鈴木斗輝哉選手が今シーズンの鬱憤を晴らすFS-125部門初優勝!

レポート カート

2020年11月17日

全日本カート選手権2020シリーズ・東地域の戦いを締めくくる第5戦が11月14~15日、OK部門との同時開催で、ツインリンクもてぎ北ショートコースで開催された。FS-125部門では鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)が初優勝を飾り、西地域の津野熊凌大選手(Scuderia Sfida)のチャンピオンが確定。FP-3部門では中村仁選手(Formula Blue TKC)が接戦を制して3勝目を獲得した。

2020年JAF全日本カート選手権FS-125部門/FP-3部門 東地域第5戦
2020年JAFジュニアカート選手権FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 東地域第5戦

開催日:2020年11月14~15日
開催地:ツインリンクもてぎ北ショートコース(栃木県茂木町)
主催:株式会社モビリティランド

 FS-125部門では、ひと足先に終了した西地域で5戦全勝を遂げてポイントレースを独走する津野熊選手に対して、東地域勢がタイトル争いを東西統一競技会に持ち込めるか否かに注目が集まった。津野熊選手の他にチャンピオン獲得の可能性を持っているのは、洞地遼大選手(K.SPEED WIN)のみ。洞地選手がタイトル戦線に生き残るためには、予選で2番手以上、決勝で1位の結果が必須だ。

 そして、予選でまさかの事態が起きた。タイムトライアルで7番手に留まった洞地選手が、1周目の激しいポジション争いの中でヒットされてスピン。最下位近くの位置から再びレースに加わるも、フロントフェアリングのペナルティもあって14位に終わったのだ。この時点でチャンピオン争いは終結。この日の決勝と東西統一競技会を待たずして、戦いの場にいない津野熊選手が2020シリーズの王座に就くことが確定した。

 このレースでイニシアティブを取ったのは鈴木選手。タイムトライアルトップから予選ヒートを危なげなくクリアして決勝のポールに着くと、30周の決勝でも後続を引き連れてトップのまま周回。レースが中盤戦に入るあたりからじわじわとリードを広げ、最終的にはライバルたちを5秒以上後方に追いやって独走フィニッシュを果たした。

 FS-125部門デビューの今季、毎回のように目を見張る速さを披露しながら、それがうまく結果につながらないレースが続いた鈴木選手。今回は終始危うさのない走りを見せ、待望の初優勝にようやくたどり着いた。

 2番グリッドから発進した佐野雄城選手(BirelART RAGNO Racing)は、背後にズラリと連なった後続たちの脅威にさらされ続けながら、最後まで逆転を許すことなく走り切り、2戦連続の2位となった。3位は洞地選手。本人には不満が残るペースだったものの、11ポジションアップで表彰台登壇を果たした。

「優勝まで長かったです。本当に、やっとって感じですね。これまでは焦りがあったのか、自分の速さを出せませんでした。今回は走り始めから好調で、自信を持って臨むことができました。次の鈴鹿は今まで2回勝っているコースなので、その経験を生かして、楽に勝ちたいですね」とコメントした鈴木斗輝哉選手。
FS-125部門東地域の表彰式。左から2位の佐野雄城選手、1位の鈴木選手、3位の洞地遼大選手。

 FP-3部門の決勝はフロントローのふたり、開幕戦ウィナーの角陽向選手(FLAX motor sports)と今季2勝の中村選手によるマッチレースとなった。

 ポールの角選手を先頭にして、ふたりはスタート直後からピタリと連なったまま走行を続け、3番手以下を引き離していく。このタンデム走行はゴール間際まで続くかと思われたが、10周を残したところで中村選手が角選手をパスしてトップに浮上。角選手も最後まで食い下がったが、中村選手はその逆襲を最後まで封じ込め、2連勝で今季3勝目を飾った。

 佐久間宇宙選手(YRHKS With M'sBear)、半田昌宗選手(TEAM WOLF&後藤エンジン)、富下李央菜選手(カローラ新茨城レオンキッズレーシング)による3位争いも白熱。最後は佐久間選手と富下選手が横一線でチェッカーをくぐり、一旦は佐久間選手が3位とされた。だが数分後、写真判定でこの結果は覆り、3位は富下選手のものとなった。

もてぎで優勝して着実にポイントを積み重ねた中村仁選手。「後半は自分の方がペースが良くなると思って、あの(早めの)タイミングで前に出ました。優勝できたことも、落ち着いてレースができたこともうれしいです。東西統一競技会はブッチ切りで勝てるよう、しっかり準備をして臨みます」と意気込みを語った。
FP-3部門東地域の表彰式。左から2位の角陽向選手、1位の中村選手、3位の富下李央菜選手。

 同時開催のジュニアカート選手権・東地域第5戦。今季最多となる13台が出走したFP-Jr部門では、ポールから一旦5番手まで後退した五十嵐文太郎選手(チームエッフェガーラ)が、その後の奮起で大集団による混戦を制し、3勝目を獲得した。

 もっとも多くの周回をリードしたOSAMU選手(Bulldog99 茂原ツインサーキット)が2位、熱海瑛達選手(ガレージC)が3位に。スポット参戦のデビューレースでタイムトライアルトップを獲った下田零翼選手(ハルナカートクラブ)は、6位フィニッシュでポイント獲得を果たした。

 FP-Jr Cadets部門では、酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)と吉岩泰選手(ミツサダ PWG RACING)のフロントローふたりが、序盤から何度もポジションを入れ替えながら3番手以下を大きく引き離して、チームメイト同士のマッチレースを展開。この戦いは最終ラップに先頭へ出た酒井選手の3勝目で決着した。

 初優勝ならなかった吉岩選手も、2戦連続の2位に笑顔で表彰台へ。3位フィニッシュで4戦連続の表彰台に立った松井沙麗選手(BEMAX RACING)は、東地域のランキング首位に浮上。4週間後の東西統一競技会では、日本カート選手権史上初の女性チャンピオンの座に挑む。

「今回は勝てたけれど、抜き方とかいろんなことに課題が残るレースでした。最後の2周は必死だったけれど、そこまではちゃんと残り周回数を確認しながら落ち着いてレースをすることができました。鈴鹿でも勝ってチャンピオンを獲ります」と、FP-Jr部門の優勝を振り返った五十嵐文太郎選手。
FP-Jr部門東地域の表彰式。左から2位のOSAMU選手、1位の五十嵐選手、3位の熱海瑛達選手。
今季3勝目を挙げた酒井龍太郎選手は、「茂原とSUGOではエンジン不調もあって勝てずに悔しかったけれど、ここで勝ててうれしかったです。思いどおりのレース展開で勝つことができました。チャンピオンになれるかどうかは分からないけれど、鈴鹿でも優勝したいです」と笑顔で応えた。
FP-Jr Cadets部門の表彰式。左から2位の吉岩泰選手、1位の酒井選手、3位の松井沙麗選手。
GT300の吉田広樹選手が、蒲生尚弥選手とともにFP-3部門にスポット参戦。トレーニングの一環でカートを始めたそうだが、楽しい反面で思うような結果が出せず、今回はレギュラー参戦している選手たちの胸を借りるつもりで挑戦者として全日本選手権に臨んだ。開催期間中は笑顔でカートを楽しんでいた。

フォト/遠藤樹弥、小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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