もてぎのチャレンジカップレースは、各レースでホットバトル

レポート レース

2020年10月21日

コロナ禍でシリーズ第2戦は中止になり、以降のシリーズも開催レースが変更となった「もてぎチャンピオンカップレース」。9月19~20日、このもてぎチャンピオンカップレースの第4戦が行われた。

2020年JAF地方選手権もてぎ・菅生ツーリングカー選手権第5戦
開催日:2020年9月19~20日
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)
主催:株式会社モビリティランド、MOSC

「2020もてぎチャンピオンカップレース第4戦」
LOTUS CUP JAPAN 2020 Rd.1
TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race 2020 関東シリーズ第1戦
もてぎCIVIC
Porsche Carrera Cup Japan 2020 Round7/8/4

開催日:2020年9月19~20日
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)
主催:株式会社モビリティランド、MOSC

もてぎチャンピオンカップレースではこれまで中止やスケジュールの変更があったことから、選手たちは久々に腕を存分に振るえる場を堪能していた。その一方でこのレースウィークは天候が不安定となり、一度も青空が見られなかった。雨が降ったり止んだりを繰り返し、レース展開にも少なからず影響を及ぼしていた。

本来なら、JAF地方選手権もてぎ・菅生ツーリングカー選手権として全7戦で争われるはずだったFIT 1.5チャレンジカップは、もてぎの第2戦、SUGOの第3戦がコロナ禍で中止。今回が3戦目として行われた。

ポールポジションを獲得したのは、第1戦を制している相原誠司郎選手。「今年はスポット参戦かな……と思っていたんですが、サポートしてくれる方が『全部出てチャンピオン狙いなよ』って言ってくれたので、引き続き出られることになりました。(タイムは)1周目に出してきました。タイヤの温存もあるし、1周目しかないと!」と相原選手。

2番手につけたのは中村義彦選手でコンマ5秒の差をつけられ、「こんなもんでしょう。うまく合わせきれませんでした」と不満そう。だが、セミウェットの決勝では相原選手と中村選手の立場が入れ替わる。

レッドシグナルが消える前に相原選手は動いてしまい、それはもう誰にでも分かるフライングスタート。即座にドライビングスルーの指示が出る。一方、中村選手は後続が激しく競り合っていたこともあり、1周で2秒半ものリードを奪い、相原選手が2周目にピットに入るとトップに躍り出ることとなった。

2番手につけたのは志賀卓弥選手。中盤になって中村選手との差を一気に詰めたが、路面の乾きとともに、さらにハイピッチで迫ってきたのが中濱憲冶選手だった。その中濱選手は9周目の5コーナーで志賀選手をパス。だが、その間に中村選手は再び差を広げることとなる。

中村選手は活動を休止していた昨年を経て、ほぼ2年ぶりの優勝を飾ることとなった。「スタートの前にレースが終わっちゃいました。楽というか『あれ?』という感じで。途中差を詰められたのは、年寄りだから休憩させてもらいました」と中村選手。

冷静なレース運びでトップチェッカーを受けた中村義彦選手。およそ2年ぶりの優勝に笑顔で喜んだ。
FIT 1.5チャレンジカップの表彰式。左から2位の中濱憲冶選手、1位の中村選手、3位の志賀卓弥選手。

ロータスカップジャパンは本来、特別戦2戦+4戦で争われるはずが、特別戦は2戦とも、第1戦はコロナ禍で中止となって、さらに第2戦も悪天候でキャンセルに。そのため実質2戦の、今回が今季最初のレースとなった。

小雨の中で行われた予選で序盤に他を圧したのは佐藤考洋選手だったが、終盤に路面が乾いていって状況は一転。ラストアタックを決めた荒田良浩選手がポールを奪い、佐藤選手は飯田敏雄選手にも抜かれて3番手となってしまう。「いつもより滑りやすくて、最初のうちは慎重に。徐々に慣らしていって最後に出せた感じでしたが、それでも完全には合わせきれなかったですね」と荒田選手。

しかし、決勝では荒田選手のスタート直後の加速が鈍って4番手に後退。代わってトップに飯田選手が立つが、2周目の1コーナーで佐藤選手にかわされたばかりか、2コーナーのオーバーシュートで清水友一選手にも抜かれてしまう。いったんはリードを2秒に広げた佐藤選手ながら、終盤には清水選手の接近を許す一幕も。

だが「3速が入りにくくなったのでセーブして、後ろとの間隔を見ながら、また来たらペースを上げていました」と逃げ切りに成功。賞典外参加なので表彰台には立てなかったものの、ゲストドライバーの貫禄を見せた。優勝は清水選手が獲得、そしてクラス2では長澤宏昭選手が、ババシュー選手と秋葉有一選手のバトルを尻目に圧勝としていた。

