JAF公認ナンバー付きレースの開催概要が発表、各地で熱戦の予感!

ニュース レース

2021年2月8日

 まず注目したいのが、TOYOTA GAZOO Racingが主宰する「TGR Yaris Cup 2021」だ。同レースは文字どおり、トヨタの新型車ヤリスを使用した参加型のワンメイクレースで、2021年からスタートする。

 日本初のJAF公認ナンバー付き車両のワンメイクレースとして、2000年よりスタートしたTGR Netz Cup Vitz Raceの歴史は幕を閉じ、このTGR Yaris Cupに継承されることとなった。初めてモータースポーツにチャレンジするビギナーでも安心して参加できるように、サポート体制が充実した入門カテゴリーとなっている。

 2021年のTGR Yaris Cupは、TGR Netz Vup Vitz Raceのシリーズを踏襲して、東日本と西日本の2シリーズが開催される。開幕戦は東日本/西日本シリーズともに富士スピードウェイで、以降は東西に分かれて全国の主要6サーキットで開催される予定だ。

 東日本シリーズは第2戦・スポーツランドSUGO、第3戦・十勝スピードウェイ、第4戦・スポーツランドSUGO、第5戦・富士スピードウェイの計5戦。西日本シリーズは第2戦・鈴鹿サーキット、第3戦・オートポリス、第4戦・鈴鹿サーキット、第5戦・岡山国際サーキットと、こちらも計5戦で開催されることとなっている。

 そのほか、日程およびサーキットは未定としながらも、両シリーズの終了後には特別戦を開催。1月下旬に暫定レギュレーションが発表されたほか、4月には年間登録の申請受付がスタートする予定となっており、今後の動向に注目したい。

ヴィッツに代わる新たなワンメイクレースとして注目が集まるTGR Yaris Cup 2021。今年は富士大会を皮切りに、東西で各5戦の開催予定となっている。

 続いてTOYOTA GAZOO Racingは前記のYaris Cupと併せて「TGR 86/BRZ Race 2021」のカレンダーを発表した。同レースは2013年にスタートしたトヨタ86の86RacingとスバルBRZのRA Racingだけで競うワンメイクレースだ。

 2015年よりプロフェッショナルとクラブマンの2シリーズ制を導入したほか、2019年にはクラブマンシリーズをオープンクラスとエキスパートクラスに分けるなど細分化を実施。ドライバースキルに合わせた環境を提供することによって、スーパーGT等で活躍するトップドライバーがプロフェッショナルシリーズに参戦したり、クラブマンシリーズには腕自慢のアマチュアドライバーがひしめき合い、各シリーズで激しいバトルが展開されている。

 9年目を迎える2021年も、第1戦・ツインリンクもてぎ、第2戦・富士スピードウェイ、第3戦・オートポリス、第4戦・スポーツランドSUGO、第5戦・十勝スピードウェイ、第6戦・鈴鹿サーキット、第7戦・岡山国際サーキット、第8戦・富士スピードウェイの、主要7サーキットを転戦しながら全8戦の日程で開催する。

 こちらもTGR Yaris Cup同様に1月下旬に暫定レギュレーションが発表されたほか、年間登録の申請受付もスタートする。

TGR 86/BRZ Raceは、トヨタ86とスバルBRZによるスプリントレース。プロからアマチュアまで、さまざまなドライバーが切磋琢磨している。

 一方、ホンダの軽自動車N-ONEによるナンバー付きワンメイクレースとして、2014年にスタートした「N-ONE OWNER'S CUP」も2021シリーズの暫定スケジュールが発表された。

 開幕戦のツインリンクもてぎを皮切りに、第2戦・富士スピードウェイ、第3戦・鈴鹿サーキット、第4戦・オートポリス、第5戦・筑波サーキット、第6戦・スポーツランドSUGO、第7戦・岡山国際サーキット……と主要7サーキットを舞台に、ファイナルラウンドを含めて全16戦で開催。

 同シリーズにおいて注目したいのが、参加車両として従来のN-ONE(型式:DBA-JG1)に加えて、新型N-ONE(型式:6BA-JG3)が追加されたことだろう。ただし追加車両の条件として、駆動方式はFFで、タイプがターボモデル、そしてトランスミッションは無段変速オートマチックと明記されていることから、6速のMTモデルは対象外。2021年は従来モデルのN-ONE(JG1)と新型N-ONE(JG3)の混走で争われることとなった。

 ちなみに、決勝中におけるタイヤ交換の規定として、「決勝中においてバースト等やむを得ない事由により交換が必要となった場合、当該タイヤの交換が認められる」という一項が追加されたほか、ドライバーポイントに関しても「予選、決勝レースを通じ、全車がチェッカーを受けた完走で、かつ罰則がない場合」とポイントの付加の条件を変更。さらに同ポイントのシリーズランキング決定についても「当該シーズンにおける罰則数の少ない者」と明記することで順位決定の優先順位の条件を追加したことも、2021年のN-ONE OWNER’S CUPの規定変更のポイントだ。

