2グループに分かれての雨天決戦となったスーパー耐久シリーズ第2戦

レポート レース

2020年10月22日

スーパー耐久シリーズの第2戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」が10月10〜11日にスポーツランドSUGOで開催された。今年初めての2グループ開催となり、ST-4クラスとST-5クラスによるグループ2、そしてそれ以外のグループ1に分けて、決勝レースはそれぞれ3時間で競われた。

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第2戦 SUGOスーパー耐久3時間レース
開催日:10月10〜11日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SSC

JAF菅生スーパーFJ選手権 第1戦
開催日:10月10〜11日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SSC

台風14号接近の影響が懸念されていたスーパー耐久シリーズ第2戦だが、台風の進路は外れてレースに直接の影響は及ばなかった。だが、それでも両日とも一度も雨は止むことはなかった。

予選と決勝が土曜日のうちに行われたグループ2でポールポジションを獲得したのは、GR Garage水戸インターGR86をドライブする、久保凜太郎選手と細川慎弥選手、そして坪井翔選手。前回の富士24時間を制した勢いを、そのまま維持していた。ST-5クラスでは村上モータースMAZDAロードスターの村上博幸/中島保典/谷川達也組が予選トップ。

降りしきる雨の中、レースはセーフティカー(SC)スタートで開始され、いきなりピットに入ってきた車両3台の中に、3番手スタートのENDLESS 86の姿が。そのENDLESS 86は早々に小河諒選手から宮田莉朋選手に代わり、義務づけられた2回のピットストップのうち1回を消化する。

これに反応し、次の周にGR Garage水戸インターGR86も久保選手から細川選手に代わったことで、林テレンプSHADE RACING 86の平中克幸選手がトップに浮上。一方、ENDLESS 86の宮田選手も、GR Garage水戸インターGR86の細川選手も、ST-5クラスの車両をなかなか抜けず、同じクラスの後方につけるのに予想以上に多くの時間を要してしまう。そこでGR Garage水戸インターGR86の細川選手は坪井選手への早めの交代を決断。残り2時間弱を託すことに。

一方、トップを快走していた林テレンプSHADE RACING 86の平中選手も、1時間20分経過したところで国本雄資選手に交代するも、それから2周後に再びSCが! やむなく最後の手札である石川京侍選手に代えることとなる。さらにSCラン中にENDLESS 86も、宮田選手から松井孝允選手にスイッチ。

それぞれ戦術もピットタイミングも異なるのに、リスタートされるとENDLESS 86の松井選手、林テレンプSHADE RACING 86の石川選手、GR Garage水戸インターGR86の坪井選手の順で続くようになり、さらにもう一度SCが入ったことで間隔が一気に詰まる。

これに最も色めきだったのがGR Garage水戸インターGR86の坪井選手。57周目に2番手に上がり、そして60周目にはトップに浮上。ゴール間際にENDLESS 86の松井選手にやや差を詰められたものの、逃げ切りを果たしてGR Garage水戸インターGR86は開幕2連勝を達成することとなった。「今回、僕は楽して、坪井選手に頑張ってもらいました。狙うは全勝チャンピオンです!」と久保選手。

ST-5クラスは2回目のSCランから、総合トップの位置関係によって後続がラップダウンとなり、完全に村上モータースMAZDAロードスターと、太田侑弥/伊藤裕士/松尾充晃組を擁するTHE BRIDE FITの一騎討ちとなっていた。トップ争いを繰り広げたのは村上モータースMAZDAロードスターの谷川選手とTHE BRIDE FITの伊藤選手。いったんは前に出た伊藤選手だったが、谷川選手の再逆転を許した直後に、痛恨のコースアウト。

しかし、諦めずに走り続けたTHE BRIDE FITの伊藤選手はゴール間際になって一気に差を詰め、ラスト5周でトップに浮上。逃げ切ったTHE BRIDE FITが、ディフェンディングチャンピオンの意地を見せた。「途中、メガネが曇っちゃって、拭いているうちに馬の背で飛び出して。なんとかまたトップに立てましたが、ひとりでレースをかき回していましたね!」と伊藤選手。

ST-4クラスは#310 C.S.I RacingのGR Garage水戸インターGR86(久保凛太郎/細川慎弥/坪井翔組)が優勝。
ST-4クラスの表彰式。左から2位の#13 ENDLESS SPORTS、1位の#310 C.S.I Racing、3位の#884 林テレンプSHADE RACING。
#4 チームBRIDEのTHE BRIDE FIT(太田侑弥/伊藤裕士/松尾充晃組)がST-5クラスで優勝した。
ST-5クラスの表彰式。左から2位の#88 村上モータース、1位の#4 チームBRIDE、3位の#69 J'S RACING。

