第3回WMSCでは2021年WRC日本ラウンドが12戦目で承認。スーパーライセンス資格基準に変更も

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2020年10月13日

FIAは10月9日、今年3回目となる世界モータースポーツ評議会(WMSC)を開催し、新型コロナウイルス感染症に対する新たな取り組みを始め、2021年世界選手権などの各シリーズにおける変更点や開催スケジュールなどが決議され、その概要を発表した。

第3回WMSCは前回に引き続きオンライン形式で行われ、決議事項として最初に記されたのは、やはり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する項目だ。その内容は、COVID-19に対応した専門委員会の設立で、フランス・パリのピティエ・サルペトリエール病院の感染症・熱帯病の責任者であるエリック・コーメ教授とFIAメディカル委員の委員長、ジェラール・サイヤン教授を中心に委員会が設置されることが決定している。

続いて、FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)における大きな変更点も発表。2017年からF1でチェアマンかつCEOを務めてきたチェイス・キャリー氏に代わって、2021年1月よりFIAシングルシーター委員会の代表を務めるステファノ・ドメニカリ氏が新たなチェアマンかつCEOに就任したことだ。

併せて、WMSCの新メンバーとしてケニアモータースポーツ連盟の支援を受けるアミナ・モハメド氏を任命。モハメド氏はケニアのスポーツ、文化、遺産の大臣を努める女性で、WRCのサファリラリープロジェクト運営員会の委員長も担当するほか、国際オリンピック委員会(IOC)の倫理委員会のメンバーとしても活動するなど多方面で活躍している。

F1に関連する項目としては、F1参戦の資格、いわゆるスーパーライセンスの資格基準がFIA安全委員会において変更されたことも大きなトピックだ。

変更されたのは第1章「FIAインターナショナルドライバーズライセンス」の第5条「スーパーライセンスの発行資格と条件」で、COVID-19の影響で多くのシリーズが中断したことから、スーパーライセンスを獲得できる期間を通常の3年から4年に延長した。

これにより、2020年を含めて4年間のうち、任意の3年間に蓄積されたポイントで審査されるほか、これまでは40ポイントが必要となっていたスーパーライセンスの獲得ポイントについても、最低30ポイントを獲得し、シングルシーターカーで卓越したパフォーマンスを実証していれば、スーパーライセンス発給について検討の機会が与えられることとなった。スーパーライセンス取得を目指すドライバーにとっては朗報と言えるだろう。

ちなみに、シングルシーター委員会の決議事項で注目を集したいのが、11月19日~22日の開催を予定していたF3ワールドカップ「マカオグランプリ」の開催可否で、マカオへの入国制限が継続中であることから、FIAは2020年の大会の開催断念を正式に発表した。

一方、同じ世界選手権であるFIA世界耐久選手権(WEC)では、2021年のスケジュールが発表され、2021年9月26日に、富士スピードウェイを舞台にWEC日本ラウンド「富士6時間レース」が開催されることが明らかにされた。

また、FIA世界ラリー選手権(WRC)においても2021年カレンダーが承認されており、そのカレンダーには12戦目となる11月14日にWRC日本ラウンドの記述が確認できる。

2021年のWRCは、現時点では9戦の欧州ラウンドに日本とケニア、チリを加えた全12戦を予定しているが、COVID-19の影響から、トルコやラトビア、ベルギー、アルゼンチン、ギリシャのアクロポリス、イタリアのモンツァなどが「緊急イベント」として開催される代替案が設定されていることも、今回のポイントだとも言えるだろう。

FIAフォーミュラE選手権については、2020-2021年シーズンからの世界選手権タイトルへの昇格準備を開始しており、現状のフォーミュラEはコスト管理の一環として、パーツ生産やVCUのソフトウェアアップデートの回数が制限されることなっている。

また、電気を動力源とするプロトタイプのクロスカントリー車両で争われる「エクストリームE」に関しては、FIAインターナショナルシリーズとして開催されることが明らかとなった。FIA GT委員会でも関係者による電動GTシリーズのプロモーションに同意したほか、FIAツーリングカー委員会でも電動ツーリングカーのプロモーションする関係者の参加を認めるなど、モータースポーツのEV化が加速度的な進捗を見せている。

なお、今年最後のWMSCは12月16日にスイス・ジュネーブで行われる予定で、FIAの年次総会と合わせて実施される予定となっている。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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