「FIAガールズ・オン・トラック ライジングスターズ」、3日間のキャンプで8名が選出
2020年10月22日
女性ドライバーを育成する新しいプロジェクト「FIAガールズ・オン・トラック ライジングスターズ」が次の段階にステップする。10月14~16日にポール・リカール・サーキットでトレーニングキャンプが行われ、フェラーリ・ドライバー・アカデミー参加者が選抜された。
「FIA Girls on Track - Rising Stars」Shoot-Out/Training Camp
開催日:2020年10月14~16日
開催地:ポール・リカール・サーキット(フランス)
世界の女性ドライバーを発掘かつ育成し、さらに高いレベルへ引き上げるべく、FIAとウィメン・イン・モータースポーツ委員会が設立した新たなレーシングプロジェクト「FIAガールズ・オン・トラック-ライジングスターズ」。
今年始めにスタートしたこの新プロジェクトは、スクーデリア・フェラーリおよびフェラーリ・ドライバー・アカデミーと共同で運営されており、4年間のプログラムを経て最終的には2名のドライバーを選出し、フェラーリに加入してFIA-F4選手権に参加するという充実したプログラムとなる。
すでに145か国のASNより国内または国際歴なレース経験を持つ12歳から16歳の女性ドライバーがノミネート。5つの大陸から20名のドライバーが選ばれていたが、10月13日、フランスのポール・リカール・サーキット、ウィンフィールド・レーシングスクールにその20名が参加し、シュートアウトが実施された。
このシュートアウトでは身体的かつ精神的な部分を評価するためのワークショップが実施された他、二つのグループに分かれて1.0kmのコースでコーチから学んだことを実践する。レーシングカートを使用したレースシミュレーションも行われ、ウォームアップや予選、スーパーポールシュートアウト、15周のレースが実施された。これらの結果を元に、10月14~16日にトレーニングキャンプが行われ、参加者から最大12名が選出される。
このシュートアウトの様子を見守っていたFIAのジャン・ドット会長は「モータースポーツの未来を垣間見ることができて嬉しく思います。彼女たちはモータースポーツに対する喜びと情熱を持っていました。このイベントに参加した全てのドライバーを祝福するとともに、将来のキャリアで最高の経験になることを願っています」とコメント。
同じく視察に訪れたFIAウィメン・イン・モータースポーツ委員会のミッシェル・ムートン氏も「参加した女性ドライバーたちにとって決して忘れることのない経験であり、今後のキャリアでも貴重なものになったと信じています。激しい競争でしたが、その中には友情もありました。選ばれた12名の女性たちにとってはフェラーリ・ドライバー・アカデミーへの参加が近付くだけに、3日間のトレーニングキャンプは激しくなるでしょう」とシュートアウトの感想を語る。
注目のトレーニングキャンプはシュートアウト翌日にスタート。初日のプログラムはフィジカルとメンタルに関したもので、その後はコース上でデータを分析しながら、コーナリングやブレーキング、オーバーテイクのスキルアップが行われた。
トレーニングキャンプの2日目は、FIAカート委員長のフェリッペ・マッサ氏の監修によりレーシングカートを使ったプログラムが行われ、シュートアウトからどれだけ進化しているのかを判断。同時に、8分間の予選、5周のスーパーポールを経て、15周の決勝レースが実施された。午後にはシミュレーターでカートとシングルシーターの違いを体験するなど、FIA-F4乗車を見据えたプログラムも実施された。
そして、最終日となる3日目には反応速度や記憶、集中力のレベルをチェックするためのクロージングワークショップを実施。その結果、8名のドライバーが選出された。
今回のキャンプについてムートン氏は「合格した全てのドライバーを祝福したい。数日間でしたが、彼女たちがコーチからのアドバイスを取り入れ、進化をしていく過程には興味深いものがありました。2回目のトレーニングに参加する8名のドライバーにとってはプレッシャーを感じると思いますが、それもアスリートであることの一部です。彼女たちがカートからシングルシーターに移行していくのが楽しみです」と感想を語った。
なお、今回の第1回トレーニングキャンプで選ばれた8名は、11月2~4日に再びポール・リカール・サーキットで開催される、F4に特化したトレーニングキャンプに参加する予定で、この2回目のキャンプを経て4名のドライバーが選出される。そして、この選ばれた4名は、マラネロのフェラーリ・ドライバー・アカデミーに参加することになる。
フォト/FIA レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部