日曜日になっても雨は止むことはなく、グループ1の決勝もまたウェットコンディションでの戦いとなっていた。悪天候で予選が行えなかったことから、グリッドはクラスごと前回の結果によって決められたため、ST-XクラスはHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の山脇大輔/高木真一/Shaun Thong組がポールポジションを獲得。

スタート直後にひときわ速さを見せたのが、スポット参戦のため5番手スタートだったPorsche Center Okazaki GT3Rの上村優太選手だった。しかし、トップのHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の高木選手にも迫る勢いだったものの、レインボーコーナーで抜ききれずスピンを喫し、クラス最後尾に後退。

一時はトップを快走していたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の高木選手だったが、1時間を経過しようかというタイミングで雨足が弱まると、ペースが鈍り始めて急接近してきたD'station Vantage GT3の藤井誠暢選手に、自身のコースアウトもあって抜かれてしまう。

その後、めまぐるしくトップが入れ替わったが、最後にその座をつかんだのは、Porsche Center Okazaki GT3Rだった。ライバルよりも早めのピットストップを行い、永井宏明選手が前後にライバルのいない状態で、ハイペースでの周回を重ねていたことが勝因にも。ラストスティントを担当した上村選手は、ジェントルマンドライバーたちを一歩も寄せつけず、最後は2位のHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3に、12秒もの差をつけていた。

「1周目のスピンから巻き返してこられたので、本当に良かったです。永井選手がいい走りをしてくれたので、僕は最後まで安心して走れました」とPorsche Center Okazaki GT3Rの上村選手。

ST-Zクラスは、ENDLESS AMG GT4の内田雄大選手と山内英輝選手、そして高橋翼選手によってポール・トゥ・ウィンが達成され、開幕2連勝が飾られている。一時トップを譲ったのはピットタイミングの違いからで、スピードでプレッシャーをかけられることは一切なし。「山内選手がスタートから引っ張ってくれたので、僕らは淡々と走るだけで大丈夫でした」と内田選手。

ST-TCRクラスで先頭からレース開始となったのは、WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSのキズナ/千代勝正/安田裕信/大草りき組。スタートから千代選手が逃げ、これをF・Link Home CIVIC TCRの植松忠雄選手が追いかける。

途中、雨量が減ったこともあり、ジェントルマンドライバーのF・Link Home CIVIC TCRの植松選手は規定時間を超えたところで、井出有治選手との交代と併せ、ドライタイヤに交換。だが、直後に雨は再び強く降り出したため、わずか9周で井出選手から川端伸太朗選手にスイッチ。そしてドライタイヤに戻すこととなる。

作戦ミスかと思われたものの、F・Link Home CIVIC TCRの川端選手が絶えず変化する雨量に柔軟に対応。コンスタントに走り続けたことで、予定外の給油を一度強いられてなお、F・Line Home CIVIC TCRは逃げ切りに成功する。「僕がもうちょっと引っ張って(タイヤ交換を)判断すれば良かったのかもしれませんが、川端選手のおかげです、すべて!」と植松選手。

1台だけのエントリーとなったST-1クラスは、ROOKIE Racing GR SUPRAの蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑組が無事完走。スタートを担当した蒲生選手はST-Z勢の間に割って入る好走を見せていた。「1台しかいないので、寂しい思いはあったんですが、完走することを最大の目的として、さらに今日は雨のトレーニングだと思って走りました。これから徐々にスキルアップできればいいな、と思っています」と豊田選手。

開幕戦では快進撃を見せたST-2クラスのROOKIE RACING GR YARISを駆る、井口卓人選手と佐々木雅弘選手、そしてMORIZO選手だったが、連勝は許されず。「前回、富士で負けたのがすごく悔しかったので、事前のテストもしたら足のセットが完璧に決まって」と大澤学選手が語る、DAMD MOTUL ED WRX STIが18周目からトップを激走。

ピットタイミングでトップを譲ることはあったが、最終的に全車ラップダウンの圧勝となり、DAMD MOTUL ED WRX STIの後藤比東至選手、石坂瑞基選手とともに、表彰台の中央に立つこととなった。

