NEWコースとなった丸和が舞台のシリーズは3本勝負。逆転劇相次ぐ!

レポート ダートトライアル

2020年11月13日

丸和オートランド那須を舞台に開催されてきた丸和カップ。改修された新コースを舞台とするシリーズが今年は7月から始まった。舗装区間の攻め方など新たな課題も求められる新コースでのバトルの行方は果たして、どう決着したのか!?

2020丸和カップダートトライアルシリーズ第4戦
EDOGAWA Dirt Trial

開催日:2020年10月25日
開催場所:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:EDOGAWA

 丸和カップは文字通り、栃木県の丸和オートランド那須で開催されるダートトライアルシリーズだ。今年のシリーズは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて当初のカレンダーを再編。7月19日に開幕戦が行われた。今年は11月15日に最終戦となる第5戦が行われる予定であるため、今回の一戦はラス前となるシリーズ第4戦に当たる。

 今回、主催を担当したJAF登録クラブの江戸川自動車倶楽部(EDOGAWA)は毎年、一風変わったユニークなコース設定をすることで知られたクラブ。今回もその斬新なコースレイアウトを期待して87名のエントラントが集まったが、これまでのEDOGAWAのイベントに比べれば、ややオーソドックスな設定となった。

 「改修されて舗装の部分が増えたので、今までの丸和とは違ったコースの作り方が求められるようになりました。期待されているのは分かっているんですが(笑)、今回はとりあえず、なるべくダートの部分をたくさん走れるレイアウトにしました。来年こそ、あっと驚くコースを用意しますので、楽しみに待ってもらえればと思います」とは競技長の島村茂氏。次回の試みに期待したいところだ。

 丸和カップの最大の特徴は決勝トライが3本あること。終日、晴天となった今回はドライ路面が保たれたこともあって、ヒートが変わる度にトップタイムも続々と更新され、各クラスとも最後まで目が離せないスリリングな戦いが展開された。

 出走17台と今大会で最多のエントリーを数えたのはビギナー対象のB1クラスだ。第1ヒートは1分51秒177を叩き出したストーリアの高木凛吾選手がベストタイムを奪うが、第2ヒートではただ一人、1分47秒台に叩き込んだ塚本優之介選手がトップに立つ。勝負の第3ヒートに入ると塚本選手は1分44秒786までタイムを上げて後続の走りを待ったが、1分45秒を突破する選手は最後まで現れず、塚本選手が丸和カップ初優勝を達成した。

 「3本目の荒れた路面のさばき方が分からなかったんですが、走る前に色々な方からアドバイスをもらえたお陰で、何となく荒れた路面の走り方も突破口が見えてきました(笑)。舗装区間でラリータイヤをうまく使いこなせたことも良かったと思います」という塚本選手は大学4年生。「コロナ禍で学生の大会も中止が続いているので、こういう大会で同じ学生のドライバーと競うのはメチャクチャ刺激になります」と快心の走りができた一日を振り返った。

 一方、中級者対象のM2クラスには13台がエントリーしたが、第3ヒートで総合でも4番手に入る1分37秒113のスーパーベストを叩き出した三浦陸選手が優勝した。三浦選手は学生時代はオートパーク今庄で腕を磨いた25歳の若手ドライバー。就職で関東に来たため、改修前の丸和はほとんど走ったことがないという。

 「ウェットタイヤしか持っていないので、舗装区間はきつかったですけど、何とかサイド引いて、ごまかしました(笑)。前半と、後半のS字のダート区間で、早めに向きを変えて立ち上がり重視の走りをしたのが良かったと思います。舗装もアクセントがついて面白いですけど、僕はやっぱりダートが多い方がいいですね」と振り返った三浦選手はこれで前戦に続いて2連勝。シリーズリーダーに躍り出た。

 上級者対象のR2クラスは、全日本チャンピオン経験者が4人も集うハイレベルなクラスとなった。第1ヒートは4人の中では最も新しいチャンピオンである小山健一選手がベストを奪うが、第2ヒートでは2015年の全日本チャンプ、稲葉幸嗣選手がぶっちぎりのタイムで首位を奪還する。最後の第3ヒートでは河石潤選手も加わってチャンプ同士による三つ巴となったが、小山選手が稲葉選手を0.22秒凌いで再逆転。シリーズ2勝目をもぎ取った。

 丸和スペシャリストである小山選手によれば、NEW丸和は、「舗装とダートの切り替えが難しい。以前よりも考えなきゃいけないことが確実に増えた」とのこと。「気持ちが熱くなると早く踏みたくなるじゃないですか。ダートはそれでタイムが出たりするんだけど、舗装はそれがダメな時がある。それで2本目は失敗しちゃったんですよ(笑)。距離が短くても舗装で結構タイム差がつくから、ごまかしが効かない、きっちりとした走りをしないとダメだと思いますね」と丸和入門者達へのアドバイスをくれた。今回も若手の活躍が目立った丸和カップだが、新たな挑戦者達の登場を待ちたいところだ。

ATクラスは第2ヒートまでは2番手だった栗原まさき選手が最後に逆転に成功して優勝を飾った。
ATクラス優勝の栗原選手。
RVクラスは第3ヒートでライバルを突き離した緑川英之選手が優勝。
RVクラス優勝の緑川選手。
若手ドライバー達が果敢な走りを見せたB1クラスは塚本優之介選手が優勝。
B1クラス表彰の各選手。
B2クラスは3本ともベストタイムをマークした奈良岡伸哉選手が完勝。
B2クラス表彰の各選手。
出走15台と激戦区になったM1クラスは、第2&第3ヒートで頭ひとつ抜けたタイムを叩き出した畦地和雄選手が優勝。「3本目は無難に走りましたが、タイムダウンに繋がるようなミスがなかったことがタイムアップに繋がったと思います。丸和は旧コースも走ったことがありますが、新コースは舗装で走りをガラリと変えなければいけない所が僕は好きだし、楽しいですね」。
M1クラス表彰の各選手。
M2クラスは第3ヒートで第2ヒートのミスを帳消しにする快走を見せた三浦陸選手が優勝した。
M2クラス表彰の各選手。
R1クラスは、小山健一選手と稲葉幸嗣選手が全日本でのバトルを再現するかのような熱い戦いを繰り広げたが、最後は小山選手に軍配が上がった。
R1クラス表彰の各選手。
R2クラスは優勝候補本命の星野伸治選手が第2ヒートでマシン不調に見舞われながらも、第3ヒートでは見事に復調。貫録勝ちを見せた。
R2クラス表彰の各選手。
改修を受け、大きく変貌した丸和の新しいコースは、極端にグリップの変わる舗装とダートの走りの切り替えが、タイムアップには重要と多くのドライバーが口を揃えた。
今回のコース図。最終コーナーは舗装区間からダート区間に設定されたゴールに飛び込むレイアウトとなった。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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