晴天のオートポリスでコースレコードを更新! TEAM MUGEN野尻智紀選手が今季初優勝!

レポート レース

2020年12月1日

JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦がオートポリスで開催。天候に恵まれた今大会では、コースレコードを1秒以上破る驚きのタイムを記録。新たなレコードホルダーとなったTEAM MUGENの野尻智紀選手がポールポジションから今季初優勝を飾った。

2020年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦
開催日:2020年11月14~15日
開催地:オートポリスインターナショナルレーシングコース(大分県日田市)
主催:APC、(株)オートポリス

 昨年、一昨年と天候に恵まれなかったスーパーフォーミュラのオートポリス大会だが、この週末は設営日から汗ばむほどの陽気に包まれた。今大会もスーパーフォーミュラはワンデー開催され、予選Q1~Q3、41周に短縮された決勝レースが日曜に行われた。

 午前に行われた公式予選のQ1はランキング順で二組に分割。ポイントリーダーの平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)がQ1でクラッシュを喫し早々に予選敗退となる波乱もありながら、各車が予選Q1から次々とコースレコードを更新していった。

 最終的に1分24秒140と、コースレコードを1.5秒以上塗りかえた野尻智紀選手(TEAM MUGEN SF19)が、今シーズン初のポールポジション獲得。2番手には0.01秒差で福住仁嶺選手(DOCOMO DANDELION M6Y SF19)が入り、3番手には山本尚貴選手(DOCOMO DANDELION M5S SF19)とホンダエンジン勢が続いた。

 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第11戦決勝の後、本大会の最終レースとして行われたスーパーフォーミュラ第4戦決勝レースでは、好スタートを切ったのが1列目に並んだ野尻選手と福住選手。山本選手は僅かに出遅れ、後方の坪井翔選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)、松下信治選手(Buzz Racing SF19)らに先行される。

 その後、4周目にサッシャ・フェネストラズ選手(ORIENTALBIO KONDO SF19)が、左リアタイヤが外れてしまうトラブルに見舞われコースサイドにストップ。これを回収するため、本日1回目のセーフティカー(SC)が導入された。

 SCが解除されレースが再開されたのは10周目。その周を終えるところでいち早くピット作業を行ったのが、12番手スタートの牧野任祐選手(TCS NAKAJIMA RACING SF19)。さらに翌周には坪井選手がピット作業を行った。

 坪井選手は牧野選手の前でコースに戻るが、タイヤ交換の際にトラブルに見舞われ、左リアタイヤがスローパンクチャーを起こしてストップしてしまう。これで2度目のSCが導入されると読み、真っ先にピットに戻ってきたのが野尻選手で、チームもミスない作業でマシンをコースへと送り出した。

 野尻選手は、ステイアウトを選択した山本選手やニック・キャシディ選手(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)、笹原右京選手(TEAM MUGEN SF19)の後ろ、4番手でコースに復帰。16周目にレースが再開された後は、見た目のトップを走る山本選手と、ピット消化組のトップである野尻選手による、見えないライバル同士の精神戦となる。

 レース後半は、山本選手がピットインするまでに、野尻選手の前でコースに復帰できる十分なマージンを築けるかどうかに注目が集まった。そして、山本選手は野尻選手より1秒以上速いラップタイムで差を広げ、両者の差は一時20秒以上にまで拡大した。

 しかし、残り10周の辺りからは、それぞれのラップタイムがほぼ変わらなくなり、ギャップも広がらなくなっていく。山本選手は残り2周になったところでピットイン。6.6秒という好タイムでタイヤ交換を消化した。しかし、山本選手は野尻選手の前に出ることはかなわず、牧野選手の前、2番手の位置でコースに復帰した。

 最終ラップは、フレッシュタイヤで山本選手が一気に野尻選手に攻め寄った。セクター3ではテール・トゥ・ノーズ状態にまで接近。最終コーナーでは2台が縦に並んで立ち上がってきたが、野尻選手が山本選手の追撃をしのぎ切ってトップチェッカー。今シーズン初優勝を獲得、山本選手は悔しさの残る2位となった。3位には早めのピット作戦が功を奏した牧野選手が入り、スーパーフォーミュラでは初となる表彰台を獲得した。

予選Q1はAグループでのアタックとなった野尻智紀選手。荒れた展開ながらも1分25秒707の4番手タイムを計測。14台によるQ2では1分24秒762で6番手タイムをマークした。
予選Q3では、マシンの特性に合わせたタイヤ戦略が効いて1分24秒140のトップタイムを計測した野尻選手。コースレコードを大幅に更新してポールポジションを獲得した。
野尻選手と福住選手というスーパーGTもてぎ大会の優勝コンビがフロントローを獲得。山本選手を含めてトップ3をホンダ勢が独占して、41周の決勝レースがスタートした。
ホールショットの野尻選手は12周終了後にピットを消化。ここから山本尚貴選手との”見えない”バトルが終盤まで続き、辛くも逃げ切った野尻選手が昨年の鈴鹿以来の優勝。
スーパーフォーミュラ第4戦表彰式。優勝は野尻選手、2位山本選手、3位は福住選手。
2位・山本尚貴選手 TEAM MUGEN/DOCOMO TEAM DANDELION M5S SF19
3位・牧野任祐選手 TCS NAKAJIMA RACING/TCS NAKAJIMA RACING SF19
4位・国本雄資選手 carrozzeria Team KCMG/KCMG Elyse SF19
5位・山下健太選手 KONDO RACING/ORIENTALBIO KONDO SF19
6位・松下信治選手 Buzz Racing with B-Max/Buzz Racing SF19
セルジオ・セッテカマラ選手の代役として急遽参戦となった松下信治選手は悔しい6位。
開幕戦もてぎ以来今季2度目の参戦が実現したタチアナ・カルデロン選手。16位に終わる。
今シーズン、ようやく初参戦が実現した若手期待のシャルル・ミレッシ選手。結果は15位。
SFLと掛け持ちの宮田莉朋選手が今季2度目の代役参戦。予選Q2では山本尚貴選手と同タイムとなるトップタイムを計測。決勝ではニック・キャシディ選手に続く8位に終わる。
今季は不運続きのサッシャ・フェネストラズ選手。今回は序盤のタイヤ逸脱で完走ならず。
第2戦岡山大会を制した坪井翔選手。戦略は奏効したもののタイヤトラブルでストップ。
今大会も観客動員を行ったが、ピットやパドックエリアへの観客の立入りは制限された。
関係者にはJRP発給のリストバンド装着を義務付け。感染拡大防止対策済みの目印とした。
土曜と日曜の昼には「PIT VIEW」と呼ばれるピットウォークに準じた観戦機会を提供。関係者と観客を隔てる大きな緩衝地帯を設定し、観客はフェイスガードを装着した。
SFとSFLのスタート進行時には「GRID VIEW」と呼ばれるグリッドウォークに準じた観戦機会を設定。PPE装着の観客はロープ外のコースサイドからグリッドを観ることができた。

フォト/吉見幸夫、JAFスポーツ編集部 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部

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