ST-3クラスでは、前回優勝の服部尚貴選手と吉田広樹選手、そして川合孝汰選手がドライブする、埼玉トヨペットGBクラウンRSが序盤早々に、冷却系トラブルを抱えて遅れをとる波乱が。オープニングラップからトップに立っていたのは、エアーバスターWINMAX RC350 TWSの冨林勇佑選手。

後続を一歩も寄せつけぬまま大島和也選手に交代し、最後にステアリングを石井宏尚選手が握り、ラスト10分という荒技で逃げ切りを果たすこととなった。「雨には自信があったので、できるだけ序盤からマージンを作って。あとは信頼できるチームメイトなので、大丈夫だと思っていました」と冨林選手。

ST-Xクラス優勝はPORSCHE CENTER OKAZAKIのPorsche Center Okazaki GT3R(永井宏明/上村優太組)。
ST-Xクラスの表彰式。左から2位の#888 Mercedes-AMG Team HIRIX Racing、1位の#16 PORSCHE CENTER OKAZAKI、3位の#9 MP Racing。
#3 ENDLESS SPORTSのENDLESS AMG GT4(内田優大/山内英輝/高橋翼組)がST-Zクラスで優勝。
ST-Zクラスの表彰式。左から2位の#19 バースレーシングプロジェクト【BRP】、1位の#3 ENDLESS SPORTS、3位の#2 KTMカーズジャパン。
ST-TCRクラスは#290 Floral Racing with UEMATSUのF・Link Home CIVIC TCR(植松忠雄/井手有治/川端伸太朗組)が優勝した。
ST-TCRクラスの表彰式。左から2位の#22 WAIMARAMA KIZUNA RACING、1位の#290 Floral racing with UEMATSU、3位の#65 Audi Team Mars。
#28 ROOKIE RACINGのROOKIE Racing GR SUPRA(蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑組)がST-1クラス優勝。
ST-1クラスの表彰式。
ST-2クラス優勝は#59 TOWAINTEC RacingのDAMD MOTUL ED WRX STI(大澤学/後藤比東至/石坂瑞基組)。
ST-2クラスの表彰式。左から2位の#6 シンリョウレーシングチーム、1位の#59 TOWAINTEC Racing、3位の#32 ROOKIE RACING。
#39 TRACY SPORTSのエアーバスターWINMAX RC350 TWS(大島和也/冨林勇佑/石井宏尚組)がST-3クラスで優勝を果たした。
ST-3クラスの表彰式。左から2位の#15 OKABEJIDOSHA motorsport、1位の#39 TRACY SPORTS、3位の#62 HELM MOTORSPORTS。

中止になった第1戦、第2戦の代替レースが、予選が土曜日に、決勝2レースが日曜日の午前に行われたSUGOスーパーFJ。予選のベストタイムで第1戦、セカンドベストタイムで第2戦のグリッドが決められ、いずれもトップだったのは、前週に行われた第5戦で初優勝を飾っている須合修也選手だった。

「木曜の練習も雨だったんですが、クラッシュしちゃって。でも、案外うまく切り替えることができました。先週のレースで優勝できたことで、自信もつきましたし」と須合選手。

第1戦は須合選手の圧勝。途中、勢い余ってコースアウトのシーンもあったが、それでも2位の長谷部一真選手に13秒もの差をつけた。だが、続く第2戦では長谷部選手が好スタートを切り、逆転するまでには至らなかったが、1周目は須合選手の真後ろに。以降は徐々に引き離されていったが、須合選手のラインをしっかりコピーして走った長谷部選手はファステストラップを記録し、遅れを3秒までに短縮した。

3連勝でチャンピオン確定した須合選手は、「長谷部選手がファステストラップを出していたのは分かっていましたが、焦って回ったりしたら無駄だと思ったので、チャンピオンと1位目指して走りました。チャンピオンは気持ちいいですね!」と嬉しそうに語っていた。

第1戦を制したのは須合修也選手。激しい雨をものともせず、好スタートを決めて逃げ切っての勝利だ。
第1戦の表彰式。左から2位の長谷部一真選手、1位の須合選手、3位の池内比悠選手。
須合選手が第2戦も制し、10月上旬に行われた第5戦と合わせて3連勝。シリーズチャンピオンを確定させた。
第2戦の表彰式。左から2位の長谷部選手、1位の須合選手、3位の池内選手と、同じ顔触れが表彰台に並んだ。

フォト/吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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