 また従来型のJG1に新型のJG3の部品、またはJG3にJG1の部品の流用装着を防ぐべく、純正部品の流用として「修理、補修、メンテナンスにおいて純正部品を交換する場合、使用している車両と同型式で設定された純正部品を使用しなければならない」という一文を追加した。

 ほか、ガラスの飛散防止を目的とするフィルム(テープ)の貼付についても「リヤーウインドシールドガラスおよびリヤードアガラスにフィルム(テープ)の貼付が義務付けられる」とリアドアガラスについてもフィルムの装着が義務化された。ホイールナットについて「タイヤまたはホイールの最外側部より突出してはならない」という項目が追加されるなど、テクニカルな部分に関しても細かい変更がなされている。

新たにJG3型が加わることで、JG1型との混走レースとなったN-ONE OWNER'S CUP。北は北海道から南は九州まで、2021年は全16大会で開催される。

 2002年にマツダ・ロードスターのナンバー付きワンメイクレースとしてスタートした「ロードスター・パーティレース」について、レースを主管するB-Sportsより、2021年のレースカレンダーおよび開催概要が発表された。

 2021年も現行のロードスター(ND5RC)を使用したポイント形式採用のND、同じく現行のロードスターを使用しながらもポイント形式を省いたNDクラブマン、先代型ロードスター(NCEC)を使用したNCの3クラスを設定。

 全クラスを対象に筑波サーキットを舞台に開催される東日本シリーズが全4戦で開催。ND/NDクラブマンを対象にスポーツランドSUGOで開催される北日本シリーズ、同じくND/NDクラブマンのみを対象に岡山国際サーキットで開催される西日本シリーズも全4戦で開催される。

 2021年のレース日程で特に注目したいのが、各シリーズ終了後に争われる交流戦の舞台がツインリンクもてぎになったことだろう。これまで年に一度の祭典となる交流戦は富士スピードウェイを舞台に開催されてきたが、2021年は11月の合同テストを経て12月5日にツインリンクもてぎで開催。全クラスともに7ラップが予定されているだけに、ロードスターの日本一決定戦として激しいバトルが展開されるに違いない。

 テクニカルレギュレーションにおける変更点として特筆したいのがECUの項目。これまで明記されていた「生産者のアップデートや純正ECUへの交換を除き、一切の変更および改造は許されない」という項目に続けて、「各オーガナイザーやB-Sportsが用意した診断機で情報が読み取れない場合や、最高速度が184km/h以上を計測した場合は、ECUの改造があるものとみなす」という文面が追加されたことだ。これまで診断機で判定していたECUの不正を、規定の最高速度で判断する。

 さらにタイヤおよびホイールの規定において「タイヤ中心より両側各50mmの範囲内のタイヤの溝の深さは、予選開始前に4mm以上、レース終了後も1.6mm以上を有すること」という項目が新たに追加されたこも、車両規定における大きなポイント。2021年はこれまで以上にナンバー付き車両として厳格に車両のチェックが行われていくようだ。

 併せてスポーティングレギュレーションも変更されており、「頭部および頸部の保護装置(FHRシステム)を使用しなければならない」や「走行中はヘルメットシールドを全閉しなければならない」、「ヘルメット及び装備品へのウェアラブルカメラの装着は禁止する」などドライバーの装備品という部分において新規の規定が追加されたことが2021年のポイントとなっている。

モータースポーツに参加するためのベース車両として開発されたグレードでレースを繰り広げるロードスター・パーティレースⅢ。年々、レース参加者が増えている。

 ロータスのワンメイクレースシリーズ「LOTUS CUP JAPAN」も、レース日程と概要が発表された。2021年も富士スピードウェイ、ツインリンクもてぎ、スポーツランドSUGOの3コースを舞台に、特別戦が2戦、公式戦が4戦の全6戦で開催。

 クラス区分はエキシージV6を対象にしたクラス1と、2ZZおよび2ZRのエリーゼ/エキシージを対象にしたクラス2、さらに1ZZおよび1ZRのエリーゼを対象にしたクラス3で、2020年に導入されたレンタルプラン、エリーゼ参戦パッケージプランも継続されている。

 同プランはエリーゼスポーツ220をレンタルして、クラス2に参戦できるプランだ。マシンの使用料はもちろんのこと、エントリーフィーや新品タイヤ、レース前後の基本メンテナンス費用、マシンのロジスティック費用、メカニックの費用など、レースに必要なさまざまな経費が含まれていることから、気軽にレース参戦ができる。

参戦のためのプランも充実したLOTUS CUP JAPAN。モデルレンジに応じたクラスが設定され、3サーキットでライトウェイトスポーツが鎬を削るシリーズだ。

 このように2021年もさまざまなJAF公認のナンバー付きレースが開催される予定となっている。これらの参加型カテゴリーも2020年は新型コロナウイルスの影響により多くのレースが中止となっただけに、2021年はナンバー付きレースのさらなる飛躍に期待したいものだ。

フォト/石原康、服部眞哉、皆越和也、吉見幸夫、TOYOTA GAZOO Racing レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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