富士スピードウェイが舞台の神奈川シリーズは『ウェットジムカーナ』で勝負!

レポート ジムカーナ

2020年11月6日

7月に開幕した今年のJMRC神奈川ジムカーナシリーズは3か月半の短期決戦。後は最終戦を残すのみという天王山の一戦がヒートアップした。

2020JMRC神奈川ジムカーナシリーズ第5戦
テクニカル・チャレンジ・ジムカーナ

開催日:2020年10月18日
開催場所:富士スピードウェイ15番パーキング(静岡県小山町)
主催:Force

 新型コロナウイルス感染拡大のため、スケジュールの再編を余儀なくされた今年のJMRC神奈川ジムカーナシリーズは、7月26日に第1戦が行われ、11月8日の第6戦まで実質的には3か月半のシリーズがスタートした。

 会場はすべて富士スピードウェイ内の駐車場で、第1戦から第4戦まではレーシングコースのヘアピンコーナーの内側に位置する7番パーキングが舞台となったが、今回の第5戦と最終戦は西ゲートの横にある15番パーキングにコースが設定される。

 今年の神奈川シリーズの大きな特徴のひとつは、全戦、ウェットジムカーナで行われること。天候が良く、ドライ路面であっても、敢えて散水車でコースに水を捲いて人工的にウェット路面を作り出した上で競技を行うというスタイルだ。

 このウェットジムカーナにより、タイヤの減りが少なくなるなどコストパフォーマンスの面でもメリットがあるほか、車両のパワー差もドライ路面に比べれば出にくいということもあって、神奈川シリーズではクラスを超えた総合順位の表彰を行っており、参加者達の大きなモチベーションにもなっている。また決勝の本番走行と同じレイアウトで午前中に練習走行会も行っているのも、このシリーズの特徴のひとつだ。

 午後から行われた決勝。最初の出走となったPN1クラスでは、ノート・ニスモSを駆る田尾光規選手が第1ヒートで暫定ベストを奪うが、第2ヒートに入ると第1ヒートはミスコースでノータイムのクラス・ファーストゼッケン、工藤憲司選手がいきなり田尾選手のタイムを0.2秒更新して首位に立つ。再逆転を狙った田尾選手は痛恨のパイロンタッチを喫してタイムダウン。最終走者の進藤晃選手も、工藤選手と同じく1分9秒台にタイムを入れるも及ばず、工藤選手が逃げ切った。

 PN1クラスと同様の展開になったのが神NTF2クラス。第1ヒートはミスコースに沈んだ長畑年光選手が5台抜きの大逆転優勝を飾った。「結果的には勝てましたが、2本目はタイムを残さなければという気持ちもあったので、あまり攻められませんでした。総合トップも狙っていたのでちょっと残念です」と、苦笑交じりに振り返った長畑選手はCR-Zで孤軍奮闘する一人。だが、これで今季は参戦した4戦はすべて優勝、と圧倒的な強さを誇っている。

 神NTR2クラスでS2000をドライブした山本稔選手は第1ヒートのパイロンタッチを挽回しての優勝。こちらも今季は4戦4勝と好調を今回もキープした。「午前中の練習走行では調子がイマイチでしたが、本番ではクルマと走りがうまく噛み合ってくれました。2本目はやはり慎重になってしまいましたが、思った以上にタイムが付いてきてくれたので、良しとします」と山本選手。総合では2番手、RWD勢ではトップとなるタイムを叩き出した。

 一方、神PN3クラスでは木下勉選手のBRZが第1ヒートのタイムで逃げ切って今季2勝目をマークした。このクラスは86を駆る中川寿美選手が、これまで3戦3勝と大きくタイトルレースをリードしてきたが、背水の陣で臨んだ木下選手が、今季、直接対決では初めて中川選手を下して、最終戦決戦に持ち込んだ。

「今日は新品のタイヤだったので気持ちよく走れました。ただ1本目はオーバーステアが出たので、2本目は走りで修正したつもりだったんですが、タイムを更新できなかったのは残念です」と木下選手。「でも今日はともかく勝ててよかった。何とか最終戦も勝ちに行きたいですね」と最後は安堵の表情を見せていた。

コース上に散水して作られたウェット路面で競技を行うのが、今年の神奈川シリーズの特徴だ。
富士山も一望できる15番パーキングが終盤2戦の舞台となる。
当日のコース図。パイロンの数は10個とさほど多くはないが、多彩なアプローチが求められるテクニカルな設定だ。
PN1クラスは工藤憲司選手が第1ヒートのミスコースを帳消しにする快走を見せて逆転優勝を飾った。
PN1クラス優勝の工藤選手。
PN3クラスは第2ヒートでタイムを詰めた樫谷達朗選手が第1ヒートの2番手から逆転で優勝をさらった。
PN3クラス優勝の樫谷選手。
神PN3クラスはただ一人、2ヒートとも1分9秒台をマークした木下勉選手が優勝。
神PN3クラス優勝の木下選手。
神NTF2クラスはCR-Zをドライブする長畑年光選手が第1ヒートのミスコースから起死回生の走りを見せて優勝。
神NTF2クラス優勝の長畑選手。
ロードスター対決となった神NTR1クラスは山崎一也選手に軍配。
神NTR1クラス優勝の山崎選手。
NTR2クラスは谷添正慶選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
NTR2クラス優勝の谷添選手。
神NTR2クラスでは山本稔選手が第2ヒートで1分8秒台のタイムを叩き出して優勝した。
神NTR2クラス優勝の山本選手。
NT4クラスはフミ選手が第1ヒートのタイムで優勝を決めた。
NT4クラス優勝のフミ選手。
86/BRZ対決となったLBクラスは加納和佳選手が接戦を制した。
LBクラス優勝の加納選手。
CL1クラスはEK9シビックを駆った鈴木教史選手が優勝した。
CL1クラス優勝の鈴木選手。
CL3クラスは第1ヒートでのミスコースを第2ヒートで挽回した斉藤弘明選手が優勝した。
CL3クラス優勝の斉藤弘明選手。
PN2-280クラスは第1ヒートで好タイムをマークした和田安弘選手がそのまま逃げ切って優勝。
PN2-280クラス優勝の和田選手。
総合ベスト3の表彰。左から2位山本(神NTR2クラス)、優勝鈴木(CL1クラス)、3位和田(PN2-280クラス)の各選手。

フォト/滝井宏之 レポート/JAFスポーツ編集部

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