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2020-09-11
荒天に苛まれた富士24時間、総合優勝はHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3

 

9月4~6日に富士スピードウェイでスーパー耐久シリーズ2020がシーズンインし、初戦から過酷な24時間レースとなった。総合優勝はデビューウィンとなるMercedes-AMG Team HIRIX RacingのHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が収めたほか、ROOKIE RACINGが2クラス制覇を果たした。

 

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第1戦 NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース
開催日:2020年9月4~6日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 

 

 当初の予定では3月に鈴鹿サーキットで幕を開けるはずだったスーパー耐久シリーズだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅にスケジュールが変更されて9月に開幕、しかも初戦が「NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」となった。

 

 観客を入れての大会ということもあり、富士スピードウェイは入場ゲートにおいて、関係者だけでなく観客に対しても検温を行い、場内随所に消毒用のアルコールスプレーを常備。また、アナウンスでは絶えず観客同士によるハイタッチの禁止やマスクの着用、さらに観客席での間隔をあけた着席を呼びかけていた。

 

 入場者数は未発表だったものの、人数制限は行われていた。なお決勝の当日券は販売せず。パドックの関係者以外の入場も禁止された。ピットウォークも行われず、ピットビューイングとして文字どおりピットの様子を垣間見える時間帯が、ごく少数の人数を対象に設けられたのみだった。

 

 一方、グランドスタンド裏のステージイベントも、登壇者はソーシャルディスタンスを保ち、観戦者もやはり普段より間隔をあけていたように見受けられた。

 

ピットビューイングで解放されたコース上には、各チームのレースクイーンが並んだが、仕切りが設置されての撮影となった。

 

フェイスシールド着用でのピットビューイングを実施。感染拡大防止のためにサインや握手会等は行われなかった。

 

 

 開幕戦からいきなり過酷なレースということと、コロナ禍の影響で活動を自粛したチームもあったため、8クラス通じたエントリー台数は45台と、過去2回よりも少なくなっていたのはやむを得まい。

 

 予選は天候に恵まれ、星野敏選手と藤井誠暢選手がアタックを担当したD'station Vantage GT3が、昨年の第5戦以来3戦連続でポールポジションを獲得した。

 

 今回は話題のニューマシンが予選で絶好調、ST-ZクラスでSS/YZ BMW、ST-1クラスでROOKIE Racing GR SUPRA、ST-2クラスでROOKIE Racing GR YARISがトップ。また、ST-3クラスは埼玉トヨペットGBクラウンRSが2番手につけ、新勢力がどんな戦いぶりを見せてくれるのかも注目された。

 

 その決勝は土曜日のスタートから1時間半、そして日曜日の朝以降を除けば、絶えず強い雨に見舞われ、3時間経過直後には4時間を超える赤旗中断があったほど。再開後もセーフティカー(SC)が度々導入され、非競技時間がほぼ10時間に達したため、昨年記録された最多周回数の801周を大幅に下回る528周の走破がやっとだった。

 

当日は視界が遮られるほどの荒天に見舞われ、レース開始から約3時間が経過した18時過ぎに赤旗中断。そして再開までに4時間超を要した。

 

 

 ST-Xクラスは、かつてなかったほど壮絶なサバイバル戦となった。ポールポジションから飛び出したD'station Vantage GT3の藤井選手を、MP Racing GT-Rのゲストドライバー松田次生選手が8周目に逆転。しかし、1時間半を経過して突然勢いよく降ってきた雨に素早く対応したD'station Vantage GT3がピットで逆転、星野選手がトップに立つ。

 

 そのまま快調に周回を重ねていたものの、近藤翼選手に代わって間もなくハブトラブルが発生。ホイールの脱落でコース脇にストップしてしまった。そしてその30分後に赤旗中断となる。この直前にトップ浮上は、DAISHIN GT3 GT-Rの藤波清斗選手。予選のクラッシュで一時は出走も危ぶまれたものの、しっかり修復されて本来の速さを取り戻していた。

 

 再開後もトップを快走していたDAISHIN GT3 GT-Rだったが、13時間を経過してすぐピットロード速度超過で60秒ストップのペナルティを課せられ、歯車がうまく噛み合わないようになってくる。そのため、HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3と、ピットのたびにトップを入れ替える状況に。

 

