Wヘッダーで閉幕の2020中部北陸シリーズ。地元の内記一喜インプレッサが連勝を飾る!

レポート ジムカーナ

2020年10月23日

JMRC中部ジムカーナ北陸シリーズは、10月4日、ダブルヘッダーでラスト2戦を開催。富山イオックスアローザで雌雄を決すバトルが展開された。

2020年JMRC中部ジムカーナ北陸シリーズ第4戦 IRCスラロームカップ
開催日:2020年10月4日
開催場所:イオックスアローザスポーツランド(富山県南砺市)
主催:IRC

2020年JMRC中部ジムカーナ北陸シリーズ第5戦 チームABCジムカーナin AROSA
開催日:2020年10月4日
開催場所:イオックスアローザスポーツランド(富山県南砺市)
主催:ABC

 富山県のイオックスアローザスポーツランドと石川県の大日スポーツランドで計5戦のシリーズが組まれていた今年のJMRC中部ジムカーナ北陸シリーズは、コロナ禍のため、他地区同様、スケジュール変更を余儀なくされた。4月に予定されていた開幕戦、5月開催予定だった第2戦はともに中止となり、6月28日にイオックスで開催予定だった第3戦は2週間後の7月12日に延期となったが、実質的なシリーズ開幕戦として無事、日程通りに開催された。

 しかし、8月24日に大日スポーツランドで予定されていた第4戦は再び延期となり、シリーズが成立する見通しが不透明となったが、第5戦が組まれていた今回の10月4日に、イオックスに場所を変えて開催されることが決定。この日は午前中に第4戦が、午後に第5戦が行われるダブルヘッダーとなり、シリーズも無事、成立した。結果的に、今年のシリーズはすべてイオックスを舞台に競われる形となった。

 この日の参加台数は第4戦が53台。第5戦は1台増えて54台がエントリーしたが、東海地区からの参加者も目立った。JMRC中部のジムカーナシリーズは、JAF中部選手権とダブルタイトルとなるJMRC中部選手権の他に、東海/北陸という二つのミドルシリーズを持つが、この二つのシリーズには「パワーステージ制度」というユニークな制度がある。

 これは一方のシリーズに遠征して入賞を果たし、ポイントを獲得した場合に、自分がメインで戦うシリーズのポイントに2戦分を上乗せできるというもので、例えば東海シリーズを主戦場とするドライバーが北陸シリーズに参戦した場合、そこで得たポイントを2戦分を上限として東海シリーズのポイントに加算できるという仕組みだ。元々は両シリーズの活性化を目的として作られた制度だが、この制度によって両地区の交流は以前にも増して進んでいる。

 実は、コロナ禍により、今年の東海シリーズは最終戦が残念ながら不成立となってしまったため、パワーステージ制の規定により、今回参加した東海地区の選手達にはポイントは与えられない。にも関わらず、少なからぬ数の東海地区の選手達が参加したということが、一層、両地区の交流ぶりをよく示す好例になったと言えるかもしれない。

JMRC中部ジムカーナ北陸シリーズ第4戦
開幕戦優勝の加藤充MR2が好調をキープして2連勝

 イオックスアローザは冬場はスキー場の駐車場として使われる場所を使用するフルパイロンコースだ。通常は駐車場を斜めに横切る排水溝の蓋の列を境界として、ふたつのエリアに分けてコースを設定する。午前中の第4戦は、パドックに近い広い方のエリアからスタートし、緩いターンを経て、もうひとつのエリアに移り、タイトなパイロンをこなしてゴールという定番の設定で行われた。

 当日はダブルヘッダーということもあり、第4戦の決勝第1ヒートは午前8時にスタートと、通常より1時間近くも前倒しでの開催となった。第2ヒート開始直後に雨が降り出したため、路面はセミウエット状態に。雨はすぐに止んで路面も乾き始めたが、第1ヒートの状態ほどには回復せず、タイムダウン傾向となったため、ほとんどのクラスで第1ヒートのタイムが優勝タイムとなる結果となった。

