岡山国際サーキットで先陣を切ったチャレンジカップレースは、各カテゴリーでホットバトルを展開

レポート レース サーキットトライアル

2021年3月3日

2021シーズンとしては最初のレースとなる「OKAYAMAチャレンジカップレース」が、2月21日に岡山国際サーキットで開催された。例年であれば、この時期のレースは温度が低いことから、レコードタイムが更新されることが多いものの、レース当日は季節外れとも言えるほどの陽気に恵まれたため、更新されたのは皮肉にも1クラスに留まった。

JAF地方選手権岡山国際サーキットトライアル選手権第1戦
JAF地方選手権スーパーFJ岡山シリーズ第1戦

開催日:2021年2月21日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC

「2021 OKAYAMAチャレンジカップレース第1戦」
ポルシェトロフィーRd.1/2
WEST VITA
N1-86/Nゼロ86
N1ロードスター

開催日:2021年2月21日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC

 JAF地方選手権岡山国際サーキットトライアル第1戦のエントリーは、クローズドクラスの1台を含めた7台。このうち地方選手権として成立したのは、3台が出場したB2クラスに留まった。ヒート1は8時30分から、ヒート2は12時からの開始とあって、コンディション的には圧倒的にヒート1の方が勝り、いずれのクラスも一本勝負の様相を呈していた。

 最速タイムを記したのは、クローズドクラスにケイマンGT4で出場の佐藤俊介選手。他を圧するタイムながら、「全部クルマのおかげです。普段の練習走行だとクリアラップを取りにくいから、今回サーキットトライアルの参加台数が少ないと聞いたので参加しました。いい練習になりました」と語っていた。

 B5クラスの優勝はシビックタイプRで出場の石田泰久選手。スカイラインの田原寛之選手をヒート1の終了間際に逆転した。その石田選手は「田原選手がきっと速いと思い、最後に勝負をかけようと。なんとかうまく決まった感じでしたね。昨年はチャンピオンを獲らせてもらったので、今年は連覇を目指します」とコメント。

 一方、B5クラスの石田選手に続いたのは、両ヒートともに1分48秒台を出したB6クラスの田原選手。その後続は同じくB6クラスのGRヤリスの福冨航平選手だった。

 B2クラスで優勝を飾ったのは、デミオMBで出場の山村純一選手。ノートニスモの山下猛選手に対し、やはりヒート1の終盤で逆転を遂げている。山村選手は「今回、クルマを換えて初めてで、まだちょっと探り探りの状態だったので、最後の方で合わせられたのかな。新しいクルマ、新しいクラスにして初戦で勝てたからには、今年はチャンピオン獲りたいです」と語っていた。

唯一選手権が成立したB2クラスは、山村純一選手がモータースポーツ・ベースのデミオMBを駆って優勝。
B5クラスの優勝はヒート1終了間際でしっかりタイムを詰めてきたシビックタイプRの石田泰久選手。
ER34改のスカイラインでB6クラスを制した田原寛之選手。B5クラスの石田選手に迫るタイムを叩き出した。
クローズドクラスではあるが、ケイマンGT4で圧倒的な速さを見せ、他を寄せつけなかった佐藤俊介選手。

 JAF地方選手権スーパーFJ岡山シリーズ第1戦はエントリーが3台に留まり、選手権としては昨年の最終戦に続いて不成立になってしまった。

 「初ポールです。自分の力は出し切れたと思います」と語るのは妹尾俊郎選手。コンマ5秒差で続いたバイエルン松尾選手に対し、「VITAの(2019年岡山)チャンピオンですから、いいレースをさせてくれると思います」とも語っていたが、決勝はそのとおりの展開となった。

 スタートから妹尾選手に離れず続いた松尾選手は、アトウッドからバックストレート、ヘアピンを経てバイパーまで並走。オープニングラップの逆転こそ果たせなかったが、2周目のヘアピンで前に出る。そのまま5周目まではテール・トゥ・ノーズでの戦いが続いたが、終盤には妹尾選手が力尽きてしまった感も。