 そんなDAISHIN GT3 GT-Rが3連勝の希望を断たれたのは、18時間を経過して間もなくのこと。他クラス車両との接触で足回りにダメージを負ったのだ。ここから先は、HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3のひとり舞台。もはやライバルの追随を許すことなくトップチェッカーを受けることとなった。

 

「感無量です。自分はチームのたち上げから関わっていたんですが、この結果にはびっくりというか、言葉にならないところで。久々に泣きました」と山脇大輔選手。実は赤旗中断前にピットでの給油中に火災が生じ、あわやリタイアかというシーンもあった。しかし、実際のダメージは自光ゼッケンのハーネスが燃えただけで、修復に多くの時間を要することなくレースに復帰。そこからの巻き返しだっただけに、山脇選手の思いは痛いほど伝わってきた。表彰台の中央に、山脇選手は高木真一選手、THONG Wei Fung Shaun選手、根本悠生選手とともに立ち、改めて感動に浸っていた。

 

ST-Xクラス優勝は#888 Mercedes-AMG Team HIRIX RacingのHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/THONG Wei Fung Shaun/根本悠生組)。

 

ST-Xクラスの表彰式。左から2位の#31 apr、1位の#888 Mercedes-AMG Team HIRIX Racing、3位の#81 GTNET MOTOR SPORTS。

 

 

 ST-Zクラスはスタートからの第1スティントこそ、SS/YZ BMWのJ.P.デ・オリベイラ選手が逃げていたが、最初のピットでENDLESS AMG GT3が逆転を果たすと、チームメイトの山内英輝選手、高橋翼選手、山田真之亮選手、富田竜一郎選手とのリレーも完璧に、そのまま最後までトップを快走。

 

「今回は天候がいろいろ変化した中、運も味方につけられましたし、チームも戦略を決められたので、優勝できて本当に良かったです」と内田優大選手。

 

ST-Zクラス優勝は#3 ENDLESS SPORTSのENDLESS AMG GT4(内田優大/山内英輝/高橋翼/山田真之亮/富田竜一郎組)。

 

ST-Zクラスの表彰式。左から2位の#20 SS/YZ RACING with Studie、1位の#3 ENDLESS SPORTS、3位の#47 D'station Racing。

 

 

 ST-TCRクラスは、WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSと、F-Link HOME CIVIC TCRの一騎討ち。WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSが一歩リードでレースを進めるも、ラスト3時間の降雨に素早く対応し、千代勝正選手がウェットタイヤに交換、雨はすぐにやんでタイヤ再交換を強いられたことで、植松忠雄選手の逆転を許すことに。

 

 だが、無交換だった植松選手のタイヤもやがて悲鳴を上げるようになり、千代選手は再逆転に成功。さらにF-Link Home CIVIC TCRは井出有治選手への交代でタイヤを4本変えたのに対し、WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSは千代選手のまま、フロント2本だけを交換してロスを最小限としたことが最大の勝因となった。

 

「2年目にしてようやく優勝できました。これを機にもっともっと強くなりたいと思います」とキズナ選手。千代選手と安田裕信選手、大草りき選手、山野直也選手、そして吉田寿博選手とともに表彰台の中央へ。

 

ST-TCRクラス優勝は#22 WAIMARAMA KIZUNA RACINGのWAIMARAMA KIZUNA Audi RS 3 LMS(キズナ/千代勝正/安田裕信/大草りき/山野直也/吉田寿博組)。

 

ST-TCRクラスの表彰式。左から2位の#290 Floral Racing with UEMATSU、1位の#22 WAIMARAMA KIZUNA RACING、3位の#65 Audi Team Mars。

 

 

 ST-1クラスは3台すべて異なる車両、しかも初レースという戦いになり、スーパー耐久での経験豊富なADVICS muta Racing RC F TWSがレースの大半を支配したが、ラスト1時間でROOKIE Racing GR SUPRAが急接近。

 

 タイヤ無交換で逃げ切ろうとした阪口良平選手だったが、フレッシュタイヤで追いかけてくる大嶋和也選手を抑え切ることはできず。残り30分を切って逆転を果たした、蒲生尚弥選手と豊田大輔選手、小倉康宏選手、河野駿佑選手、そして大嶋選手がROOKIE Racing GR SUPRAをデビューウィンへと導くこととなった。

 

「前半トップにかなり奥手を取っていて、なかなか取り返せなかったんですが、最後フルプッシュで行ったら、まさか届くとは! 本当に嬉しいです」と大嶋選手。

 

