ポイントリーダーながら今シーズン勝利に恵まれなかったJ'S RACING☆FITが待望の初優勝!

レポート レース

2020年12月9日

ピレリスーパー耐久シリーズ第4戦が11月21~22日に、ツインリンクもてぎで開催された。レースは久々に全クラス混走で、5時間レースとして競われ、FCY(フルコースイエロー)こそごく短い時間で2回実施されたが、セーフティカーの出動はなかったことで、オーバーオールウィナーは前年の139周を大幅に上回る、150周の走破に成功した。

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第4戦 もてぎスーパー耐久
開催日:2020年11月21日~11月22日
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)
主催:株式会社モビリティランド、M.O.S.C

 好天に恵まれた第4戦は、本来の予定より2か月遅れでの開催となったことで、予選では好タイムが連発。タイム合算で決められるポールポジションを獲得したのは、星野敏選手と藤井誠暢選手がともにトップだったST-XクラスのD'station Vantage GT3で、近藤翼選手とともに2連勝の期待がかかった。だが、決勝では星野選手がスタートから後続を引き離すも、わずか3周で現れたバックマーカーと接触。その際に足回りにダメージを負って、優勝戦線から早々に脱落してしまう。

 代わってレースをリードしたのは、HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3のShaun thong選手だった。前回の岡山で大破したマシンを新調し、快調にトップを走行。山脇大輔選手に代わった後、DAISHIN GT3 GT-Rの菅波清斗選手、星野一樹選手の猛攻を受け、いったんは逆転を許すも、根本悠生選手と再びマシンに乗り込んだthong選手が追い上げる展開に。

 ラスト1時間半の最終スティントを、再び菅波選手に託したDAISHIN GT3 GT-Rだったが、ガソリンがチェッカーまで保たず。ラスト30分でHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が再逆転を果たし、開幕戦以来の優勝を遂げるとともに、ランキングのトップをキープした。

「前回のクラッシュで、レースに出る出ないまであったぐらい、いろんなことがあった中で結果を出せて、本当に良かったなぁって。今回のレースは、(前回のレースで負傷した)高木真一選手が一緒に戦ってくれたと思っています。本当に感謝です」と山脇選手。

#888 Mercedes-AMG Team HIRIX RacingのHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/Shaun thong/根本悠生組)がST-Xクラス優勝を果たした。
ST-Xクラスの表彰式。左から2位の#81 GTNET MOTOR SPORTS、1位の#888 Mercedes-AMG Team HIRIX Racing、3位の#9 MP Racing。

 ST-ZクラスではD'station Vantage GT4の星野辰也/織戸学/篠原拓朗/浜健二組が、クラス移行後の初優勝を飾った。まずは織戸選手がスタートから逃げ、中盤にトップを奪われこそしたが、最終スティントも織戸選手が担当。4番手ながら先行する車両とは僅差だったことから、次々と斬り捨てていく。

 最大の見せ場となったのが、ENDLESS AMG GT3の菅波冬悟選手とのトップ争い。何度も仕掛ける織戸選手に対し、その都度ガードを固めていた藤波選手ではあったが、ゴールまであと10周というところで、ついにほころびが。130Rで逆転を果たし、そのまま逃げ切ることとなった。

「途中ヤバいかと思った。ちょっと燃費が厳しかったり、ピットが遅かったりしたんで、でもクルマには速さがあったので、いいレースになりましたね、楽しかったですよ」と織戸選手。

ST-Zクラスを制したのは#47 D'station RacingのD'station Vantage GT4(星野辰也/織戸学/篠原拓朗/浜健二組)。
ST-Zクラスの表彰式。左から2位の#3 ENDLESS SPORTS、1位の#47 D'station Racing、3位の#500 TEAM 5ZIGEN。

 ST-TCRクラスはシビック勢の一騎討ちに。予選ではRacerホンダカーズ桶川DOME CIVICの遠藤光博/中野信治/大津弘樹/小出峻組がトップ。決勝ではF・Link Home CIVIC TCRの植松忠雄/井出有治/川端伸太朗組が、絶えず連なって周回を重ねていく。

 特に圧巻だったのは、中盤の井出選手と大津選手のバトル。絶えず後方から大津選手があの手この手で逆転を試みるも、井出選手はまるでプレッシャーに屈することなく、しっかり抑え抜いたからだ。

「ミスさえしなければ、ちゃんとポジションキープで渡せると思っていました」と井出選手。受け継いで最終スティントを担当した川端選手も小出選手を寄せつけず。F・Line Home CIVIC TCRが、第2戦以来の2勝目をマークした。

