渡会太一選手が茂原で2連勝と強さを発揮! ポイント争いは波乱の幕開け

レポート カート

2020年9月24日

国内カートレースの最高峰、全日本カート選手権OK部門の第3戦/第4戦が千葉県・茂原ツインサーキット東コースで行われ、同部門2年目の渡会太一選手(Drago Corse)が2連勝を飾った。

2020年JAF全日本カート選手権OK部門 第3戦/第4戦
開催日:2020年9月19〜20日
開催地:茂原ツインサーキット東コース(千葉県茂原市)
主催:MTC

 開幕戦APG大会からほぼ2か月のブランクを置いて行われた2020シリーズ2度目の大会。茂原ツインサーキットはコース入口からの入場ルートと退場ゲートを新たに区分けし、来場者の車を確実に検温エリアへ誘導して、新型コロナウイルス感染防止策を徹底していた。

 また、この大会では一般観戦が解禁され、指定エリアの最終コーナースタンドには多くのギャラリーの姿が。それもあってか、西コースを利用した駐車場は、決勝日には終日ほぼ満車状態となっていた。さらに、住友ゴム工業株式会社(ダンロップ)代表取締役社長の山本悟氏も視察に訪れるなど、サーキットはさまざまな賑わいを見せていた。

本大会では来場者の検温をしっかり行うなど、一般観戦をようやく実現できた。そのため駐車場は満車状態になるほどの盛況ぶりとなった。

 エントリーは29台。開幕戦で3位表彰台に立った平良響選手が4輪レースのスケジュールとの重複で参加できず、そのシートに2019シリーズ最終戦で初優勝を飾った森山冬星選手(KR HIROTEX RACIG)が座ることになった。また、FS-125部門で活躍していた伊藤慎之典選手(HRT&チャリ走!GO!KART)も今回がOK部門初レースとなる。

 大会スケジュールは土曜日にタイムトライアルと第3戦の予選が、日曜日に第3戦の決勝と第4戦の予選・決勝が行われる流れだ。

昨年最終戦の初優勝の記憶も新しい森山冬星選手と、FS-125部門からステップアップしたOK初参戦の伊藤慎之典選手がこの茂原大会に参戦

 土曜日は曇り空ながらドライコンディションで全走行スケジュールを消化した。まず行われたタイムトライアルでは、16歳のルーキー平安山良馬選手(TEAM EMATY)が従来のコースレコードを0.6秒弱も更新する驚異的なタイムで総合トップに。2〜4番手に高橋悠之選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)、渡会選手、大木一樹選手(KR Racing)が続いて、1位から10位までをブリヂストン・ユーザーが占拠、ドライでのBSの速さをまざまざと見せつけた。

 ダンロップ勢では11番手の野村勇斗選手(EXGEL with MASUDA RACING)が最上位、APG大会で上位を占拠したヨコハマ勢は15番手の森山選手が最上位だった。

 続いて行われた第3戦の予選では、波乱が相次いだ。まずスタートに向かうローリングで、ポールの平安山選手がスピンしてDNSに。これでトップに立った高橋選手は後続を引き離しゴールに向かっていたが、中盤にチェーンが切れストップしてしまった。

 かくして決勝のフロントローは渡会選手と荒尾創大選手(BirelART RAGNO Racing)のものとなった。3番手でゴールした佐々木大河選手(TEAM WOLF)はフロントフェアリングのペナルティで11位に降格となり、3〜5番グリッドには佐々木大樹選手、大木選手、木内秀柾選手(NEXUS Competition)が並ぶことに。DL勢の朝日ターボ選手が18番グリッドからの急浮上で6番手に食い込んできた。

 一夜明けて大会最終日。前日までの雨の予報は覆り、朝のサーキット上空には青空も覗く。第3戦の決勝は予選と同様、ドライコンディションで行われることとなった。

 そして始まった28周のレースは、渡会選手が制圧する結果となった。ポールから綺麗にスタートを決めた渡会選手は、2周目からギャップを広げて快走。最終的に後続を3秒以上も引き離す独走で、昨年第8戦以来の自身2勝目を飾った。

 2位には佐々木大樹選手が入り、今季2度目の表彰台を獲得。最後尾のグリッドから3番手まで上がってみせた平安山選手はフロントフェアリングのペナルティで順位を下げた。繰り上がりで3位となったのは朝日選手。スタートでは一気に2番手へ上がり、その後も最後までBS勢に伍してラップを重ね、BS勢から表彰台の一角を奪ってみせた。

昨年のチャンピオン・佐々木大樹選手を抑え込んで優勝を果たした渡会太一選手。「スタートがやっとうまく決まりました。けっこう壊れやすいタイヤだったから、最初からタイヤをキープしながら走っていました。開幕戦では苦しんだんですが、今回はずっとペースが良かったです」とレースを振り返った。
第3戦の表彰式。左から2位の佐々木大樹選手、1位の渡会選手、3位の朝日ターボ選手。

 続く第4戦では、平安山選手が予選を制して初のポールに着いた。決勝が始まると、まず先頭に立ったのは3番グリッドの渡会選手。しかし、平安山選手はやがてトップに戻ると、佐々木大樹選手らを引き連れラップを重ねていった。一方、渡会選手は思うようにペースが上がらず、レース中盤には4番手に後退した。

 しかし、この苦しい局面を冷静に耐え抜いた渡会選手は、やがて前のマシンのタイムが落ち始めると着々と順位を取り戻し、残り9周でトップに復帰。OK部門2年目を迎えて成長を感じさせる落ち着いたレース運びで、快心の2連勝を飾った。

 佐々木大樹選手はリアタイヤの過熱に苦しみながら今回も2位でフィニッシュ。平安山選手は圧巻の速さを勝利につなげることはできなかったが、佐々木大河選手との攻防を制して3位でゴール、初表彰台に立った。

 ポイントランキングでは、佐々木大樹選手が首位に、渡会選手が2番手に上がってきた。ただし、佐々木大樹選手は次のSUGO大会の欠場が決まっている。チャンピオン争いの先行きは、まだ予断を許さない状況だ。

3番グリッドから好スタートを切った渡会選手が優勝。「前半はぜんぜんペースが上がらなかったけれど、後半は自分のペースの方が良いはずだから、抜かれてもまあ大丈夫だろうと思っていました。タイヤを温存してきた甲斐があり、トップに出た瞬間に後ろが離れていきました」と茂原2連勝を喜んだ。
第4戦の表彰式。左から2位の佐々木大樹選手、1位の渡会選手、3位の平安山良馬選手。
今シーズンはまだ優勝こそないものの、着実にポイントを獲得して現在ポイントリーダーとなっている佐々木大樹選手。

フォト/小竹充 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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