レース中は自分のドライブングを心がけたという清水友一選手が、ロータスカップ初優勝を飾った。
クラス1の表彰式。左から2位の飯田敏雄選手、1位の清水選手、3位の荒田良浩選手。
クラス唯一のエキシージで勝利した長澤宏昭選手。1周目に全ての勝負をかけてクラス2の優勝を決めた。
クラス2の表彰式。左から2位のパパシュー選手、1位の長澤選手、3位の秋葉有一選手。
賞典外ながらトップでレースを終えた佐藤考洋選手。2分8秒966のベストでも他選手を圧倒した。

ネッツカップヴィッツレース関東シリーズも第2戦が中止になって、今回は第1戦の代替レースとして今季2戦目の開催となった。ポールポジションを獲得したのは峯幸弘選手。「練習までは良くなかったんですが、本番になったら(笑)。でも、スリップストリームを使ったタイムなんで、また楽なレースにはなりませんね」という予想がはからずも現実のものとなってしまう。

小雨交じりの決勝で今季初戦を制した黒田保男選手が、予選4番手からオープニングラップのうちに峯選手に続く2番手に上がっていたからだ。必死にガードを固め続けた峯選手だったが、堪えきれず6周目の90度コーナーで、ついに黒田選手の逆転を許す。

「いわゆる深溝(タイヤ)で行きまして。しばらく峯選手の様子をうかがっていましたが、行くなら一発で仕留めないと、後ろが迫ってきちゃうのでワンチャンスに賭けました。いやぁ、しびれました。峯選手が相手じゃないと、ああやって抜くことはできなかったでしょうね」と黒田選手。お互いの信頼が白熱のバトルを演出した。3位は松本英之選手が獲得。

黒田保男選手が関東シリーズ2連勝。今回はポールポジション&ファステストラップも獲ってフルマークの勝利。
シリーズポイント制度はないものの、MT仕様車両との混走となったCVTクラスは仲村敏裕選手が1位を獲得した。

もてぎシビックは、ここまで2戦のウィナーがフロントローに並び、関直之選手が福田裕平選手を従えて最前列に。やはりセミウェットの予選で「一発で決めて、一回ピットに戻ったんですが、後半だいぶ路面も乾いてきたから、ドライ用のタイヤも試して。リアが温まりきらなかったから、出なかったんですけどね」と、決勝がドライになろうが、ウェットになろうが大丈夫だとばかりに自信のほどをうかがわせた関選手。

しかし、決勝では「ホイールスピンして、3速に入れるときにシフトミスした」という関選手が、福田選手の先行を許したばかりか、90度コーナーでアウトにはらんだところを林大輔選手にも抜かれ、3番手に後退してしまう。そこから先は三つ巴でのトップ争いに。

まず4周目のS字で林選手がトップに浮上。90度コーナーでは関選手も2番手に。続いて関選手は林選手にも襲いかかるが、固いガードに行く手を阻まれてしまう。そこで「いったんタイヤを休ませた」という関選手がラストチャンスにすべてを賭けて、最終ラップの90度コーナーで逆転に成功。「見ている方は楽しかったでしょうね!」と自ら語るデッドヒートの末に、今季2勝目をマークした。

トップ3は終始、僅差の戦いを繰り広げていたが、抜け出した関直之選手が優勝を手にした。
もてぎシビックの表彰式。左から2位の林大輔選手、1位の関選手、3位の福田裕平選手。

ポルシェカレラカップジャパンは、最もコロナ禍の影響を受けたシリーズだ。本来ならスーパーGTやF1日本GPのサポートレースとして多くが開催されるはずが、すべてローカルレースとの併催になったからだ。しかも、悪天候で中止になったSUGOの第4戦代替レースが、今大会のラストレースとして組み込まれて3連戦となり、早くも最終決戦を迎えることとなった。

予選は30分間、ベストタイムで第1レース、セカンドベストタイムで第2レースのグリッドが決まる中、天気は雨のち曇りといった状況。だが、後半に大幅なタイムアップを果たす者はほとんど現れなかった。

2戦ともにポールポジションを奪ったのは、ポイントリーダーの近藤翼選手。「急に雨が降ってきちゃって、ドライでは調子良かったんですが、ウェットはちょっと心配で。とりあえずWポールで良かったんですが、路面が良くなったはずの後半にタイム出なくて、ちょっと焦りました。ウェットタイヤがある程度、雨量がないとグリップしなくて、さりとてドライタイヤで行けるような状況ではなくて……」と、苦しみながらの結果だった様子。

