2020年全日本/ジュニアカート選手権のタイトル争いの行方は?
2020年11月19日
本来であれば11月中旬にシリーズが終わり、この時期には各部門のチャンピオンが確定している全日本/ジュニアカート選手権。新型コロナウイルスの影響で今年はOK部門最終戦と東西統一競技会は12月中旬に開催される。そこで来月の最終戦、東西統一競技会の開催前に、現時点でのチャンピオン争いをプレビューしてみた。
新型コロナウイルス感染拡大の余波で、7月~12月の6か月間で10大会を駆け足で消化する異例の開催日程となった、2020年の全日本/ジュニアカート選手権。ここまでOK部門の全10戦中8戦と、東西各地域の5戦ずつを終え、いよいよ残すは12月12~13日の鈴鹿大会のみとなった。
そこで、シリーズ最終決戦を前に、ポイントレースとチャンピオン争いの状況を部門ごとにまとめてみよう。
■全日本カート選手権OK部門
国内カートレースの最高峰に位置するOK部門は、ツインリンクもてぎで行われた第7戦/第8戦で、同部門2年目の16歳、渡会太一選手(Drago CORSE)がシリーズポイントを223点に伸ばし、早くもチャンピオン獲得を確定させてしまった。
とはいえ、戦いの炎が鎮まったわけではない。ひとつでも上のランキングを獲るため、そして最高のレースで一年を締めくくるため、各選手は鈴鹿サーキット国際南コースでの第9戦/第10戦に強い意気込みと意欲を燃やしている。
153点で目下ランキング2番手に着けるのは、ベテランの佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)。今季はSUGO大会の2戦の欠場があり、全10戦中8戦有効のポイントシステムによって鈴鹿大会の得点が丸ごと加算されるのは大きな強みだ。
148点の3番手は平安山良馬選手(TEAM EMATY)、133点の4番手は荒尾創大選手(BirelART RAGNO Racing)と、強烈な速さを見せるルーキーふたりが続く。今季の開幕となったAPG大会で、ヨコハマ・タイヤ絶好調の波に乗って2戦連続ポール・トゥ・ウィンを飾ったベテラン三村壮太郎選手(Croc Promotion)は、第3戦以降ブリヂストン・タイヤ陣営の猛攻を受け苦戦が続いているが、それでも巧みなレース運びでポイントを拾い、118点で5番手に。SUGO大会の0点と2点のレースがある三村選手も、有効得点を大きく伸ばす余地があるひとりだ。
他に100点を超えているのは、111点の高橋悠之選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)と101点の遠藤照剛選手(Croc Promotion)。それ以外にも速さや強さが光る選手が大勢おり、ポイントレースの行方は最後まで白熱することだろう。
■全日本カート選手権FS-125部門
FS-125部門も、西地域で5戦全勝を遂げて168点を荒稼ぎした津野熊凌大選手(Scuderia Sfida)が、すでにタイトルを確定させてしまった。津野熊選手の残るテーマは、東地域勢との直接対決でも強さを見せつけて、栄冠に花を添えることだろう。
ランキング2番手に着けているのは、西地域で136点を獲得した山口大耀選手(HRS JAPAN)。3番手の洞地遼大選手(K.SPEED WIN)は110点と、山口選手に大差を付けられているように思えるが、これを鈴鹿大会でのポイント上積みのベースとなる上位4戦で見比べると、山口選手111点、洞地選手107点となり、その差はぐんと縮まる。
その後には小林利徠斗選手(Formula Blue Super Racing Junkie!)、山越ヒユウ選手(Formula Blue ガレージC)、佐野雄城選手(BirelART RAGNO Racing)の3名が109点の同点で4~6位に並ぶ。勢いがあるのは鈴鹿選手権のFS-125/X30クラスで2連勝して逆転チャンピオンとなった佐野選手か。FS-125部門には限定Aライセンス獲得を目指す選手も多く、ランキング上位を競い合う鈴鹿でのレースはヒートアップしそうだ。
■全日本カート選手権FP-3部門
FP-3部門のチャンピオン候補は5名。そこにはふたりの女性ドライバーも名を連ねている。そのチャンピオン候補たちの東西各5戦の合計得点と、有効5戦のベースとなる上位4戦分の“持ち点”の両方を並べてみよう。
中村仁選手(Formula Blue TKC)145点/125点、角陽向選手(FLAX motor sports)119点/119点、竹本優月輝選手(TAKAGI PLANNING)119点/106点、坂上真海選手(TAKAGI PLANNING)113点/101点、森岡泉美選手(Formula Blue Ash)112点/109点。
持ち点で比較しても、5名の中で唯一複数の勝利(3勝)を挙げている中村選手の優位は変わらないが、角選手とのギャップはグンと縮まって6点差となる。もし森岡選手か坂上選手がタイトルを獲れば、全日本史上初の女性チャンピオン誕生だ。
■ジュニアカート選手権FP-Jr部門
チャンピオンの権利を持っているのは、109点の宮本颯斗選手(Teamぶるーと)、104点の豊島里空斗選手(HRT with 大進テクノ)、99点のOSAMU選手(Bulldog99 茂原ツインサーキット)、93点の五十嵐文太郎選手(チームエッフェガーラ)、92点の落合蓮音選手(Ash with Hojust)、87点の熱海瑛達選手(ガレージC)の6名だ。
これを有効4戦で再計算すると、五十嵐選手93点、落合選手92点、宮本選手89点、熱海選手87点、豊島選手86点、OSAMU選手83点となり、タイトル争い(6戦中5戦有効)が極めて接戦になっていることが分かる。ポイントが1.5倍となる鈴鹿での東西統一競技会は、大きな意味を持つこととなるだろう。
■ジュニアカート選手権FP-Jr Cadets部門
チャンピオン候補は、5戦合計で107点の金子准也選手(ラムレーシング)、90点の松井沙麗選手(BEMAX RACING)、86点の佐藤佑月樹選手(RT WORLD)、80点の楠本誠真選手(ERS with SACCESS)、75点の酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)の5名。そのうち2名が未勝利なのは興味深いところだ。
5戦すべてでポイントを獲っているのは金子選手のみで、他の4名は東西統一競技会のポイントを丸ごと上積みできる。首位の金子選手と2番手の松井選手の実質的な差は、わずか2点。鈴鹿で笑うのは、果たして誰か。
フォト/遠藤樹弥、小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部