森田正穂エリーゼ、0.009秒差の接戦を制し、全勝をキープ!

レポート サーキットトライアル

2020年11月30日

11月1日、JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズの最終戦となる第5戦が、筑波サーキット・コース2000で開催され、各クラスでシリーズチャンピオンを巡る熱い戦いが展開された。

2020年JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ第5戦
東関東サーキットトライアルinつくばSr5
DUNLOP DXLスカラシップタイヤランド足立
TMAC Aライセンス講習会サーキットトライアル付き⑪
開催日: 2020年11月1日
開催場所: 筑波サーキットコース2000
主催: TMAC、JASC

 シリーズは全5戦で開催される予定だったが、新型コロナウィルスの影響を受け、第2戦と第3戦が開催中止となり、今回の第5戦を含め、全3戦でのポイント争いとなった。そして、未だ終息の気配を見せない事から、感染拡大防止策として、会場内ではマスクの着用、受付では検温や消毒、問診票を提出する等の措置が採られた。

 穏やかな秋空の下、当日は30台がエントリー。併催された東関東サーキットトライアルの8台も混走となったため、2枠に分けての走行となった。全クラス、チャンピオン争いが最終戦まで持ち越され、白熱した攻防戦が繰り広げられた。

 カプチーノの吉崎久善選手とマーチの柴田尚選手の同ポイント対決となったB-1クラス。吉崎選手は、過去にシリーズ4連覇を達成している強豪だが、第1ヒートで暫定トップに立ったのは柴田選手。続く第2ヒート、両選手ともに自己タイムを更新する走りを見せたが、吉崎選手は柴田選手のタイムに0.2秒届かず、柴田選手の勝利となった。「吉崎選手とは10年来の良きライバルです。今回やっとシリーズで吉崎選手に勝つ事が出来ました」という柴田選手は、この優勝で初のシリーズチャンピオン確定となった。

 B-2クラスは、続々とコースレコードが更新される好ゲームが展開された。まずは第1ヒート、前回の覇者、スイフトの菊間邦明選手が自身の持つ記録を更新する1分09秒428でトップに立つ。第2ヒートになると、ロードスターの日向孝之選手がそのタイムを0.065秒更新し、暫定トップ。さらに後半、菊間選手と同じくスイフトの石井均選手が、日向選手を0.049秒上回りトップタイムを更新する。

 菊間選手は10周目にヒートベストを出すも、第1ヒートのタイムを更新する事ができず、タイムアタック終了。この結果、1位から3位までが0.114秒という僅差の戦いを石井選手が制した。「筑波はレースでは走ってますが、サーキットトライアルは初めてです。車両スペック的には自分の方が有利なはずなのに、第1ヒートは同じスイフトの菊間選手にトップを奪われた事でスイッチが入りました(笑)」と石井選手。初のサーキットトライアルを逆転で優勝を決めた。シリーズは菊間選手がチャンピオンを確定した。

 B-3クラスは参加2台と、やや寂しい状況だったが、スイフトターボの松栄吉彦選手が優勝。松栄選手は、関東地区選手権ではクラスチャンピオンも獲得した現役のダートトライアルドライバー。「ドライビングのスキルアップのため、(舗装路面の)サーキットトライアルに参加しました」という松栄選手。車両はダートラ車両の足回りをターマック用に変更し、参戦。前回は松栄選手1台の出走で、競技としては不成立となってしまったため、参考タイムとなったが、今回はその時のタイムを上回り、自身のベストタイムを更新しての優勝となった。

 3台の86で争われたB-4クラスは、市川忠康選手が優勝して今シーズン全勝を達成した。第1ヒートからトップに立つ市川選手は、「今回、車高バランスを変えたセッティングで走ってみたのですが、第1ヒートは思ったような成果が出ず、苦戦しました。第2ヒートまであまり時間がなかったのですが、再調整して挑んだところ、良い結果になりました」と、クラス唯一タイムアップを果たしての優勝。昨年に続き、2年連続のシリーズチャンピオンも確定した。

