鈴鹿2連戦の2戦目はルーキー大湯都史樹選手が涙の初優勝

レポート レース

2020年12月22日

12月5~6日に2連戦で開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第5・6戦。その2戦目となる第6戦は「JAFグランプリ」の冠がかけられた。このレースは前日同様にアクシデントが多発する波乱のレースになったが、それらを潜り抜けて優勝したのは大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)。ルーキーイヤーでの初勝利となった。

2020年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦
開催日:2020年12月6日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、株式会社モビリティランド

 前日の第5戦で多重クラッシュが起きたスーパーフォーミュラだが、各チームの必死の作業で翌日の第6戦予選には全車両が顔をそろえた。第5戦は直前のトラブルで予選出走が叶わなかった平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も、この日は無事にコースイン。ただし、予選でのタイムは振るわずQ2敗退となった。

 ポールポジションを獲得したのはニック・キャシディ選手(VANTELIN TEAM TOM'S)。山本尚貴選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のコースレコードを0.1秒削り、新たなレコードホルダーに。フロントローには今季ベストグリッド獲得となった大湯選手がつき、山本選手は3番手となった。

 決勝レースは前日同様、2周のフォーメーションラップの後にスタートし、キャシディ選手と大湯選手は順当にスタートを切る。山本選手は僅かに出遅れ、後続の福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3番手に浮上。また、9番グリッドから関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が一気に4番手にポジションアップした。

 スタートしてすぐの2周目に、小林可夢偉選手(carrozzeria Team KCMG)とサッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)が接触し、レースはセーフティカー(SC)が導入されるが、このSC中に山本選手のマシンが突如スローダウン。ピットに戻ってくることはできたものの、これでリタイアとなってしまった。

 レースは7周目に再開。すると今度は9周目に入ったホームストレートでトップを走るキャシディ選手のマシンから白煙が上がる。キャシディ選手は1コーナー先にマシンをストップ。さらに、チームメイトの中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM'S)も同じ周の2コーナー立ち上がりで右リアタイヤのパンクチャーに見舞われてしまった。

 相次ぐアクシデントで再びSCが導入。その間にピットウィンドーが開いたため、多くのマシンが一気にピットになだれ込んでいった。

 ステイアウトを選択した2台の後ろには、ピット作業を終えた大湯、福住、関口ら各選手が続き、13周目にリスタート。その後は各所でバトルが繰り広げられた。19周目に国本雄資選手(carrozzeria Team KCMG)がS字コーナーでタイヤのアクシデントに見舞われスピン。そのままコースオフしてしまい、車両回収のためこのレース3度目のSC導入に。

 このSC中に上位2台がピット作業に向かい、残り8周でレースが再開したときには大湯選手がトップに戻っていた。終盤は大湯選手VS福住選手の優勝争いが白熱し、お互いにファステストラップを塗り替えながら3番手以下を引き離していく。

 最終ラップではオーバーテイクシステムの応酬で戦いはさらにヒートアップするが、大湯選手はなんとか福住選手の猛追をしのぎ切りトップチェッカー。ルーキーイヤーで涙の初勝利を飾った。惜しくも2位となった福住選手も今季ベストリザルト。3位には関口選手が入った。

鈴鹿サーキットの電光掲示板に「19th JAF GRAND PRIX SUZUKA」の文字が表示。国内トップフォーミュラにかけられる相応しいイベント日和となった。
伝統の“JAFグランプリ”のタイトルがかかった、第6戦優勝ドライバーには、大きなJAFカップが授与される。
第19回JAF鈴鹿グランプリは、JAF藤井一裕会長の開会宣言で幕を上げた。
この第6戦はオーバーテイクシステムが200秒間使用できるようになり、作戦として使いどころを考慮しなければならない。レース中、随所でその駆け引きが見られた。
昨日の山本尚貴選手のコースレコードを更新したのはニック・キャシディ選手で、1分34秒442をマーク。決勝はエンジントラブルでまさかの戦線離脱となった。
スーパーフォーミュラルーキーイヤーの大湯都史樹選手が第6戦を制した。チェッカー後は感激の涙でヘルメットごしに頬を濡らしたという。
オーバーテイクシステムをすべて使い果たしてトップを走る大湯選手を追い詰めるも、あとわずか届かなかった福住仁嶺選手が2位を獲得。
優勝できなかったことに不満が残るも、久々の表彰台獲得に安堵の表情を見せた関口雄飛選手。9番手スタートから3位入賞を果たした。
JAF鈴鹿グランプリとスーパーフォーミュラ第6戦の表彰式。左からプレゼンターのJAF島雅之専務理事、2位の福住選手、1位の大湯選手、3位の関口選手、JAF藤井一裕会長。
第6戦終了時点で平川亮選手と山本尚貴選手が自力チャンピオン獲得の権利を持つ。他、野尻選手、キャシディ選手もチャンピオンの可能性を残した。決着は12月13日の富士大会へ持ち越しとなった。
インディ500優勝の佐藤琢磨選手がゲスト出演。グランドスタンド前に2017年と2020年の優勝マシンが展示され、トークショーを行った。
普段は入ることができないサービスロード内を巡るツアーが実施された。メディアカメラマンらと同じ目線で、ツアーバス車内から迫力の走りを見学できた様子だ。

フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部

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