九州ダートラジュニアシリーズが7か月ぶりに再開。谷彰文インプレッサが貫禄の2連勝!

レポート ダートトライアル

2020年10月30日

九州地区の初中級者向けダートトライアルシリーズとして知られるJMRC九州ジュニアシリーズが、7か月のインターバルを経て、福岡スピードパーク恋の浦で再開された。

JMRC九州ダートトライアルジュニアシリーズ第5戦
いまりんダートトライアル2020
開催日: 2020年10月11日
開催場所: スピードパーク恋の浦
主催: MSC伊万里

MSC伊万里オートテスト2020
開催日: 2020年10月11日
開催場所: スピードパーク恋の浦
主催: MSC伊万里

 3月8日に開幕した今年のJMRC九州ダートトライアルジュニアシリーズは、新型コロナウイルス感染拡大のため、第2戦、第3戦は中止を余儀なくされた。そして8月2日に組まれていた第4戦は12月20日に延期されることが7月に決定された。

 今回、行われたのは当初のカレンダーでは最終戦に位置付けられていた第5戦だが、実質上は7か月ぶりにシリーズの再開を告げる第2戦としての開催となった。再開を待ちわびた九州地区の初中級のダートトライアルドライバーが一堂に集い、アグレッシブな走りを見せた。

 当日のコースは、コース上部のヘアピンを2回往復する定番のレイアウトが採用されたが、最後の島回りセクションがややタイトな設定となった。全日本ダートトライアル選手権を2週間後に控え、徐々にコース整備が進んでいる中での開催ということもあって、いつもの10月の恋の浦の路面とは様子が異なる箇所もあり、慣熟歩行等でしっかりと路面をチェックした上での走りが重要になる一戦となった。

 一番最初に出走したPN1+クラスは、地区戦にも参戦する平安龍司選手のデミオが2ヒートともベストを奪う走りで優勝。2番手とのタイム差は2.1秒とあって快勝と思われたが、本人は、「自分の通りたいライン上に路面のうねりがあったので、結構迷いましたね。どうしてもそのまま行ったらヤバそうな所はラインを外しました。いつもより滑る感じがあって失敗した所もあったし、ターンもうまく走れなかったので、納得の走りではないですね」と厳しいコメントを残した。

くS1クラスは、CJ4Aミラージュを駆る藤崎清選手が第1ヒート、1分58秒001でトップに立つが、EG6シビックに乗る山本航選手が1分58秒227と僅差で食らいついて折り返す。注目の第2ヒートに入ると、先に走った山本選手が1分55秒719までタイムを詰めて逆転、藤崎選手の走りを待った。

 路面状況も好転し、タイムアップ確実の状況でスタートした藤崎選手だったが、後半、島回りセクションに降りてくる高速の左コーナーで大きくアウトにはらんでしまい、タイムロス。これが響いてタイム更新は果たせず、山本選手がそのまま逃げ切る結果となった。大学3年生という山本選手はDC2インテグラから、先輩から譲り受けたEG6シビックにチェンジしたが、「インテグラはパワー感に圧倒されましたが、それに比べるとシビックは踏めるし、乗りやすい」と自分の力量を発揮できる競技車を手にした様子だ。

 そして、「何か所かうねりが大きい所がありましたが、慣熟歩行でうまくかわせるラインを見つけられたので、本番でもその通りに走れたのが大きかったですね」と勝因を語った。このシリーズは今季初参戦でのシーズンデビューウィンとなったが、山本選手はJMRC九州ジュニアジムカーナシリーズにも参戦中でこちらは今季2戦2勝と、両刀使いのドライバーとして今季は負けなし。今後が期待される若手の一人だ。

 エントリー10台と今回最大の激戦区となったS2クラスはクラス最終ゼッケンの谷彰文選手が、1分46秒162という2番手を2秒以上も突き離すトップタイムをマークして、第1ヒートを折り返した。第2ヒートに入ると各選手、タイムアップするが、谷選手の暫定ベストには及ばず、嶋村健児選手が47秒台を切るも、こちらも逆転は果たせず。ウイニングランとなった谷選手は、「砂利に捕まってしまったので最後は無理しなかった」とタイムアップはならなかったが、第1ヒートのスーパーベストで開幕戦に続く勝利を挙げた。

 勝因はやはり、「自分が通りたいラインは取らずに、路面のいい所を選んで走りました」とひとこと。ダートトライアルはインプレッサひと筋に乗り続けているスバリストだが、現在乗っているGDB型は「まだちょっと乗りにくいので、これからも煮詰めます。パワーも、もう少し欲しいですね」と、今後に向けた課題もまだ残っている様子だった。

スタート付近から恋の浦のコースを望む。コースの奥からさらに上って玄界灘の見える緩いヘアピンで折り返すのが恋の浦の定番レイアウトだ。
スタート側から見て右手にある、こちらの島が点在する広場を駆け抜けてゴールするのも基本的なレイアウトのパターンだ。多彩な設定が可能なセクションだ。
当日のコース図。外周から大きく回り込んで進入する島回りのセクションが、通常よりもタイトな設定となった。
当日は検温のほか、問診票の提出も求められた。ドライバーズブリーフィングではソーシャルディスタンスが図られた。
PN1+クラスは平安龍司選手が2ヒートともライバルを寄せ付けず、快勝した。
PN1+クラス表彰の各選手。
S1クラスはジムカーナにも参戦する学生ドライバーの山本航選手が逆転勝ちを収めた。
S1クラス表彰の各選手。
S2クラス表彰の各選手。優勝の谷彰文選手は7か月のブランクを感じさせない走りで開幕戦に続く勝利をさらった。
OP2クラスは今年、地区戦で負けなしの速さを見せている中村凌選手が優勝。
OP2クラス表彰の各選手。
OP4クラスは橋本和信選手が第1ヒートの6番手から。ごぼう抜きを見せて優勝を飾った。
OP4クラス表彰の各選手。

同日開催のオートテストでは、ダートトライアルにも
参戦の川辺敦選手が、オートテストデビューウィン!

 JMRC九州ダートトライアルジュニアシリーズが行われた10月11日午後には、ダートトライアルコースでオートテストも開催された。ダートラ場で行われるオートテストというと、未舗装路の路面を走るイメージを持つ人も多いだろうが、今回は本コースのスタート&ゴールが置かれる舗装の路面の上での開催となった。

 ただ舗装と言っても午前中はダートトライアルが行われ、競技車が行き交った場所だけに、コース上にも砂や泥が残り、通常の舗装のオートテストとはやはり趣が違うイベントとなった。コースレイアウトは、同じ『車庫入れ』スペースに最初は後退で、次は前進で、2回入れるという設定。滑りやすい路面でのスピードコントロールに各選手、悪戦苦闘していた。

 優勝は、午前中のダートトライアルにも参加していた川辺敦選手。「ダートラも久しぶりでしたが、オートテストは初めて参加しました。あまり何も考えずに、リラックスして走れたので、楽しかったですよ。勝因は、とりあえずムダなことだけはやめよう、と思って走ったことだと思います(笑)」と笑顔で振り返っていた。

ダートトライアルではスタートの待機場所である舗装のエリアがオートテストの会場となった。
当日のコース図。同じスペースで2度、『車庫入れ』を行うなど、限られた敷地をうまく利用した設定となった。
スイフトで参戦の川辺敦選手はオートテスト初参戦ながら、巧みなハンドルさばきを見せて優勝した。
オートテスト表彰の各選手。
オートテスト参加者の皆さん。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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