 「面白かったやろ? 予選はニュータイヤをケチって練習してなかったので、全然合わなくて酷い目にあった(笑)。妹尾選手は速かったけど、速いところが違って、僕は高速コーナー、妹尾選手はインフィールド。だから抜くチャンスは僕の方があったね。いや、嬉しかった。VITAは2年やって満足したから、またスーパーFJをやろうと思っているよ」と松尾選手。

岡山や鈴鹿のVITAでタイトルを獲得してきたバイエルン松尾選手。スーパーFJ第1戦で幸先の良い優勝を決めた。
スーパーFJの表彰式。左から2位の妹尾俊郎選手、1位の松尾選手、3位の吉川宗洋選手。

 一番人気のWEST VITAは22台がエントリー。シリーズ参戦は初めてという有岡綾平選手がトップタイムを記すも、走路外走行により当該タイムが抹消され、幻のポールに。ディフェンディングチャンピオンである大八木龍一郎選手とポジションを入れ替え、フロントローに並ぶこととなった。

 「タイヤや自分の気持ちのマネージメントに失敗したので、納得のタイムではないけれど、運良くポールが獲れたからにはポール・トゥ・ウィンを目指します」と大八木選手。

 決勝ではスタート直後の1コーナー、2コーナーでアクシデントが相次いで赤旗が。その際のオイル処理によって、再開には30分近い時間を要することとなった。セーフティカースタートによるレース再開後は、大八木選手と有岡選手、そして清水康友選手によってトップが激しく競われた。

 リスタート直後のヘアピンで有岡選手がインを刺すも、大八木選手は冷静に対応して逆転を許さず。中盤からは清水選手が遅れてしまうも、大八木選手と有岡選手のバトルはなおも続く。最後はコンマ8秒差ながら、振り切って大八木選手が優勝を飾ることとなった。その大八木選手は「最初はちょっと油断していて、その後も向こうにミスがなかったんで、レースが長く感じられました。勝てて良かった!」とコメントを残した。

2020年の岡山シリーズチャンピオンの実力を存分に発揮した大八木龍一郎選手が優勝を掴んだ。
WEST VITAの表彰式。左から2位の有岡綾平選手、1位の大八木選手、3位の清水康友選手。
NCP13エンジン搭載車両が対象となるトロフィークラスは平田純選手が優勝を果たす。
WEST VITAトロフィークラスの表彰式。左から2位の稲田昌文選手、1位の平田選手。

 NAロードスターのみの10台で競われたN1ロードスターは「まぁ納得のタイムです。練習はしっかりしているんで、まだまだ若い人たちには負けません」と語る金森成泰選手がポールポジションを獲得。

 決勝ではややスタートで出遅れ、橋村剛選手のチャージを受けるも、逆転は阻む。逆に橋村選手は、下坂和也選手との応戦一方となり、徐々に金森選手には離されてしまう。最終ラップ、下坂選手はストレートで橋村選手に並ぶも、その先の1コーナーでは無情にも黄旗が……。

 これにより、金森選手、橋村選手、下坂選手の順でゴール。優勝の金森選手は「これで足かけ4年、11連勝だそうです。後ろでやり合っていたから後半は引き離せたけど、若い人たちは勢いがあるので、ずっとプッシュし続けていました。連勝がどこまで続くか楽しみです」と笑顔で語った。

2018年から毎年シリーズチャンピオンを獲得している金森成泰選手が、開幕戦ダッシュで優勝を飾る。
N1ロードスターの表彰式。左から2位の橋村剛選手、1位の金森選手、3位の下坂和也選手。

 N1-86は藤井大温選手がポールポジションを獲得して「今までポールは何度も獲っているんですが、ポール・トゥ・ウィンができなくて。今日こそスタートを決めて、そのまま逃げたい」と語っていたが、決勝では2番手の正木勇二選手の先行を許してしまう。

