TMSC富士シリーズも最終戦。上原将幸124スパイダーがオーバーオールウィン!

レポート ジムカーナ

2020年12月8日

JAF公認クラブであるTMSC(トヨタ・モータースポーツ・クラブ)が主催する、TMSC富士ジムカーナシリーズ2020の今季最終戦となる第4戦が11月14日、富士スピードウェイジムカーナコースで開催された。

TMSC富士ジムカーナシリーズ2020第4戦
開催日:2020年11月14日
開催場所:富士スピードウェイジムカーナコース(静岡県小山町)
主催:TMSC

 今シーズンは新型コロナウィルスの影響により、数多くの競技会がシリーズの開催数を減らしての運営を余儀なくされたが、TMSC富士ジムカーナシリーズは、第1戦から第3戦は日程が変更されたものの、予定していた4戦全てが無事に開催された。

 しかし未だ新型コロナウィルスによる感染拡大が続いているため、富士スピードウェイの入場ゲートでの検温をはじめ、競技受付前には再度ジムカーナコースでの検温、アルコールで消毒してからの受付、そして健康状況を記入した申告書を提出する等の感染拡大防止策が、これまでと同様に引き続き行われた。

 車両の改造範囲や使用できるタイヤ等により、TMSC富士ジムカーナシリーズは全18クラス(クローズドを含む)と細かく区分されている。TMSCならではのトヨタ車限定のトヨタクラス(BRZも可)も設定されており、今シーズンはその中の約10クラスが中心となって競技が行われてきた。

 このシリーズは、競技前に慣熟走行でコースが確認できることに加え、競技終了後もフリー走行が設けられているので、1日たっぷり走り込む事ができる。また、毎戦インストラクターとして、全日本ジムカーナドライバーのSHUN(シュン)選手が来場。エキシビジョン走行をはじめ、ドライバーズブリーフィングではコースの攻略や、競技中は放送席から全選手の走りを解説し、競技を盛り上げた。

 競技はトヨタクラスからスタート。トヨタクラスは3クラス設定されており、駆動方式は不問で、排気量によって区分される。今回は最終戦ということで、シリーズチャンピオンの行方も注目だ。1600cc未満のトヨタ-1クラスは、第2戦、第3戦と連勝しているアクアの藤川龍彦選手がポイントリーダー。開幕戦で勝利した同じくアクアの高野理加選手がシリーズ2番手で追う展開となっている。

 第1ヒートをトップで折り返したのは藤川選手。藤川選手は第2ヒートでも自己タイムを更新。対する高野選手もタイムアップを果たすも、3位止まりとなり、藤川選手が優勝を決めた。「今回はバッテリーの温度管理が上手くいきました。室内のクーラーをガンガン使って(笑)冷やすと、ジムカーナ競技であれば1ヒート分はパワーを有効に使えます」と藤川選手。ハイブリッドカーならではのノウハウを駆使し、優勝でチャンピオンを獲得した。

 1600cc以上2000cc未満のトヨタ-2クラスは、86/BRZのワンメイクとなっているが、シリーズ上位3番手までがチャンピオン獲得の権利を有する混戦状態。今回2位以上でチャンピオンが決まるポイントリーダー関口彰選手が第1ヒート、唯一1分を切る58秒台でトップタイムをマークする。

 しかし、「1本めで良いタイムが出たので、2本めは色々と試そうと試みたのですが、失敗してしまいました(笑)」という関口選手は第2ヒートで痛恨のタイムダウン。その隙を突きたかったシリーズ上位陣だが、2番手の畑茂選手は4位、3番手のKazu R選手は3位と及ばず。第1ヒートのタイムで逃げ切った関口選手が優勝でチャンピオンを決めた。また、Kazu R選手と畑選手は同ポイントとなり、規定によりKazu R選手が逆転でシリーズ2位を獲得した。

 NTR2クラスは、「もう歳だから、上手く走れないかなと思っていたのですが(笑)、今回は久しぶりに満足感を得られる走りが出来ました」と、S2000を駆る加藤政幸選手が優勝。加藤選手は50歳からジムカーナをはじめて、現在ジムカーナ歴20年以上という人生の大先輩。前回に続き2連勝となったが、シリーズチャンピオンには僅かに届かなかった。