 参加11台と今回最多のエントリーを数えたRA2クラスは、開幕戦を制して波に乗る加藤充選手が第1ヒートで唯一、1分5秒台に乗せたタイムをマークし、そのまま逃げ切った。「実は1本目はワイパーのバーに触れたり、シフト操作にバタついたりと、決して完璧な走りではありませんでした」という加藤選手だが、「それでもまぁ、しっかり走り切れた感じはありました」と振り返った。「ここは、いつもクルマがよく曲がってくれるので好きだし、得意なんですよ。以前もコース設定によってはRX-7勢に勝てたこともあったので、今日も自分のMR2が勝てるコースだったと思います」と勝因を語った。

 第4戦ではこの加藤選手をはじめ、東海地区のドライバーが次々と優勝をさらったが、意地を見せたのは地元の吉崎信広選手。ただ一台参加のロードスターRFで、86/BRZ、スイフトスポーツといったライバル勢を抑えてRPN3クラスで優勝を飾った。

 「勝てたのは同じクラスで先に走った大倉(辰弥)選手のお陰です。一か所、走り方で迷ってる所があったので第1ヒートをスタートする直前に走り終えた大倉選手に聞いたら、『サイド引かない方が速い』とアドバイスをもらったのでその通りに走ったんです。それで、その後のストレートの加速が伸ばせたんですよ」と振り返った吉崎選手は、RA2クラスの加藤選手同様、これでシリーズ開幕戦から2連勝。チャンピオンを射程距離に捉える貴重な1勝をゲットした形となった。

イオックスアローザはふたつのエリアに分割してコースを設定する方法が基本になっている。11月7~8日には全日本ジムカーナ選手権も開催される。
新型コロナウイルス感染防止に関しては、問診票等の情報をスマフォ等でも申告できる形を採るなど、デジタル化が図られた。
大会当日はイオックスアローザの人気イベントである「キバナコスモスまつり」の開催期間と重なったため、ジムカーナ観戦に足を止める一般の来場者の姿も目立った。
第4戦のコース図。1分10秒前後のコースが設定された。
東海シリーズのトップランカーとして活躍する須貝圭司選手が、イオックスでも速さを見せてRPN1クラスを制した。
RPN1クラス優勝の須貝選手。
RPN3クラスでは吉崎信広選手が開幕戦に続いて連勝を飾った。
RPN3クラス表彰の各選手。
RA1600クラスでは緒方宗之選手が大差で快勝した。
RA1600クラス優勝の緒方選手。
RA2000クラスはRX-8を駆る前島孝光選手が唯一の1分7秒台を叩き出して優勝。
RA2000クラス表彰の各選手。
RA2クラスでは加藤充選手が1分5秒台にただ一人タイムを乗せて開幕2連勝を飾った。
RA2クラス表彰の各選手。
RA3クラスは内記一喜選手が2位に1.6秒の大差をつけるタイムで快勝。「ぶっつけ本番の新しいタイヤで不安でしたが、ヨレやすいけど、分かりやすい動きをしてくれたのでコントロールできました。コースもインプレッサに有利な設定だったと思います」。
RA3クラス表彰の各選手。
金大クラスは、第1ヒートはミスコースに泣いた鈴木教史選手が、第2ヒート、0.076秒差で逆転という劇的な勝利をもぎ取った。
クローズドクラスでは佐藤宗嗣選手が、第1ヒートでマークした今回のオーバーオールウィンとなる1分2秒716のタイムで逃げ切った。

JMRC中部ジムカーナ東海シリーズ第5戦
激戦区RA2クラスは中田博信S2000が僅差のバトルを制す

 午後から行われた第5戦は、第4戦とは逆走の方向での設定となった。まずパドックからは遠いセクションの方からスタートし、タイヤが暖まりきらないうちにふたつのタイトなパイロンセクションをこなして、パドック手前側のエリアに入るという設定だ。