 それでも絶えず背後につけて、9周目のヘアピンでトップに躍り出る。なんとかそのまま逃げたいところだったが、最終ラップのヘアピンで正木選手が再逆転。正木選手は「プレッシャーもかなりありました。アトウッドの立ち上がりでスリップつかれちゃって、いったん抜かれちゃいました。ギリギリの勝利でしたが、いい開幕になりました」と語った。

 混走のNゼロ-86は山崎竜生選手のひとり舞台に。最後は2位の久保直也選手に10秒差の圧勝となった。山崎選手は「予選はすっきりしない内容でしたが、決勝はバッチリでした。スタートも決まったし。ずいぶん差がつきましたが、アクセルを緩めるのは失礼かなと」と笑顔で語った。

HTP Racing(広島トヨペット)の社員ドライバーでもある正木勇二選手が逆転優勝を決めた。
N1-86の表彰式。左から2位の藤井大温選手、1位の正木選手、3位の佐藤俊介選手。
山崎竜生選手が圧巻の勝利を収めたNゼロ-86。2位との差は約10秒ほどだった。
Nゼロ-86の表彰式。左から2位の久保直也選手、1位の山崎選手、3位の松岡玄太選手。

 ダブルヘッダー開催となったポルシェトロフィーは、予選でベストタイム、セカンドベストタイムをマークしていた、神取彦一郎選手がダブルポールを獲得。しかし、その好調ぶりを決勝で発揮することはできなかった。

 第1戦はエンジンストールで出遅れてしまう。接触こそなかったものの、後続は混乱。「僕自身のスタートも良かった」という関正俊選手が、予選6番手から2コーナーまでにトップに浮上。松島豊選手の追撃を振り切って、クラスBと総合優勝を勝ち取った。

 「後半ちょっとゆとりもできて、マイペースで走れたのが良かったです」と関選手。一方、松島選手は「クラスが違うので追うな、って指示が出て」とクラスAの優勝を優先していた。

 第2戦では神取選手に、スタート違反に対するドライビングスルーペナルティが。松島選手の先行を許したとはいえ、食らいついて離れず逆転のチャンスをうかがっていた先の不運だった。

 これで一気に楽になったかと思われた松島選手ながら、第1戦はピットスタートだった山本賢選手、さらに関選手、Aaron May選手の接近を許してしまう。4台で激しくトップが競われる中、勝負に出たのが山本選手。7周目の1コーナーでトップに躍り出る。その直後のモスSでスピンして停止した車両があり、セーフティカー先導のままレースは終了となった。

 第1戦では5位まで上がるのが精いっぱいだっただけに、「悔しさは晴らせました。抜いたタイミングも良かった。あの後SCが出たので、思い切って行って良かったです。クルマを改めて最初のレースから勝てました」と山本選手。一方、松島選手は抜かれた後にペースが鈍り、無念の4位に。2位でゴールの関選手はクラスBで2連勝し、「この連勝は大きいですね。今年はいいシーズンになりそうです」と笑顔で語っていた。

昨年の開幕戦で優勝した松島豊選手。今シーズンも開幕戦クラスAの優勝を飾った。
第1戦クラスAの表彰式。左から2位の神取彦一郎選手、1位の松島選手、3位の山本賢選手。
クラスBは公式予選でコースレコードホルダーとなった関正俊選手が優勝を果たした。
第1戦クラスBの表彰式。左から2位の滝澤智幸選手、1位の関選手。
ピットスタートとなった第1戦を挽回するかのごとく、クラスAの山本選手が第2戦を制した。
第2戦クラスAの表彰式。左から2位のAaron May選手、1位の山本選手、3位の松島選手。
2連勝を飾ったクラスBの関選手。シリーズを優位に進める勝利となった。
第2戦クラスBの表彰式。左から2位の滝澤選手、1位の関選手。

フォト/吉見幸夫、はた☆なおゆき レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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