波乱の第5戦は鈴鹿マイスターの山本尚貴選手がパーフェクトウィン

レポート レース

2020年12月21日

12月5日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦が鈴鹿サーキットで開催。タイムの出やすい冬場の開催とあって、大幅なレコード更新となった。予選と決勝を1日で行うこのラウンドは、山本尚貴選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が勝利した。

2020年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦
開催日:2020年12月5日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、株式会社モビリティランド

 今回の鈴鹿大会は土日で2レースを戦うというフォーマット。2戦ともポール・トゥ・ウィンを飾ればシリーズポイントも一気に46ポイントと大量加算できるとあって、どのドライバーにとっても重要な大会となった。

 また冬場のレースということから、今大会ではタイヤウォーマーの使用が認められることに。さらに決勝レース前のフォーメーションラップも2周に追加された。

 第5戦の公式予選は、ランキングトップの平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がマシントラブルから出走できないまさかのアクシデントから始まったが、Q3では前戦オートポリス大会で優勝を争った山本選手と野尻智紀選手(TEAM MUGEN)によるポールポジション争いが白熱。最終的には山本選手が1分34秒533と、従来のコースレコードを約1.4秒削ってポールポジションを獲得した。野尻選手は約0.1秒差で2番手。3番手には福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とホンダ勢が続いた。

山本尚貴選手はスーパーGTでチャンピオンを確定させた直後となるスーパーフォーミュラで、コースレコードを1.4秒塗り替えてポールを獲得。
本来であれば11月中旬で最終戦を迎えるスーパーフォーミュラだが、コロナ禍の影響で開催が12月にずれ込み、鈴鹿大会からタイヤウォーマーの使用が認められた。

 決勝レースはスタート前から波乱の連続となる。まずはフロントローグリッドを得ていた野尻選手がグリッドへの試走中にストップしてしまい、最後尾からフォーメーションラップに入ることに。さらにそのフォーメーションラップでは10番グリッドの関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が2コーナー立ち上がりでストップし、その車両回収のためにフォーメーションラップが2周追加され、決勝レースは28周で争われることになった。

 注目のスタートは、山本選手と福住選手のDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが1-2態勢で1コーナーを通過するが、オープニングラップで発生したアクシデントによるセーフティカー(SC)導入後、福住選手がマシントラブルからスローダウンし戦線離脱となる。

 その後ピットウィンドーが開くとアンダーカットを狙った中団以降のマシンが続々とピットイン。山本選手は18周を終えたところでピットインするが、これとほぼ時を同じくして130Rで松下信治選手(Buzz Racing with B-Max)がクラッシュを喫し、レースは2度目のSC導入に。山本選手はギリギリのタイミングでコース復帰し、トップの座を守り抜いた。

 その後23周目にリスタートが切られたが、今度は24周目に笹原右京選手(TEAM MUGEN)と坪井翔選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、平川選手、小林可夢偉選手(carrozzeria Team KCMG)による4番手争いから多重クラッシュが発生。レースは3度目のSC導入となった。

 リスタート後は背後を脅かされることなく山本選手がトップチェッカーを受け今季初優勝。2位と3位にはそれぞれピット作業で順位を上げた中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM'S)、と国本雄資選手(carrozzeria Team KCMG)が入った。

スタート進行、フォーメーションラップ、そしてオープニングラップと、次々と波乱が連発した第5戦。終始、目が離せない展開となった。
ポイントリーダーとして鈴鹿大会に臨んだ平川亮選手は、前日の公式練習の好調ぶりが一転。トラブルにより予選未出走で最後尾グリッドからスタート、決勝ではクラッシュでリタイアとなった。
野尻智紀選手は予選Q3でトップタイムを叩き出すも、直後に山本選手に0.1秒差をつけられ2番手に。スタート進行時にマシンがストップしてしまい、フロントローから最後尾スタートとなってしまう。
鈴鹿を得意とする山本選手がアクシデントをものともせず、トップを一度も譲らずポール・トゥ・ウィンで今シーズン初優勝を飾った。
今シーズンは開幕戦のもてぎと第3戦のSUGOの2大会しか出場していない中嶋一貴選手が、2019年の岡山大会以来の2位表彰台に登った。
9番手スタートながらピットインのタイミングも功を奏してSC明け3番手につけ、2年ぶりの久々の表彰台を獲得した国本雄資選手。
第5戦の表彰式。左から2位の中嶋選手、1位の山本選手、3位の国本選手がポディウムに登壇。

フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部

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