第1レースこと第7戦の決勝では、小雨に見舞われる中、予選2番手から小河諒選手が好スタートを切ってトップに立つも、近藤選手がピタリと食らいついて離れず。激しいバトルが続く間に、一時は離していた上村優太選手も近づいてくる。

勝負の分かれ目となったのは6周目の90度コーナー。ここで近藤選手が小河選手に仕掛けた際に接触があり、その一瞬の間隙を捕らえた上村選手がトップに躍り出る。近藤選手はなんとか2番手で踏み留まったが、小河選手はやがて右リアのタイヤを交換する羽目に。

「こんな展開、誰も予想していなかったですよね」とコメントしたのは上村選手。ProAmクラスでは内山清士選手が、Amクラスでは春山次男選手が優勝を飾った。

第2レースこと第8戦決勝は、完全なウェットコンディション。ここでは近藤選手がスタートを決めて後続を寄せつけず。「ウェットは好きだし、後続がバトルをしてくれたので離せました」と近藤選手。

その後続のバトルを小河選手と上村選手が繰り広げたが、順位の入れ替えはなかった。ProAmクラスは浜崎大選手が、AmクラスはSky Chen選手が優勝。

第3レースこと第4戦代替決勝は、ようやく全車ドライタイヤを装着しての戦いに。グリッドは第1レースのベストラップ順で決められ、近藤選手、小河選手、上村選手という順。

第1レース同様、小河選手がスタートを決めてトップに立ち、常に上村選手と近藤選手を背後に置いたが、プレッシャーに屈することなく逃げ切って優勝した。「今週はずっとスタートを失敗する気がしませんでした。終わり良ければすべて良し、と今は思うことにします」と小河選手。

そして3位でゴールの近藤選手が3度目のチャンピオンを獲得。「スタートでストール気味になっちゃったので抜かれてしまいましたが、前のふたりが白熱していたので、シリーズを考えて走りました。今年は『チャンピオン獲ってください』って呼ばれたので。何回獲っても嬉しいものです」と近藤選手。

ProAmクラスを制した内山選手がシリーズも制覇。「6シーズン目でやっと巡ってきた感じです」と内山選手。そしてAmクラスは神取彦一郎選手が優勝も、2位でゴールのChen選手がチャンピオンに輝いている。

一瞬のチャンスを見逃さず、逃げ切った上村優太選手が優勝。今シーズン4勝目となった。
第7戦の表彰式。左から2位の近藤翼選手、1位の上村選手、3位の石坂瑞基選手。
ProAmクラスの内山清士選手はポールポジションからトップを譲ることなく優勝を手に入れた。
第7戦ProAmクラスの表彰式。左から2位のIKARI選手、1位の内山選手、3位の浜崎大選手。
「草レースも含めて優勝したのは初めて」と語るAmクラスの春山次男選手が、第7戦で嬉しい初優勝を飾った。
雨が降る難しいコンディションの中、安定した走りを見せた近藤選手が第8戦で優勝。
第8戦の表彰式。左から2位の小河諒選手、1位の近藤選手、3位の上村選手。
ProAmクラスでポール・トゥ・ウィン、そして今シーズン2勝目を挙げた浜崎選手が第8戦をものにした。
第8戦ProAmクラスの表彰式。左から2位のIKARI選手、1位の浜崎選手、3位の内山選手。
PCCJ初優勝となったSky Chen選手。第8戦の勝利でAmクラスのポイントリーダーに躍り出た。
第8戦Amクラスの表彰式。左から2位の春山選手、1位のChen選手、3位の神取彦一郎選手。
最終戦となる第4戦、好スタートを決めた小河選手が逃げ切り優勝を果たし、有終の美を飾った。
第4戦の表彰式。左から2位の近藤選手、1位の小河選手、3位の石坂選手。
クラス2番手スタートながら優勝、そしてチャンピオンにも輝いたのは内山選手。
第4戦ProAmクラスの表彰式。左から2位の浜崎選手、1位の内山選手、3位のTAKASHI HATA選手。
Amクラスで今シーズン初優勝を最終戦で成し遂げたのは神取選手。自分の走りに徹して勝利をつかんだ。
第4戦Amクラスの表彰式。左から2位のChen選手、1位の神取選手、3位の春山選手。
オーバーオールチャンピオンは近藤選手。PCCJでは3度目の戴冠となった。

なお、新型コロナウイルス感染対策として、主なところはエントリー台数の多いヴィッツレースはブリーフィング会場を2か所に分け、一方をリモートで実施。リザルト等の紙配布は一切行わず、入場時には全員がゲート前で検温を行い、また消毒用のアルコールスプレーはパドックにも備えられるほど、随所に置かれていた。

フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