懐かしのステージも復活!やましろのくにラリーが、京都で初開催

レポート ラリー

2020年12月8日

全4戦で開催される予定だったJMRC近畿SSラリーシリーズは第3戦が中止されたものの、最終戦となる第4戦「やましろのくにラリーin宇治田原」が11月14~15日に開催された。

JMRC近畿SSラリーシリーズ第4戦
やましろのくにラリーin宇治田原

開催日: 2020年11月14~15日
開催場所: 京都府
主催:T・O・F

 今回のラリーのオーガナイザーは全日本ラリーでドライバーとして活躍する福永修選手が代表者であるチーム・オサムファクトリー(T・O・F)で、今回がラリー初開催となる。スタート、サービス、フィニッシュとメイン会場になったのは、京都府南部に位置する宇治田原町役場の駐車場で、町としてホストタウンになるのも初めてである。

 「今までは参加するだけだったんですが、長年楽しませてもらったラリー界にお返ししたい気持ちから、今度は皆が楽しんでもらえるように、と主催を決意しました。ここ宇治田原町は、昨年まで開催していた『城陽ジャンプストリーム』で駐車場を貸して頂く等の協賛を得ていました。今年7月に新庁舎を竣工され、町からも何か利用できることはないだろうかとの打診を頂いたので、お互いの思いが一致し、今回のホストタウンとなりました」と、福永氏が今回のラリー開催に至るまでの経緯を語ってくれた。

 SSとなったコースはかつて70年代後半から90年代にかけてJAF中部・近畿選手権でも使用されていた林道でもあり、オールドファンにとっては懐かしいコースである。そんなラリーに集まったのは37台。今年は全国的に新型コロナの影響を受け、中止が相次いでいることもあってか、隣の中部地区はもちろん、関東や四国からもエントリーが集まった。ラリーは15日午前10時に宇治田原町の西谷信夫町長のフラッグにより、スタートが切られ、4本のSSが待ち受けるステージへ各クルーが臨んだ。

 DE-1クラスは今年からラリーに参戦を始めた中部の三枝聖弥/石田裕一組が、SS1で関東から遠征の上原利宏/佐瀬拓野組に約10秒の差を付けるベストタイムを奪取。しかし路面の荒れたSS2ではラリータイヤをチョイスしていた上原組が逆に約10秒の差を挽回し0.1秒差のトップでサービスへ帰ってきた。

 サービス後のSS3とSS4はSS1とSS2のリピートステージのため、両組とも、それぞれの思惑を胸に再スタートした。もちろん三枝組はSS3でも引き離す作戦だったが、それが裏目に出て空回りし、ミスが多く、上原組に2秒しか差を付けられなかった。対する上原組は、SS4で三枝組を10秒以上も突き離すベストタイムをマーク。この結果、再逆転を果たした上原組が優勝を飾った。

 「関西の道はエキサイティングで面白かったです。SS2では泥がすごかったので勝負はSS4と思ってました。自分のタイムを少し上げたら勝てると思い、1ループ目の反省を生かして走りました。ラリーには勝ったけれど、DE-2クラスのセリカに負けたのは悔しいです」と上原選手。対する三枝選手は「悪路の路面状況に、ついていけなかったのが悔しいですね。学ぶことの多かったラリーでした」と振り返った。3位にはSS2でベストタイムを出した、四国からエントリーの長江修平/中岡和好組が入賞した。

 DE-2クラスはSS1で、今年は全日本でも速いところを見せる大竹直生/藤田めぐみ組が、JAF中部・近畿ラリー選手権チャンピオン確定の廣嶋真/廣嶋浩組に3秒以上の差を付けるベストタイムを叩き出した。しかしSS2の途中からデフにトラブルが発生し、リタイヤとなってしまう。こうなればチャンピオン廣嶋組の独壇場となり、残るSSすべてベストタイムで優勝を飾った。

 「前戦のANDラリーではコバライネン選手にやられましたが、減衰不足を感じて今回は上げてきました。それが良かった感じです。車なりに走らせるようにもなってきましたし、人間、クルマともこの1年進歩したと思います」と廣嶋選手は終始、笑顔だった。2位にはTRDラリーカップのチャンピオン吉原將大/佐野元秀組が入賞したが、ガラリと変わったセッティングに苦しんだという。

 「TRDカップでは使えるタイヤやパーツが決まっていたので、初めて履いた舗装用タイヤでの練習不足が出てしまいましたね。サイズ違いの中古タイヤで練習したのですが、本番では新品タイヤを使い切れませんでした。悪路では苦手意識が出てしまったラリーでした」と反省しきりの吉原選手だが、三枝選手同様、まだまだラリーを始めたばかり。経験を積んでいけば、きっと速くなるはずだ。

 3位には中部の鮫島大湖/船木佐知子組が入賞したが、こちらも「あかんかった。うまくリズムを掴めませんでした」と反省しきり。対照的に4位に入った全日本ダートラ選手の上村智也/上村衣代組は終始、笑顔。「奥さんのラリーデビューです。僕自身もラリー出るは何年振りやろ(笑)。4位は悔しいけれど、すごく楽しかったです」と上村選手は振り返っていた。

 DE-5クラスは今大会最多の16台がエントリー。こちらも中部・近畿戦チャンピオンの福田卓也/中根秀之組がSS3までベストタイムを連取し、あっさりと優勝した。「皆、SS1で一気に行かなかったのかな。大きく差がついたので、そのままって感じです。自分なりの走りをして、結果から見るとそれが良かったのか、と」と福田選手は笑顔を見せていた。

 2位には全日本入賞経験のある渡部哲成/橋本美咲組が入ったが、「悔しいのは悔しいけれど、今回は、できたばかりのクルマで林道を走ったのは初めてだったので、前半抑え過ぎました。2本目で現状把握できたので、次のツール・ド九州に向けて周りと少しでも差を縮められるよう頑張ります」と次戦を見据えていた。3位は四国の松原久/和田善明組が入賞。「5年ぶりのターマックラリーにタイヤがうまく使えませんでした。SS2ではスピンもしたし。でも楽しかったから良しとします」と松原選手は笑顔で振り返った。4位は前半2番手だった富本諒/竹藪秀樹組が入ったが、「2ステで負けたけれど今回は勉強できたラリーです」と、こちらも次を見据えたラリーとなった。

 DE-6クラスは一騎打ちを制した田中裕二/仲野篤組が優勝。「サービスの皆さんがクルマを見てくれてアドバイスも頂いて、その結果しっかり走り切れて勝ったので、嬉しいです」と田中選手はチャンピオン獲得を喜んでいた。

日本緑茶発祥の地である宇治田原町は、現在も宇治茶の主要な生産地として知られている。
サービスーパークは建て替えが終わったばかりの宇治田原町役場の新庁舎前の広場に置かれた。
ラリー当日は新型コロナウイルス感染防止対策も徹底された。
DE-1クラスはグラベルラリーでも悪路で速さを見せる上原利宏/佐瀬拓野組が、面目躍如の走りを見せて優勝した。
DE-1クラス優勝の上原/佐瀬組。
DE-2クラスは、今季、圧倒的な速さを見せている廣嶋真/廣嶋浩組が優勝した。
DE-2クラス優勝の親子コンビである廣嶋組。
DE-5クラスは福田卓也/中根秀之組がSS1から3連続ベストでライバルを圧倒し、快勝した。
DE-5クラス優勝の福田/中根組。
DE-6クラスは、田中裕二/仲野篤組が全SSベストの快走を見せて優勝した。
DE-6クラス優勝の田中/仲野組。

フォト&レポート/山口貴利

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