最後尾スタートのMOTUL AUTECH GT-RがGT500でミラクルな2勝目、そしてHitotsuyama Audi R8 LMSがGT300でうれしい優勝

レポート レース

2020年10月30日

スーパーGT第6戦は10月24~25日に鈴鹿サーキットで開催され、GT500クラスは最後尾スタートの23号車MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が、GT300では予選6番手の21号車Hitotsuyama Audi R8 LMS(川端伸太朗/近藤翼組)が優勝を飾った。

2020 SUPER GT Round6 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE
開催日:2020年10月24~25日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KSCC、SMSC、株式会社モビリティランド

 スーパーGTシリーズ第6戦の舞台は、真夏の第3戦以来の開催となる鈴鹿サーキット。現地入りするスタッフは全員、従来どおりの徹底した健康管理が継続された。また第5戦の富士同様、観客の人数を絞って有観客開催としたが、予選日には9,500人、決勝日には1万9,000人が入場し、現場で演じられるバトルを楽しんだ。

 24日は朝に多かった雲も午後には取れて秋晴れに。ただ、やや強い西風が吹いて肌寒い陽気となった。気温20℃、路面温度28℃の14時から公式予選が始まった。

 GT500クラスQ1では、セッション中盤にコース前半のセクター1区間で全体ベストタイムをマークしていた23号車GT-Rの松田選手が、ダンロップコーナーで激しくクラッシュ。赤旗が掲出されてセッションは中断となり、赤旗の原因を作った23号車GT-Rはこの時点でクラス最後尾の15番手のスタートが決定した。

 続いて行われたQ2でトップタイムをマークしたのは8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)の福住選手で、本人は2戦連続、チームは今季3回目のポール獲得となった。2番手は前回の鈴鹿戦でポール獲得の64号車Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹組)、3番手は19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋組)。トップ3をブリヂストン、ダンロップ、横浜ゴムと3つのタイヤメーカーで分け合う結果となった。

 GT300クラスでは96号車K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南組)が今季初のポールポジションを獲得。2番手は61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)と、ダンロップタイヤユーザーがフロントローを独占。3番手は今季2回ポールを獲得している6号車ADVICS muta MC86(阪口良平/小高一斗組)だった。

 25日も朝から爽やかな晴天となった鈴鹿。気温20℃、路面温度31℃の13時4分に300kmの決勝レースがスタートした。すかさず8号車と64号車、2台のNSXが抜け出してトップ争いを展開。6周目には予選4番手の12号車カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/平峰一貴組)が3番手に浮上して2台のNSXを追い、12周目には2番手へ。52周レースの1/3を経過した18周で早めのピット作業を始めるチームが出だし、21周で上位のチームはルーティンピットを完了。2番手走行中の12号車GT-Rはこのピット作業でトップの8号車NSXの前でコースに戻ることに成功した。

 直後、1台の車両がS字でコースオフ&クラッシュ。上位車両のピット作業で暫定トップに浮上していた23号車GT-Rのクインタレッリ選手に対し、チームからピットインの指示が出て、クインタレッリ選手はピットインして松田選手に交代。このピットイン中にセーフティカー(SC)が導入され、各車がペースを緩めて周回する間に松田選手が隊列の前でコースに復帰した。

 隊列が整えられて26周完了でレースはリスタート。23号車GT-Rの松田選手、12号車GT-Rの平峰選手、8号車NSXの福住選手による激しいトップ争いが繰り広げられた。しかし残り13周となって以降は23号車GT-Rが徐々に2番手以下を引き離しトップチェッカー。クラス最後尾スタートから奇跡的な優勝を果たした。松田選手はこれで歴代通算優勝回数を22に更新。この結果チャンピオン争いは2点差に5台がひしめき合うこととなった。なお2位は12号車GT-Rで、GT-Rは5年ぶりの1-2フィニッシュ。3位は8号車NSXだった。

クラス最後尾スタートから怒涛の追い上げ、そしてSC導入の絶妙なタイミングでのコース復帰で優勝した、MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリ組。
23号車の後に12号車が続き、GT-R勢が1-2フィニッシュ! 2位は待望の表彰台となった佐々木大樹/平峰一貴組のカルソニックIMPUL GT-R。
野尻智紀/福住仁嶺組のARTA NSX-GTはレース終盤までトップ争いに加わり、2戦連続の3位表彰台を獲得した。
GT500クラスの表彰式。左から2位のカルソニックIMPUL GT-R(佐々木/平峰組)、1位のMOTUL AUTECH GT-R(松田/クインタレッリ組)、3位のARTA NSX-GT(野尻/福住組)。

