FS-125部門西地域に“待った”をかけたのは東地域の洞地遼大選手

レポート カート

2020年10月29日

秋の深まる10月後半の週末、宮城県・スポーツランドSUGO西コースで全日本カート選手権東地域第4戦が開催。FS-125部門では洞地遼大選手(K.SPEED WIN)がポール・トゥ・ウィン、FP-3部門では中村仁選手(Formula Blue TKC)が優勝し、ともに今季2勝目を飾った。

2020年JAF全日本カート選手権FS-125部門/FP-3部門 東地域第4戦
2020年JAFジュニアカート選手権FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 東地域第4戦

開催日:2020年10月24〜25日
開催地:スポーツランドSUGO西コース(宮城県村田町)
主催:SSC

 FS-125部門は東西統一競技会を含めて3戦を残し、重大局面を迎えていた。今回の結果次第で、西地域の5戦を全勝で終えてポイントレースを圧倒的にリードしている津野熊凌大選手のチャンピオン獲得が、早くも確定してしまう可能性があるのだ。

 それに待ったをかけられるのは山越ヒユウ選手(Formula Blue ガレージC)、小林利徠斗選手(Formula Blue Super Racing Junkie!)、洞地選手の3名のみ。この大会で、山越選手は28ポイント以上、小林選手は24ポイント以上、洞地選手は34ポイント以上を獲ることが、タイトル争いを次戦以降につなげるための絶対条件だ。

 このレースを優位に進めたのは、土俵際に追い込まれた洞地選手だった。予選では2番グリッドからスタートでトップに立つと、序盤で後続を引き離して1番手でゴール。決勝ではトップを守って発進すると、4周目からぐいぐいとリードを広げて独走。ポール・トゥ・ウィンで第2戦以来の2勝目を遂げた。

 洞地選手の後方では、終始ホットな2位争いが展開。ここは佐野雄城選手(BirelART RAGNO Racing)が追いすがる後続を封じ込め、自己最上位の2位を獲得した。最終ラップには酒井仁選手(LUCE MOTOR SPORTS)が佐野選手に勝負を仕掛けたが、逆転ならず。その隙を突いて鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)が3番手に上がるが、鈴木選手と酒井選手はゴール目前で接触。ここで小田優選手(Formula Blue BEMAX)がポジションを上げて3位表彰台に立つこととなった。

 山越選手は2番グリッドから決勝をスタートしたが、ゴールは12位。小林選手は予選でペナルティを受けて8番手、決勝は4位だった。この結果、チャンピオン獲得の可能性を残したのは洞地選手のみ。次のもてぎ大会で、洞地選手が予選3番手以下、決勝2位以下になると、その時点で津野熊選手のチャンピオンが確定する。

「前回勝った時は2位チェッカー(1位のペナルティにより繰り上がりで優勝)だったので、今回の優勝はすごくうれしいです。レース前半は山越君が速いのが分かっていたので、最初から前に出て逃げようと思っていました。チャンピオン争いが次につながったのはうれしいですが、ぜんぜん気が抜けない状態です」と、勝って兜の緒を締めた洞地遼大選手。
FS-125部門東地域の表彰式。左から2位の佐野雄城選手、1位の洞地選手、3位の小田優選手。

 FP-3部門は角陽向選手(FLAX motor sports)と中村選手のマッチレースとなった。予選では1周目にトップを奪った中村選手を、角選手が逆転して決勝のポールを獲得。24周の決勝では、4番グリッドから好発進の鈴木駿選手(ガレージC)が序盤戦をリードしたが、6周目に角選手と中村選手が鈴木選手の前に出て、またもトップ争いを展開した。

 先頭を行く角選手と、それを追う中村選手の間隔は、レース中盤に0.8秒ほどに広がったが、終盤戦に再び接近。2台は2車身ほどの差で最終ラップに突入した。ここで角選手が勝負所でインを締めるラインを取ったことで、両車は完全にテール・トゥ・ノーズに。そしてコース後半の8コーナーで、イン寄りのラインから進入した角選手を、中村選手がクロスラインでパス。チェッカー目前の逆転で、中村選手が第2戦以来の2勝目をつかみ取った。開幕戦ウィナーの角選手は、勝利こそ逃したものの、第2戦以降の沈滞ムードを払拭するレースで2位となった。

