JAF近畿ジムカーナ鈴鹿南ラウンドは天候に翻弄される一戦に!川西努ロードスターがハードレイン・バトルを制す

レポート ジムカーナ

2020年9月24日

8月にシリーズ再開となったJAF近畿ジムカーナ選手権は、シリーズ3戦目となる戦いが行われ、台風で大荒れの天候の中、各クラスで激闘が演じられた。

2020年JAF近畿ジムカーナ選手権第6戦
2020年JMRC近畿ジムカーナチャンピオンシリーズ第6戦
2020年JMRC全国オールスター選抜第6戦
淀ハイスピードジムカーナ

開催日:2020年9月6日
開催場所:鈴鹿サーキット国際南コース
主催:チーム淀

 JAF近畿ジムカーナ選手権第6戦が9月6日、鈴鹿サーキット国際南コースで開催された。今シーズンは新型コロナウィルスの影響により、第2戦から第4戦の中止が余儀なくされ、今回はシリーズ3戦目となる。

 感染拡大防止対策として、南コース入場ゲートでは検温が行われ、選手及び競技関係者は会場内ではマスク等を着用。また、大会当日1週間前からの健康状態を記入したチェックシートを提出する等の対策が採られた。

 当日は、特別警戒級の台風10号が九州地方に接近していることもあり、冠水が予測されるコースの一部は使用せず、パドックも4ブロックに分かれての配置となる等、大雨に備えての対策も施された。

 未明に降った雨の影響で、セミウェットの路面で行われた朝の慣熟歩行。更に上空は今にも雨が降り出しそうな雲が立ちこめており、いつまで持つか懸念されたが、遂に第1ヒートが始まる直前に降り出してしまい、完全なウェット路面で競技が始まった。

 その後、視界も確保出来ないくらいのどしゃ降りとなり、路面もヘビーウェット状態に。しかし昼頃には晴れ間も覗き、一時はドライ路面も見られる程回復したが、午後には再び降り出すといった、めまぐるしく変わる天候の中での競技となった。

 コースは最終コーナー側へ向けてスタートする逆走レイアウト。中央でパイロンセクションをこなし、S字からストレートを経て、メインストレートで8の字を描いてゴールと、高速セクションとテクニカルを織り交ぜた鈴鹿南ならではの設定となった。

 競技はB1クラスからスタート。小排気量車で争われるB1クラスはカプチーノの、よこ山弘之選手が優勝。「今回は藤林選手の失敗もあって優勝できました。2本めはサイドターンで少し失敗しましたが、楽しく走れました」と、第2ヒートで逆転勝利。同じく軽自動車のアルトで参戦の藤林伸吉選手はベストタイムを出すも、脱輪ペナルティで幻となってしまった。

 続くB2クラスは2台の出走と少々寂しい戦いではあったが、高知県から遠征してきた堀央尚選手が両ヒート共にベストタイムで優勝。B3クラスでは昨年まで全日本PN3クラスで戦っていた抱博高選手が、今年から乗り換えたS2000で参戦。「(ドライになった)2本目で、上手く気持ちを切り替えられたのが良かったと思います。晴れるように祈ってました(笑)」と第1ヒート5番手から逆転優勝を決めた。

 そして、本日一番の豪雨に祟られたB4クラスは「1本めはキツかったですね(笑)。天候が読めなかったので2本目もウェットセッティングで行ったのですが、細かい事は考えず思いっきり行ったのが良かったと思います」と第1ヒートはハイドロでスピンを喫した石田忠義選手が、ドライ路面になった第2ヒートで見事な逆転勝利を収め、今季3連勝でチャンピオンも確定した。

 第2ヒートで再び雨が降り出してきたLクラスは清水浩子選手が両ヒートともにベストタイムを刻み、優勝。そして、雨足も強くなり、ほぼ第1ヒートと変わらないウェット路面に戻ってしまったPN部門だが、タイムアップ合戦が繰り広げられ、白熱した展開となった。

