間により差を広げた山根選手が終始危なげのない走りで逃げ切りを果たし、優勝を飾ることとなった。

「全体的に失敗しないようにコントロールして、ミスなく走ることを心がけました。開幕戦から勝てたので、(チャンピオンを)狙えるなら狙いたいですが、皆さん、うまくて速いので、なかなか(笑)。チャンスがあれば頑張りたいです」と山根選手。そして辰巳選手に続く3位は、予選7番手から追い上げた永井秀和選手が獲得した。

鈴鹿クラブマンレース今大会では最多となる31台が参戦したクラブマンスポーツ(CS)。
前週の岡山の勢いそのままに鈴鹿でもポール・トゥ・ウィンを飾った大八木龍一郎選手。
クラブマンスポーツ(CS)の2位は4番グリッドスタートのいむらせいじ選手が獲得。
CSの3位は中里紀夫選手。3番グリッドの女性ドライバー猪爪杏奈選手は5位に終わった。
CS表彰台。優勝は大八木龍一郎選手、2位はいむらせいし選手、3位は中里紀夫選手。
フォーミュラEnjoy開幕戦は新設マイスターズ・カップを含め16台がグリッドに並んだ。
オープニングラップでは後方で交錯があったもののポールスタートの山根一人が快走。
直後ではダンロップコーナーで再び交錯があったものの、山根選手が逃げ切って優勝。
フォーミュラEnjoy表彰台は2020年のシリーズ上位勢が独占する結果に。優勝は山根一人選手、2位はディフェンディングチャンピオンの辰巳秀一選手、3位は永井秀和選手。
今季からスタートした56歳以上の「マイスターズ・カップ」はRYUU MAO選手が優勝。
マイスターズ・カップ優勝はRYUU MAO選手、2位は多屋貞一選手、3位は亀蔵選手。

 鈴鹿クラブマンレースに併催されるサーキットトライアルは、2クラスが成立。B2クラスには7台、B3クラスには6台が出走し、B4クラス1台、クローズドクラス1台を合わせて15台の出走となった。自然吸気の後輪駆動車で争われるB3クラスでは、ポルシェ911GT3RSをドライブする小嶋健太郎選手が、2位に12秒も差をつける圧勝となった。「勝因は練習ですかね。チャレンジクラブ(サーキット主催の走行会)を走っている時間は、この中でもいちばん多いんじゃないですか」とはB3クラスを制した小嶋選手。

 総合2位は小嶋選手と同じくB3クラスでS2000をドライブする高橋太一選手。「トップの方とは、全然違うクラスのようなもので……。それでも現状のベストは尽くせたし、自分の中では納得のいく走りだったと思います」と語った。そして総合3位は、自然吸気1501cc以上の前輪駆動車を対象としたB2クラスをブッちぎりで制した、FD2シビックを駆る酒井利恭選手。「ヒート1の方がコンディションは良くて、狙ったタイミングでいい走りができたと思います」と分析する。またフェアレディZで奮闘する中嶋努選手は総合4位、B3クラス3位に終わった。B4クラスにランサー・ボリューションで孤軍奮闘することになった小山裕二選手は、クラス不成立ながら総合8位だった。

鈴鹿クラブマンレースに併催される鈴鹿のサーキットトライアル。開幕戦は15台が出走。
キ排気量区分なしの後輪駆動のB3クラスは、ポルシェ911GT3RSの小嶋健太郎選手が圧勝。
B3クラスの2位はS2000を駆る高橋太一選手。第1ヒートで2分27秒295を計測した。
1500ccを超える前輪駆動のB2クラスはFD2シビックの酒井利恭選手が総合3位で優勝。
サーキットトライアルB2クラス優勝の酒井利恭選手とB3クラス優勝の小嶋健太郎選手。

2020鈴鹿クラブマンレースシリーズ表彰式・代替セレモニー

2月28日、決勝レースが始まる前の11時20分からは、鈴鹿サーキットのポディウムを使った「2020鈴鹿クラブマンレースシリーズ表彰式」の代替セレモニーが行われた。

2020鈴鹿クラブマンレース・CS入賞者の皆さん。チャンピオンはバイエルン松尾選手。
2020鈴鹿クラブマンレース・FFチャレンジ入賞者の皆さん。チャンピオンは松下裕一選手。
2020鈴鹿クラブマンレース・鈴鹿S-FJ入賞者の皆さん。チャンピオンは岡本大地選手。
2020鈴鹿クラブマンレース・フォーミュラEnjoy鈴鹿・岡山シリーズ入賞者の皆さん。チャンピオンは辰巳秀一選手。
2020鈴鹿クラブマンレース・フォーミュラEnjoy岡山シリーズ入賞者の皆さん。チャンピオンは辰巳秀一選手。
2020鈴鹿クラブマンレース・FIT 1.5チャレンジ入賞者の皆さん。チャンピオンはHIROBON選手。
2020鈴鹿クラブマンレース・RSチャンピオンの近田直人選手。CS2チャンピオンの金久憲司選手はRS表彰式の後に遅れて登壇して賞典が授与されていた。
鈴鹿クラブマンレースの開幕戦が行われた2月28日。1971年4月に完成して多くのモータースポーツ関係者も利用した「サーキットボウル」が、この日をもって営業を終了した。

フォト/吉見幸夫、JAFスポーツ編集部 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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