#290 Floral Racing with UEMATSUのF・Link Home CIVIC TCR(植松忠雄/井出有治/川端伸太朗組)がST-TCRクラスで優勝した。
ST-TCRクラスの表彰式。左から2位の#97 Racer DOME Racing、1位の#290 Floral Racing with UEMATSU、3位の#33 Audi driving experience Japan。

 孤軍奮闘ながら完走さえ果たせば早々にチャンピオン確定だったROOKIE Racing GR SUPRAの蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑組ながら、予選で車両トラブルが発生。決勝を走らずしてリタイアとなったため、ST-1クラスは王座決定が先送りとなった。

 その無念を晴らす格好となったのが、ST-2クラスでROOKIE Racing GR YARISをドライブする井口卓人/佐々木雅弘/MORIZO組だった。前2戦は2位に甘んじ続けてきたが、今回から容量アップのブレーキシステムを導入し、またLSDの最適化でより速さを増すと、予選、決勝ともライバルに抗う術も与えず。

 トップチェッカーを受けたMORIZO選手は「速さはすでに証明できていたけど、強さがなかなかね。今回はエンジニアとドライバーがやるべき仕事をしてくれた結果、私自身でも乗りやすいクルマになりました。楽しめましたよ」と、誰より嬉しそうに語っていた。

ST-2クラス優勝は#32 ROOKIE RACINGのROOKIE Racing GR YARIS(井口卓人/佐々木雅弘/MORIZO組)。
ST-2クラスの表彰式。左から2位の#59 TOWAINTEC Racing、1位の#32 ROOKIE RACING、3位の#6 シンリョウレーシングチーム。

 ST-3クラスは、もてぎをホームコースとするHELM MOTORSPORTS RC350が、参戦2戦目にしてポール・トゥ・ウィンで初優勝。今回から平木玲次選手と平木湧也選手のチームメイトが高橋知己選手に改められ、高橋選手は初めてのツーリングカー、初めての耐久レースとなった。

「僕自身がとにかく不安で仕方なかった」と高橋選手は語るも、予想以上の適性を見せていた。「今年はここ、もてぎに標準を合わせていたので、目的を達成できてホッとしています。ドライバー3人とも総合的に高いところにいたのと、チームのみんながミスなくこなしてくれたおかげです」と、レース後に平木湧也選手は安堵の表情を見せていた。

#62 HELM MOTORSPORTSのHELM MOTORSPORTS RC350(平木玲次/平木湧也/高橋知己組)が初優勝!
ST-3クラスの表彰式。左から2位の#244 Max Racing、1位の#62 HELM MOTORSPORTS、3位の#39 TRACY SPORTS。

 ST-4クラスは、林テレンプSHADE RACING 86の平中克幸/国本雄資/HIRO HAYASHI/石川京侍組が2連勝。絶えずENDLESS 86の小河諒/宮田莉朋/松井孝允組が続いており、「ずっと張りつかれていたので、難しいレースでした」と平中選手。

 しかし、残り30分を切ってENDLESS 86に電気系トラブルが発生し、緊急ピットインを強いられ、これでようやく勝負に決着が。最後はHAYASHI選手がチェッカーを受け、「4人全員乗れたことは、チームとしても良かったし、それで結果が出たので大満足の週末でした」と国本選手は語っていた。

ST-4クラスは#884 林テレンプSHADE RACINGの林テレンプSHADE RACING 86(平中克幸/国本雄資/HIRO HAYASHI/石川京侍組)が2連勝。
ST-4クラスの表彰式。左から2位の#225 KTMS KOBETOYOPET MOTOR SPORTS、1位の#884 林テレンプSHADE RACING、3位の#310 C.S.I Racing。

 連勝を狙ったST-5クラスのodula AVANTECHロードスターの橋本陸/草野貴哉/加賀美綾佑/小原康二組だったが、決勝でトップを走ったのは序盤のみ。J'S RACING☆FITの梅田真祐/久保田英夫/蘇武喜和組がトップに立ってからは、後続を徐々に引き離す展開に。ポイントリーダーが今季初優勝を飾ることとなった。

「一発の速さではロードスターにかないませんが、決勝ならやること全部やれば、必ずトップ獲れると信じてやって、やっと結果もついてきたので良かったです」と梅田選手。

#69 J'S RACINGのJ'S RACING☆FIT(梅田真祐/久保田英夫/蘇武喜和組)が逃げ切っての優勝となった。
ST-5クラスの表彰式。左から2位の#456 OVER DRIVE、1位の#69 J'S RACING、3位の#182 クローズアップレーシング。

フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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