仕切り直しで9月開催のル・マン24時間レースでTOYOTA GAZOO Racing 8号車が大会3連覇!

レポート レース

2020年9月25日

例年は6月に開催されてきた「ル・マン24時間レース」が今年は新型コロナウイルス感染症の影響で9月に開催。今年もFIA世界耐久選手権(WEC)スーパーシーズンの1戦として行われ、TOYOTA GAZOO Racingの8号車が優勝。大会三連覇を達成した。

2019-2020年FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦
「第88回ル・マン24時間レース」

開催日:2020年9月16~20日
開催地:サルト・サーキット(フランス)

例年の6月開催から9月開催に変更された「ル・マン24時間レース」。新型コロナウイルス感染症の対策を施しながら、2019-2020年WEC第7戦として無事スタートが切られた。
ナイトセッションでも独特の盛り上がりを見せるル・マン24時間レースだが、今大会は史上初の無観客試合となったため、グランドスタンドには終始静けさが漂っていた。

 2019-2020年のWEC第7戦「第88回ル・マン24時間レース」が9月19日~20日、フランスのサルトサーキットで開催され、中嶋一貴選手/セバスチャン・ブエミ選手/ブレンドン・ハートレー選手を要するTOYOTA GAZOO Racingの8号車が大会3連覇を達成。

 同時に小林可夢偉選手/マイク・コンウェイ選手/ホセ・マリア・ロペス選手を擁する7号車が3位に入賞したことで、2台のトヨタTS050ハイブリッドを投入するTOYOTA GAZOO Racingが、最終戦バーレーンを待たずしてチームズチャンピオンを確定させた。

 F1のモナコGP、INDYCARシリーズのインディ500とともに、世界3大レースの一つと称されるスポーツカーレースの祭典「ル・マン24時間レース」。これまで同大会は6月に開催されてきたが、2020年の大会は新型コロナウイルスの影響により9月へ開催時期が変更され、史上初めて無観客で開催されることになってしまった。

 史上稀に見る変則的なスタイルで開催された大会では、走行初日の17日から素晴らしいパフォーマンスを見せたのが、LMP1規定の終了により、TS050ハイブリッドでの最後のル・マン挑戦となっていたTOYOTA GAZOO Racingだった。

 まず2回の公式練習で8号車がトップタイムをマークすると、予選では7号車と1番手を獲得。翌18日には、スターティンググリッドを決める、予選の上位6台によるハイパーポールが行われたが、ここでは7号車がトップタイムを叩き出し、ポールポジションを獲得。さらに8号車は3番手につけるなど、チームは順調な立ち上がりを披露した。

 19日に幕を開けた24時間の決勝では、セーフティカーが導入された際にピットインを行っていたことから、7号車が2番手に後退する事態が発生したが、8号車は安定した走りを披露。パンクとブレーキダクトの清掃で2度のピットインを強いられながらも、8号車が首位に浮上した。

 しかし、レース中盤ではブレーキトラブルで2番手に後退した8号車に代わって、7号車が首位に浮上。まさにトップ争いはTOYOTA GAZOO Racingの2台が一騎打ちを展開していたが、12時間後、首位につけていた7号車に出力低下のトラブルが発生してしまった。

 その原因は排気マニホールドの破損で、7号車は緊急ピットインでマシンの修復を実施。何とか再出走を果たしたものの、修復作業に30分間を要した事から、7号車はトップから6ラップ遅れの4番手まで後退する事になった。

 代わって首位に浮上した8号車は、後半では安定した走りを披露。中嶋選手/ブエミ選手/ハートレー選手がドライブした8号車が優勝し、大会3連覇を達成した。

「TS050ハイブリッドでの最後のル・マンで勝つことができたことは別格ですし、3連覇達成というのも素晴らしいです。今日のレースは浮き沈みの激しい展開でしたが、クルーを含め、全員が素晴らしい働きをしました。どういうわけが、我々は他のクルマよりも運に恵まれているようです」とは、アンカードライバーを務めた中嶋選手。

 一方、排気系トラブルで4番手に後退した7号車は、フロアにダメージを受けて空力的な性能低下に見舞われたが、それでも粘りの追走を披露。その結果、「このリザルトは我々が望んでいたものでも予想していたものでもありません。我々は非常に速かったのですが、レースというのは残酷です」と小林選手が語るように、小林選手/コンウェイ選手/ロペス選手の7号車は3番手フィニッシュ。表彰台を獲得したものの心境は複雑だ。

 2位にはブルーノ・セナ選手/グスタボ・メネゼス選手/ノルマン・ナト選手を擁するレベリオン・レーシングの1号車が入ったが、ダブルポディウムを果たしたTOYOTA GAZOO Racingは、最終戦を待たずしてチームズタイトルを獲得。

 一方、ドライバーズタイトルは8号車がランキング首位に浮上したが、7号車も7ポイント差で2位につけているだけに、11月14日にバーレーンで開催される最終戦では、TOYOTA GAZOO Racingの8号車 VS 7号車のドライバータイトル争いが展開されそうだ。

TOYOTA GAZOO Racingの8号車と7号車はそれぞれマイナートラブルに見舞われ順位を下げる事態となったが、最終的には8号車がトップフィニッシュしてみせた。
中嶋一貴選手ら8号車はル・マン24時間レースで3連覇を達成。また、第8戦バーレーン(最終戦)を待たずしてTOYOTA GAZOO Racingのチームズタイトルが確定した。
優勝は中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー組の8号車、2位はブルーノ・セナ/グスタボ・メネゼス/ノルマン・ナト組のレベリオン・レーシング1号車、3位は小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス組の7号車という成績。

 ル・マン参戦の日本勢としては、ハイクラス・レーシングの33号車、オレカ07ギブソンでLMP2クラスに参戦した山下健太選手が、予選で総合9位/LMP2クラス4位を獲得。決勝でも一時は2番手まで浮上したが、マシントラブルでリタイアした。

 ユーラシア・モータースポーツの35号車、リジェJSP217ギブソンでLM2クラスに参戦した山中信哉選手は。予選で総合23位/LMP2クラス18位に出遅れた他、決勝でもレース序盤でコースアウトを喫したが、総合18位/LMP2クラスの14位で完走している。

 MRレーシングとして参戦した70号車、フェラーリ488GTEでLMGTE AMクラスに参戦した木村武史選手/ケイ・コッツォリーノ選手は、予選で総合46位/LMGTE AMクラス12位につけていたが、決勝はコースアウトでリタイアすることになった。

フォト/TOYOTA GAZOO Racing レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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