 加藤選手の猛追を振り切ってチャンピオンを獲得したのは、BRZの鈴木正彦選手。「優勝で決めたかったのですが(笑)…。今年からスーパーチャージャーを装着したのですが、練習不足もあり、まだポテンシャルを引き出せていませんね」と、今回は2位にとどまったが、3ポイント差でチャンピオンを獲得した。

 S2クラスは、ポイントリーダー上原将幸選手が第1ヒートで唯一の57秒台をマークし、暫定トップに立つ。第2ヒートになると各選手、続々と自己タイムを更新してくるが、58秒の壁を破る事ができない。2番手に付けていた野川徹選手がようやく57秒台に入るも及ばず、上原選手が優勝となった。

 「2本めの走行前に、1本めのタイムが抜かれていないことが分かったので、シフトのタイミングを変えたりと色々試してみたのですが、あまり良くなかったです。今後の課題ですね」という上原選手は、第2ヒートではタイムダウンを喫するものの、今大会のオーバーオールウィンとなるタイムで優勝。今季3勝目を上げ、シリーズチャンピオンとなった。

フルパイロンコースとなる富士スピードウェイのジムカーナコース。広大な敷地を持ち、中高速レイアウトの設定も可能だ。
当日のコース図。終盤に行くに従ってタイトなセクションが待ち受ける設定となった。
当日は検温や手指消毒など感染予防対策が徹底された上での開催となった。
全日本ジムカーナ期待の若手の一人で、富士ジムカーナコースを知り尽くすSHUN(シュン)選手がインストラクター役を務めた。
アクアが主流マシンとなっているトヨタ-1クラスは藤川龍彦選手が優勝。
トヨタ-1クラス表彰の各選手。
参加8台と今回、最大の激戦区となったトヨタ-2クラスは関口彰選手が優勝。
トヨタ-2クラス表彰の各選手。
2000cc以上のトヨタ車が対象のトヨタ-3クラスは、MR2の西一美選手が優勝。「今回は常に横Gがかかるコースで、その状態からのフルターンが特に難しかったですね(笑)。競技終了後の練習走行で、しっかり克服したいと思います」と西選手。
トヨタ-3クラス優勝の西選手。
NTFクラスは若命孝樹選手が優勝。「シリーズ前半は坂本選手に勝てなかったのですが、前回勝って、今回も対決を楽しみにしてたので残念です」とシリーズを争っていた坂本恒治選手が不出走となったため、ライバル不在で少々寂しい出走となった。
NTFクラス優勝の若命選手。
NTR1クラスは、古林ダメ吉選手と鈴木勇一郎選手のロードスター同士の戦い。第1ヒートはともに1分05秒台の接戦だったが、第2ヒートで古林選手が一気に03秒台までタイムを更新し、優勝となった。
NTR1クラス優勝の古林選手。
NTR2クラスは加藤政幸選手が本人も納得の走りを見せて優勝。
NTR2クラス表彰の各選手。
NT4クラスは、池田友久インプレッサと吉沢正章WRXの新旧スバル対決となったが、軍配はインプレッサの池田選手に上がった。「慣熟走行、1本目、2本目と走る毎にタイムダウンしてしまいましたが、何とか勝てて良かったです(笑)」と辛くも優勝の池田選手は、前回に続き2連勝でシリーズチャンピオンも獲得となった。
NT4クラス優勝の吉沢選手。
S2クラス表彰。優勝の上原将幸選手は総合ベストのタイムでオーバーオールウィン。
S4クラスはWRXの金子徹選手が優勝。「今シーズンは2戦目で、あまり走ってないのですが、ターンは上手くいったかな、という感じです。タイム的にはちょっと悲しいですけど(笑)」。
S4クラス優勝の金子選手。
ハイブリッドクラスは長畑年光選手が優勝。「今回は1本目はターンを失敗し、2本目はシフトミスで不本意な走りでした」。
ハイブリッドクラス優勝の長畑選手。
クローズドクラスは「来シーズンからはトヨタ-2クラスに参戦します」という田代義昌選手が優勝。
クローズドクラス優勝の田代選手。

フォト&レポート/友田宏之

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