 3位は女性ドライバーの富下李央菜選手(カローラ新茨城レオンキッズレーシング)。9番グリッドからのスタートで一気に5番手へ上がり、さらに序盤戦で2台を抜いて、開幕戦以来の表彰台登壇を果たした。4位の佐久間宇宙選手(YRHKS With M’sBear)も、グリッド最後尾の11番手からの追い上げだった。スポット参戦ながら侮れない速さを披露した鈴木選手は、5位フィニッシュでポイント獲得を果たした。

最終ラップで見事な差しを見せた中村仁選手がFP-3部門を制した。「(角選手が)最終ラップにブロックラインを取ってくることは読めていたので、逆転できると思っていました。狙いどおりの展開で勝ててうれしかったです。次のもてぎはホームコースのひとつなので、自分が変なことさえしなければ勝てるんじゃないかと思います」とコメントした。
FP-3部門東地域の表彰式。左から2位の角陽向選手、1位の中村選手、3位の富下李央菜選手。

 同時開催のジュニアカート選手権東地域第4戦。FP-Jr部門では、タイムトライアルでノータイムに終わった五十嵐文太郎選手(チーム エッフェガーラ)が、予選で最後尾から11台をパスしてトップでゴール。決勝ではスタートで2番手に下がった五十嵐選手だったが、3周目に先頭へ戻ると、レース中盤からリードを広げて2勝目を飾った。

 五十嵐選手の後方で展開された2位争いは、レース中盤の逆転で熱海瑛達選手(ガレージC)の手中に。3位でチェッカーを受けた豊島里空斗選手(HRT with 大進テクノ)は、開幕戦からの連続表彰台獲得を維持し、未勝利ながら東地域のポイントリーダーの座をキープしている。

 FP-Jr Cadets部門では、決勝のオープニングラップで4番グリッドの吉岩泰選手(ミツサダ PWG RACING)がトップに、3番グリッドの小熊孝誠選手(ScuderiaTrentotto)が2番手に浮上。一方、ポールの佐藤佑月樹選手(RT WORLD)は3番手に、セカンドグリッドの松井沙麗選手(BEMAX RACING)は5番手に後退した。

 ここから前戦ウィナーの松井選手が逆襲を開始。6周で2番手に戻ると、1秒以上先へ逃げた吉岩選手を見る間に追い上げ抜き去った。トップに躍り出た松井選手は、後半戦を独走してチェッカーへ。これで今季のジュニア選手権は、FP-Jr部門・西地域の佐藤こころ選手に続き、東地域でも女性ドライバーが2連勝を達成だ。

 吉岩選手は2位入賞で自己最上位を更新。佐藤選手が3位フィニッシュで東地域ランキングの首位にとどまった。

「最初からブッチ切ることはできなかったけれど、後ろを気にしないで自分の走りに集中してレースすることができました。今年は1回休んでいるので(第3戦を負傷欠場)、残りのレースはふたつとも勝ってチャンピオンになります」と熱く抱負を語った五十嵐文太郎選手。
FP-Jr部門東地域の表彰式。左から2位の熱海瑛達選手、1位の五十嵐選手、3位の豊島里空斗選手。
女性ジュニアカーターが2連勝! 「タイムトライアルと予選はうまくいかなかったけれど、優勝できてうれしいです。1周目で順位を落とした時には焦りもあったけれど、自分のペースがいいことは分かっていたので、あわてず抜いていこうと気持ちを切り替えました。次のもてぎは絶対に勝ちたいです」と松井沙麗選手。
FP-Jr Cadets部門東地域の表彰式。左から2位の吉岩泰選手、1位の松井選手、3位の佐藤佑月樹選手。

フォト/古閑章郎、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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