茂原に続きSUGOでも2連勝、渡会太一選手が今季4勝目

レポート カート

2020年10月29日

国内カートレースの最高峰、全日本カート選手権OK部門第5戦/第6戦が、宮城県・スポーツランドSUGO西コースで開催。OK部門2年目の渡会太一選手(Drago Corse)が圧巻の速さでふたつのレースを制し、前大会からの4連勝を果たした。

2020年JAF全日本カート選手権OK部門 第5戦/第6戦
開催日:2020年10月24~25日
開催地:スポーツランドSUGO西コース(宮城県村田町)
主催:SSC

 5大会・全10戦で行われるOK部門2020シリーズは、第5戦と第6戦が行われるSUGOが折り返し点だ。その大会1日目、走行スケジュール開始前には、メインストレート上でコースマーシャルのレスキュー講習を実施。マシンからドライバーを安全に降ろす方法などの知識を共有して、万が一の事態に備えていた。

 エントリーリストに名前が載っていた現ポイントリーダーの佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)は、同日に鈴鹿サーキットで開催されるスーパーGT出場を優先して、こちらの大会は欠場。出場台数は28台となった。

第4戦までのポイントリーダーである昨年チャンピオンの佐々木大樹選手が欠場となり、ルーキーたちにも優勝のチャンスが高まった。
土曜日にはマーシャルがメインストレートに集まり、レーシングカートでのレスキュー訓練が実施された。

 大会1日目のタイムトライアルは、参加者をA・Bの2グループに分けて行われた。するとAグループのセッション終了後、空に広がっていた雲から雨が降り始め、Bグループの選手は大きな不利をこうむることとなる。

 この結果、ここまで8位が最上位のルーキー清水啓伸選手(Drago Corse)が、Aグループで36秒832の総合トップタイムを叩き出して両レースの予選のポールを獲得した。0.016秒遅れの2番手は、前大会で2連勝の渡会選手。そこに荒尾創大選手(BirelART RAGNO Racing)と佐々木大河選手(TEAM WOLF)が続き、ブリヂストン・ユーザーがトップ4を占めた。

 ヨコハマ勢では5番手の三村壮太郎選手(Croc Promotion)が、ダンロップ勢では6番手の野村勇斗選手(EXGEL with MASUDA RACING)が、それぞれの最上位に。Bグループで37秒158の最速タイムをマークした平安山良馬選手(TEAM EMATY)は、総合10番手に留まった。

 続いて行われた第5戦の予選は、天候が回復してドライコンディションのレースとなった。このヒートは、ローリング中に7台が次々にストップしてDNSとなる波乱の幕開けに。ここを1番手で終えたのは渡会選手。スタートで先頭に立つと、真後ろに着けた佐々木選手のチャージを退けて決勝のポールを手にした。

 2番手の佐々木選手の真後ろでゴールした荒尾選手は、フロントフェアリングのペナルティで8番手に降格。代わって平安山選手が7ポジションアップの3番手に。4番手に井本大雅選手、5番手に野村選手とダンロップ勢が続き、ルーキーの金子修選手(TEAM WOLF)が15番グリッドからの躍進で6番手スタートとなった。清水選手はスタートで4番手に下がると、中盤にエンジントラブルで戦列を去った。

 一夜明けて大会最終日。快晴の下、強い寒風が吹くサーキットで、まず第5戦決勝が28周で行われた。スタートでは好ダッシュを決めた平安山選手がトップを奪い、渡会選手は佐々木選手にも先行されて3番手に後退。やがて佐々木選手がトップを引き継いだ。

 するとレースが4分の1を過ぎたあたりで、渡会選手が反撃を開始。9周目に先頭へ戻ると佐々木選手と平安山選手を一気に引き離し、他を圧倒するペースでリードを広げていった。ここからは渡会選手の独走ショー。最終的にライバルたちを3秒以上後方へ追いやり、前回の茂原大会に続く3連勝を飾った。

 2位はルーキーの平安山選手。予選の追い上げで酷使したタイヤを最後までもたせ、2戦連続の表彰台に立った。佐々木選手は3位でフィニッシュして、平安山選手とともに今季の自己最上位を更新した。4番手でゴールの高橋悠之選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)はフロントフェアリングのペナルティを受け、代わって宮下源都選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)が4位に。OK部門2年目の大木一輝選手(KR Racing)と金子選手が5・6位に続いた。

第5戦優勝の渡会太一選手は「スタートで3番手に落ちてからは3周くらい前の様子を見て、向こうのペースがだんだん落ちてきたところをうまく抜けました。トップに出てからは1~2周プッシュして、後ろが離れてからはタイヤをマネジメントして、焦らず順調にレースができました。問題なくもってくれたタイヤに感謝しています」と、落ち着いたレース運びを展開した。
第5戦の表彰式。左から2位の平安山良馬選手、1位の渡会選手、3位の佐々木大河選手。

 ルーキーたちの躍進が目を引く今大会。第6戦の予選では、荒尾選手が2周目に先頭に立ってそのままチェッカーへ。ダンロップ勢の野村勇斗選手が2番手に。さらに大宮賢人選手(INTREPID JAPAN CORSE)が高橋選手に続いて4番手となり、決勝グリッド2列目までの3席をルーキーが占拠した。渡会選手は2番手でゴールしたが、フロントフェアリングのペナルティで10番手に降格となった。

 今大会最後のレース、第6戦決勝が始まると、荒尾選手がスタートダッシュに成功。オープニングラップでマシンの群れを抜け出すと、3周で約1.5秒のリードを築いた。やがて佐々木選手が6番グリッドから2番手に浮上して荒尾選手を追うが、そのギャップは何周たっても詰まらない。

 すると、その後方から渡会選手がひとり別格のスピードで猛追を敢行。レースが後半戦に入ったところで佐々木選手をパスして2番手に上がり、トップを独走する荒尾選手を追い詰めていった。そして渡会選手は残り5周で荒尾選手のテールをキャッチして、2周後にトップへ。OK部門初年度だった昨年、初優勝を果たしたSUGOで堂々の4連勝を達成し、ポイントランキングも首位に躍り出た。

 荒尾選手は初勝利こそ逃したが、自己最上位を大きく更新する2位で初表彰台へ。佐々木選手は3位フィニッシュ、1大会両レースで表彰台に登壇するのは初めてのことだ。4位に清水選手、5位に遠藤照剛選手(Croc Promotion)が続き、ブリヂストン勢がトップ5を占拠。野村選手が徐々に順位を下げる一方で、皆木駿輔選手(Croc Promotion)が6位に入ってダンロップ勢の最上位となった。

「自分のミスで10番グリッドになって、正直なところ決勝は厳しくなると思っていました。トップに追い付ける自信はなかったです。2番手に上がってからは、何が何でもトップに追い付いてやると思って、常にフルプッシュで走りました。今回は佐々木大樹選手がいなかったけれど、次からもこの連勝を途切れさせないよう頑張ります」と、4連勝を喜ぶ渡会選手。
第6戦の表彰式。左から2位の荒尾創大選手、1位の渡会選手、3位の佐々木選手。

フォト/古閑章郎、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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