「雨は予想してましたが、まさかこんなに降るとは思いませんでした(笑)。コース上にいるのが精一杯でした」と言いながらもPN1クラスを制したのは川西努選手。PN2クラスはベテラン喜多治人選手が、「2本めは晴れると思ってドライセッティングにしたのですが降ってきちゃって。それでもタイムアップしていたので結構いけるもんだなと(笑)」と、多少誤算があったようだが、1秒以上自己タイムを更新し優勝を決めた。

 PN3クラスで優勝の寺尾恭平選手も自己タイムを2秒近く更新し、ウェット路面を攻略したが、PN4クラスは「60歳を超えると2本目まで集中力が持ちません(笑)。自分との戦いに負けました」という小玉知司選手はタイムダウン。しかし第1ヒートのタイムで辛くも逃げ切り、優勝となった。

 後半のS部門に入っても路面状況は回復せず、両ヒート共にウェット路面での競技となったが、多くの選手がタイムアップとなり、第2ヒート勝負となった。S1クラスは小木曽浩之選手が2秒ものタイムアップを果たして優勝。S2クラスは、「雨の鈴鹿は全日本戦で勝った事があるゲンが良いコースなので、最高のコンディションでした(笑)」と、雨を待ってましたと言わんばかりの前田忍選手が優勝。最終のS3クラスは2位以下を2秒以上引き離す圧倒的な速さで、辰巳浩之選手が制した。

会場内では手指消毒が励行されたほか、参加選手に直近の健康状態を記入するチェックシートの提出が求められた。
会場ではマスクの着用、ソーシャルディスタンスを取った行動が求められた。
日本を代表するレーシングカートコースである鈴鹿サーキット国際南コース。全日本ジムカーナやJAF近畿ジムカーナ選手権の舞台としても知られている。
当日のコース図。大雨の影響を考慮してコースをフルには使わず、ゴール手前には8の字ターンが設定された。
2本目勝負となったB1クラスは、ヒート1では2位だったよこ山弘之選手が逆転優勝を飾った。
B1クラス表彰の皆さん。
「鈴鹿南は初走行です。慎重に走ったのが良かったのかもしれません」。高知から遠征のB2クラスは堀央尚選手が優勝。
B2クラス優勝の堀央尚選手。
RWD車が集うB3クラスはヒート2で大きく順位を上げた抱博高選手が優勝。
B3クラス表彰の皆さん。
インプレッサが優勢のB4クラスは石田忠義選手が今季3勝目をマークした。
B4クラス表彰の皆さん。
「2本めも雨が降ると信じてウェットタイヤを選択したので、雨乞いしました(笑)。ブレーキを丁寧に、ミスしないよう心掛けて、ほんの少し攻めたのが良かったと思います」。Lクラスは両ヒートともベストタイムを奪った清水浩子選手が快勝した。
Lクラス表彰の皆さん。
PN1クラス表彰の皆さん。
スイフトvs124スパイダーの戦いとなったPN2クラスはベテラン喜多治人選手が優勝をさらった。
PN2クラス表彰の皆さん。
「戦略は特にありませんでした(笑)。路面は1本目と同じ条件(ウェット)だったので勝負がリセットされず、自分的には戦い易かったですね」。PN3クラスは寺尾恭平選手が、2本ともベストでライバルを寄せ付けなかった。
PN3クラス表彰の皆さん。
ランサーエボXのワンメイクとなったPN4クラスは、小玉知司選手がヒート1のタイムで逃げ切った。
PN4クラス表彰の皆さん。
「S2クラスの隅田選手が、すごくパイロンの近くを攻めていたので、自分も2本めは、かなりギリギリ寄せて走りました。バッチリ決まりましたね!まだビデオで確認してませんが(笑)」。S1クラスはヒート2でぶっちぎりのベストを叩き出した小木曽浩之選手が優勝した。
S1クラス表彰の皆さん。
S2クラスでは、雨の鈴鹿南とは抜群に相性のいい前田忍選手が優勝。
S2クラス表彰の皆さん。
S3クラス優勝の辰巳浩之選手は、「今年はこういった状況で前半は競技がなく、タイヤが新しい状態で温存できていたので、深い溝で走れたのが良かったのかな(笑)」と勝因を自己分析。
S3クラス表彰の皆さん。
チャレンジクラスでは唐津貴宏選手がヒート1のタイムで逃げ切った。

フォト&レポート/友田宏之

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