「今日は負けるかもしれないと思ってました」と語ったのは、B-5クラスでエリーゼを駆る森田正穂選手。サーキットトライアル常勝の森田選手を脅かす相手は、フェアレディZで参戦の秋本拓自選手だ。「秋本選手とは昔からの仲で、実は、僕の方からサーキットトライアルに誘いました(笑)」と、自ら強敵を誘い込んだ森田選手。秋本選手はサーキットトライアルは初参加となるが、第1ヒートは1分05秒050で、2番手の森田選手に0.7秒の差をつけ、トップで折り返す。

 第2ヒートになると両選手ともに1分04秒台の戦いに突入。秋本選手は5周目に1分04秒911と自己タイムを更新し、アドバンテージを取る。しかし森田選手は、最後のアタックを賭けた終盤に1分04秒902と、秋本選手のタイムを1000分の9秒更新、土壇場での逆転勝利となった。

「第1ヒートから走り方をかなり修正しました。秋本選手と良い勝負ができて嬉しいですね」と優勝の森田選手。一方、惜しくも2位の秋本選手は表彰式では「森田選手が勝ち過ぎているというので、退治するつもりが、逆にやられてしまいました(笑)」とコメントした。最終戦でハイレベルな戦いを制した森田選手は、今シーズンも全勝でシリーズチャンピオンを確定した。

 大排気量の4WDターボ車が主力車種で争われるB-6クラスは、今シーズンから筑波サーキットトライアルに参加しているインプレッサの渋沢栄一選手が、すでに2勝を挙げポイントリーダー。今回も勝って全勝でチャンピオンを獲りたいところだが、第1ヒート、その渋沢選手に暗雲が立ち込める。インラップから1周目のタイムアタックを終えた2周目のダンロップコーナー付近でミッショントラブル発生。そのまま競技終了となり、第2ヒートは不出走を余儀なくされる。

 しかし、その1周目で出したタイムの1分02秒232は第1ヒート全体を通してのトップタイム。そのタイムを守り切れるどうか、第2ヒートは他の選手の走りを見守るしかない渋沢選手だが、その祈りが通じたか。第2ヒートは各選手、自己タイムを更新し、上位陣は1分02秒台までタイムを詰める戦いとなったが、渋沢選手のタイムには届かず、逃げ切る形で渋沢選手が優勝。全勝でシリーズチャンピオンも確定した。

「(第1ヒートの走りは)自分的には不完全な走りだったのですが、今回は運が味方してくれたという事で(笑)」と渋沢選手。一方、第2ヒートでトップの高岩良行選手は、「出せる力は出し切りました。今の自分自身の実力とクルマの状態では、これ以上のタイムは出ないと思います」と、優勝は逃したものの、納得の表情を見せた。

 併催された東関東サーキットトライアルでは、NT-1クラスはロードスターの新妻隆選手、NT-2クラスはシビックの筑井広史選手、NT-3クラスはWRXの久保田孝幸選手がそれぞれ優勝となった。

新型コロナウィルス感染防止対策が随所で図られた上の開催となった。
B-1 クラスは第2ヒートも0.1秒詰める走りを見せた柴田尚選手が優勝。
B-1クラス表彰の各選手。
B-2クラスは第1ヒート2番手だった石井均選手が逆転で優勝。クラスのコースレコードも更新した。
B-2クラス表彰の各選手。
B-3クラスは関東地区のダートトライアルでトップドライバーとして活躍する松栄吉彦選手が優勝。
B-3クラス優勝の松栄選手。
3台の86による闘いとなったB-4クラスは、ただ一人、第2ヒートでタイムを上げた市川忠康選手が勝利をさらった。
B-4クラス優勝の市川選手。
B-5 クラス表彰の各選手。
B-6クラスはマシントラブルのため、第2ヒートはタイムを残せなかった渋沢栄一選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
B-6 クラス表彰の各選手。
PN-1クラスでは林孝選手のアルトが優勝。
NT-1クラスはロードスターをドライブした新妻隆選手が優勝。
NT-1クラス優勝の新妻選手。
NT-2クラスはシビックの筑井広史選手が制した。
NT-2クラス優勝の筑井選手。
NT-3クラスは久保田孝幸選手のWRXが優勝を飾った。
NT-3クラス優勝の久保田選手。

フォト&レポート/友田宏之

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