南関東ダートラ界のメッカ、オートランド千葉で開催のシリーズも、チャンピオン争いが白熱!

レポート ダートトライアル

2020年10月27日

千葉市近郊にあるダートトライアルコース、オートランド千葉で開催される千葉県ダートトライアル&フレッシュマンシリーズはシリーズも残すところ3戦。タイトルレースもいよいよ佳境に入ってきた。

2020年千葉県ダートトライアル&フレッシュマンシリーズ第5戦
オータムトライアル 2020

開催日:2020年10月4日
開催場所:オートランド千葉(千葉県千葉市)
主催:AUTUMN

 2020年の千葉県ダートトライアル&フレッシュマンシリーズは、3月に開幕戦が行われた後、コロナ禍のため、約4か月のインターバルを余儀なくされたが、第2戦が7月に行われ、シリーズが再開した。その後は月1回のペースでシリーズ戦が組まれ、10月4日に行われた今回の大会でシリーズ第5戦を迎えた。

 11月は1日にまず第6戦が行われ、29日に最終戦となる第7戦が開催される。そして、この最終戦ではクラブ対抗戦も同時開催される。このクラブ対抗戦は千葉県ダートトライアル&フレッシュマンシリーズの名物イベントで、毎年、多くのエントラントが参加して賑わいを見せている。

 シリーズの舞台となるのは、千葉市若葉区にあるオートランド千葉で、JAF関東ダートトライアル選手権等も行われている関東では老舗のダートトライアルコースだ。コースは、スタート、ゴールが置かれる広場と、林道風のブラインドコーナーが続く林間セクションによって構成される。中部の池の平ワンダーランド、四国の香川スポーツランド等も、同様にふたつのセクションを持つコースだ。

 広場にはパイロンを置いてコースをその都度、自由に設定してきたが、今シーズンの夏から広場の中に硬い盛り土の箇所を2か所、設定し、ここで方向転回する形が基本となっている。ただし、主催者によっては、この盛り土の他にさらにパイロンを置く例もあり、いずれにしても、この広場で求められるテクニカルな走りは、千葉で勝つためには重要な要素になっている。

 オーランド千葉は決して広大な面積を持つコースではないが、この広場があることで、林間セクションから一度、広場に戻ってきた競技車が再び林間セクションに入るという設定が可能なため、毎回、2WD車でも2分前後というロングコースが設定されるのが、このシリーズの特徴になっている。今回もベストタイムが2分を切ったのは改造車の4WDターボ2台のみで、結果的には今シーズン最も長丁場のコース設定となった。

 当日の路面はドライコンディションが保たれたこともあって、各クラス、第2ヒートでタイムアップする選手が相次いだが、4WD車が走る最後のクラス3はタイムがふたつのヒートの間で拮抗する状況となり、タイムダウンする選手も見られた。

 フレッシュマン対象のFクラスは、今年、回を追うごとに順位を上げ、前回の第4戦でシーズン初優勝をもぎ取った鮎川諒一選手が今回も絶好調。両ヒートとも2番手を大きく引き離すタイムで走り切り、2連勝を獲得した。

 続くクラス1は、全日本ラリーのトップドライバーである須藤浩志選手が“ヴィッツWRC”号を名乗る初代ヴィッツでエントリー。第1ヒートではトップタイムを奪い、第2戦から3連勝中の関口公二選手にプレッシャーをかける。実はこの二人、第2戦でも顔を合わせ、0.04秒差で関口選手が振り切っただけに、須藤選手にとっては、因縁の相手に是非とも競り勝ちたいところだったが、第2ヒートでは関口選手が7秒以上もタイムを詰める激走を見せて逆転。連勝記録を4に伸ばした。

 一方、クラス2は鶴岡義広選手が第1ヒートで暫定ベストを奪うが、第2ヒートは痛恨のミスコースでタイムを残せない。鶴岡選手のベストを2.7秒削り取った福島賢太郎選手がそのまま逃げ切るかと思われたが、今季2勝の実力者、三枝樹世志選手が、福島選手のタイムをさらに2秒も縮める2分2秒46をマーク。圧巻の走りで前回に続く2連勝を果たし、シーズン通算3勝目を獲得した。

 千葉県シリーズの名物クラスであるFRクラスには今回も9台がエントリー。1秒の間に上位5台がひしめく熾烈なトップ争いを展開した。第1ヒートでは、ともに初代MR2(AW11)を駆る高井宏之選手と鈴木陵太選手が1-2で折り返して会場がどよめいたが、第2ヒートでは“新車”勢が意地を見せて逆転。86を駆る鈴木正人選手が優勝を飾り、BRZの山部恭裕選手が2位に続いた。初代MR2勢のトップは堀内威選手の3位。しかし全日本ドライバーであるトップの鈴木選手に0.5秒差まで詰め寄っただけに、次戦以降の活躍が大いに期待されるところだ。

オートランド千葉のコースは、この広場と、ラリー気分も味わえる林間セクションで構成される。広場の中にある“島”も、先を見通せない高さを持つので、ブラインドコーナーをいかに攻められるかが千葉の重要な攻略法になる。
広場から土手を挟んだ反対側にパドックがあるので、出走直前まで他の選手の走りをチェックすることができる。
当日のコース図。ゴールの前には、ふたつの盛り土の間を走り抜けるテクニカルなセクションが設定された。
Fクラスでは前回、今季初優勝を達成して上り調子の鮎川諒一選手が2本ともベストを奪って快勝した。
Fクラス表彰の各選手。
クラス1はポイントリーダーの関口公二選手が逆転で第2戦から4連勝を達成した。1980〜1990年代にかけて全日本選手権はもちろん、国内のダートトライアル競技会でも主力マシンとして活躍したスズキ・カルタスをドライブする。
クラス1表彰の各選手。
クラス2は三枝樹世志選手が逆転でシリーズ3勝目を挙げた。「タイヤが新品ではないのと、路面がウェット気味だったので、あまりタイムアップできないと思いましたが、思った以上のタイムが出せて良かったです。若手の福島選手がタイムを伸ばしてきたので、刺激を受けて集中して走れた結果だと思います。次戦でチャンピオンを確定できるように、頑張りたいと思います」。
クラス2表彰の各選手。
FRクラスは鈴木正人選手が激戦を制した。「今月末の全日本恋の浦の前に、練習を兼ねて出場しました。1本目は様子を見ながらの走行でしたが、2本目は踏める所はしっかり踏めた結果がタイムに繋がったと思います」。
FRクラス表彰の各選手。
クラス3は森正選手が優勝。「コロナ禍で関東の地区戦が今年は中止となってしまったので、千葉県戦に第2戦から参戦しています。今日は2本目でタイムをあまり縮められなかったので、自分の中ではまだまだ課題が多いですけど、とりあえず4連勝できてよかったです。来年は、また地区戦で頑張りたいと思っています」。
クラス3表彰の各選手。

フォト/滝井宏之 レポート/JAFスポーツ編集部

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