 タイムは午前中の第4戦からは各クラスとも10秒以上は長くなる設定だったが、第4戦とは逆に各選手、第2ヒートはタイムアップ傾向を示して、すべてのクラスで第2ヒートのタイムが優勝タイムとなった。その分、逆転劇等も生まれ、最終戦にふさわしい白熱のバトルが展開された。

 RPN1クラスでは、第4戦を制した須貝圭司選手が第1ヒートでベストを奪い、連勝に弾みをつけるが、第2ヒートでは1番ゼッケンで走った小野圭一選手が須貝選手の暫定ベストを1.2秒も凌ぐ、1分18秒507をマークしてトップに立つ。再逆転を狙う須貝選手もタイムアップを果たすが、19秒の壁は超えられず、小野選手が北陸シリーズ初優勝を飾った。

 北海道出身の小野選手は今春、就職で東海地区に移住となった。「コロナ禍で実戦に参加できなかった時間を昨年10月に買ったロードスターを煮詰めることに当てられました」と、今回が満を持しての中部地区のジムカーナへのデビュー戦だった。「ただ今回は、先週のここの練習会で清水さん(清水雅人選手。今年の北陸シリーズ開幕戦の優勝者)にイオックスの攻略法を教えてもらって、ワンランク上のレベルの走り方を身につけられたのが勝因です」と小野選手は地元の先輩に感謝しきりだった。

 第1ヒートからコンマ差の接戦となったRA2クラスは、第1ヒートで首位だった中田博信選手が、第2ヒートでライバルを突き離して優勝した。「1本目は運転が荒かったので2本目は丁寧に走ることを心がけました。午前中がグタグタだったので、午後は勝ちたかったんですよ。必死に走ったのが報われました(笑)」と勝因を自己分析。通常とは違った逆走のレイアウトについては、「滅多にないので新鮮でしたね。楽しく走れました」と振り返った。

 注目の最終戦では、RA1600クラス緒方宗之、RA2000クラス前島孝光という東海地区の実力者が午前中から連勝を飾り、その強さを見せつけた形となったが、RA3クラスでは地元の内記一喜選手がこの第5戦でも第1ヒートの3位から見事な逆転で優勝。堂々の2連勝を飾った。

RPN1クラスは北海道出身の若手、小野圭一選手が逆転で優勝を飾った。
RPN1クラス優勝の小野選手。
RPN3クラスは今季、東海シリーズで優勝を飾っている地元北陸の川田優選手が、第1ヒートの3位から逆転優勝を飾って吉崎選手の開幕3連勝を阻止した。
RPN3クラス表彰の各選手。
RA1600クラスは、きっちり2秒タイムを詰めた緒方宗之選手が2連勝を達成した。
RA1600クラス優勝の緒方選手。「今年初の実戦でしたが、ここは場所によって路面がうねっているので、走りとクルマを合わせるのが大変でした。2本目は今年最後の決勝のトライになると思ったのでセットを変えて走りましたが、走りもクルマも1本目よりは良い走りができたと思います」。
RA2000クラスは前島孝光選手が2本ともベストで上がる走りを見せて連勝を飾った。
RA2000クラス表彰の各選手。
RA2クラスはS2000を駆った中田博信選手が2ヒートともトップを守って激戦区を制した。
RA2クラス表彰の各選手。
RA3クラスは、第2ヒートで2秒以上もタイムを詰めた内記一喜選手が午前の第4戦に続いて優勝を果たした。RA3クラス表彰の各選手。
金大クラスは東海シリーズで優勝経験のある表和之選手が第1ヒートのミスコースを挽回して優勝した。
クローズドクラスは五十嵐豊光選手が連勝を狙った佐藤宗嗣選手を第2ヒートで逆転して勝利をさらった。
第5戦のコース図。通常はゴールが置かれる側のエリアからスタートして、パドック手前側のエリアをクリアしてゴールという、第4戦からは逆走となる設定となった。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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