 GT300クラスでは序盤にフロントローの2台が逃げ、8周目に61号車BRZの山内選手がトップを奪う。そこへ追いついて来たのが6号車MC86の阪口選手、11号車GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組)の安田選手、21号車アウディR8の近藤選手だった。

 そして16周で早めのピットインをするチームが現れ、6号車MC86、4号車グッドスマイル初音ミクAMG(谷口信輝/片岡龍也組)は18周で、21号車アウディR8は19周でルーティンピットを済ませた。そして21周目にS字でコースオフ&クラッシュを喫した車両がありSC導入。これでトップから同一周回車両までの距離が一気に縮まり、ピット作業を済ませていた車両が一気に有利な展開に。

 25周完了でリスタートとなり、ピット作業を済ませていない車両が一気にピットインすると、暫定トップは6号車MC86で直後に21号車アウディR8。しかし6号車MC86はSC中にタイヤがタイヤかすを拾ってしまいペースが伸びず、21号車アウディR8に先行を許した。

 29周で全車がピットインすると、21号車アウディR8の川端選手がトップに立ち、そのまま後続を引き離して2016年11月の第3戦もてぎ以来4年ぶりのチーム優勝。川端/近藤組もGT初優勝を遂げた。2位は6号車MC86で新チーム初の表彰台を獲得。僅差の3位に4号車メルセデスがゴールして今季初表彰台となった。

2016年の第3戦ぶりに優勝を果たしたHitotsuyama Audi R8 LMS。川端伸太朗選手と近藤翼選手は予選6番手から逆転、GT300初優勝を遂げた。
SC導入前にピット作業を済ませてトップを走っていた阪口良平/小高一斗組のADVICS muta MC86だが、ペースが伸び悩んで2位となった。
グッドスマイル初音ミクAMGの谷口信輝/片岡龍也組はハイペースの追い上げで3位。今季初の表彰台だ。
GT300クラスの表彰式。左から2位のADVICS muta MC86(阪口/小高組)、1位のHitotsuyama Audi R8 LMS(川端/近藤組)、3位のグッドスマイル初音ミクAMG(谷口/片岡組)。
10月上旬にFIA-F4が富士で開幕してからおよそ3週間後、2大会目となる第4~6戦が鈴鹿サーキットで併催された。
ポール・トゥ・ウィンで今季3勝目を挙げた平良響選手がFIA-F4第4戦を制した。
FIA-F4第4戦の表彰式。左から2位の荒川麟選手、1位の平良選手、3位の野中誠太選手。
FIA-F4インディペンデントカップ第4戦は、序盤から逃げきった佐藤セルゲイビッチ選手が優勝。
FIA-F4インディペンデントカップ第4戦の表彰式。左から2位の齋藤真紀雄選手、1位の佐藤選手、3位のIKARI選手。
続くFIA-F4第5戦は大波乱のレース展開に見舞われたが、SC導入のまま平良響選手がトップでチェッカーを受けた。
FIA-F4第5戦の表彰式。左から2位の太田格之進選手、1位の平良選手、3位の平木玲次選手。
赤旗中断とSC導入により3周でレース成立となったFIA-F4インディペンデントカップ第5戦。齋藤選手が好スタートを決めて優勝。
FIA-F4インディペンデントカップ第5戦の表彰式。左から2位の佐藤選手、1位の齋藤選手、3位の仲尾恵史選手。
2番手スタートながら見事なホールショットを奪った平良選手が鈴鹿大会3連勝を遂げた、FIA-F4の第6戦。
FIA-F4第5戦の表彰式。左から2位の平木選手、1位の平良選手、3位の太田選手。
FIA-F4インディペンデントカップ第6戦は、トップ争いを演じた佐藤選手が逃げ切って勝利した。
FIA-F4インディペンデントカップ第5戦の表彰式。左から2位の齋藤選手、1位の佐藤選手、3位の堀田誠選手。

フォト/石原康 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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