ST-1クラス優勝は#28 ROOKIE RACINGのROOKIE Racing GR SUPRA(蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑/矢吹久/大嶋和也組)。

 

ST-1クラスの表彰式。左から2位の#38 TRACY SPORTS、1位の#28 ROOKIE RACING、3位の#12 FIELD MANAGEMENT RACING。

 

 

 ST-2クラスでもROOKIE Racing GR YARISによるデビューウィンが達成された。レース前半はスーパー耐久の古豪チーム、DAMD MOTUL ED WRX STI、新菱オート☆NeoGlobe☆DXLエボXに囲まれていた。だが、DAMD MOTUL ED WRX STIはターボの不調で、まず優勝戦線から脱落。

 

 ノートラブルで必死に食らいついていった新菱オート☆NeoGlobe☆DXLエボXも、雨の中では振り切られてしまう。チェッカーをMORIZO選手が受けて、2位に6周差の圧勝。

 

「我々ROOKIE RACINGはスープラとヤリスの2台体制で初レースでしたが、両方ともポール・トゥ・ウィンで、夢のような結果になりました」と語るMORIZO選手を表彰台の中央に導いて、井口卓人選手や佐々木雅弘選手、勝田範彦選手、石浦宏明選手は非常に満足そうだった。

 

ST-2クラス優勝は#32 ROOKIE RACINGのROOKIE Racing GR YARIS(井口卓人/佐々木雅弘/MORIZO/勝田範彦/石浦宏明組)。

 

ST-2クラスの表彰式。左から2位の#7 シンリョウレーシングチーム、1位の#32 ROOKIE RACING、3位の#59 TOWAINTEC Racing。

 

東京オートサロン2020で体制発表があったROOKIE RACINGはST-1クラスとST-2クラスに参戦し、見事2クラス制覇。ST-2クラスのCドライバーでエントリーしたMORIZO選手も笑顔でファンの声援に応えた。

 

 

 ST-3クラスは岡部自動車RECAROフェアレディーZの独壇場……だったはずが、残り1時間を切って駆動系にトラブルが発生。修復の間にトップに立ったのが、埼玉トヨペットGBクラウンRSだった。

 

「まさかこんなにうまくいくとはびっくりです。第1スティント終わりの時にエンジンがかからないトラブルがあったんですが、リセットしたら戻って。逆に言えばそれ以外トラブルらしいトラブルはなかったので。予想を反対側で裏切ってくれて良かったです」と服部尚貴選手。

 

吉田広樹選手、平沼貴之選手とともに優勝を飾った、川合孝汰選手はGT300、GR 86/BRZレースに続いて三度目のデビューウィンを達成した。

 

ST-3クラス優勝は#52 埼玉トヨペット Green Braveの埼玉トヨペットGBクラウンRS(服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰/平沼貴之組)。

 

ST-3クラスの表彰式。左から2位の#39 TRACY SPORTS、1位の#52 埼玉トヨペット Green Brave、3位の#15 OKABEJIDOSHA motorsport。

 

 

 ST-4クラスでは予選トップから快調にレースを進めていた、GR Garage水戸インターGR86だったが、ちょうど折り返しとなるタイミングで接触があり、義務づけられた10分間のメンテナンスタイムをここで行うことに。ライバルはSCラン中に行っており、ロスを最小限にしていたから大きな痛手になるかと思われた。

 

 しかし、ラスト3時間の降雨に対して、トップを行くENDLESS 86の小河諒選手はタイヤを交換したのに対し、久保凛太郎選手はあえてステイの判断。雨はすぐやんだことから久保選手は追撃態勢に討って出て、残り1時間となったところで逆転に成功。

 

「今年はチャンピオンを目標としているので、最高の開幕戦になりました。一時はどうなるかと思ったんですけどね」と久保選手。星川慎弥選手と坪井翔選手、松井宏太選手と喜びを分かち合っていた。

 

ST-4クラス優勝は#310 C.S.I RacingのGRGarage水戸インターGR86(久保凛太郎/細川慎弥/坪井翔/松井宏太組)。

 

ST-4クラスの表彰式。左から2位の#13 ENDLESS SPORTS、1位の#310 C.S.I Racing、3位の#884 林テレンプSHADE RACING。

 

 

 長く続いた降雨によって、FRのロードスター勢が勝負圏を失うこととなったST-5クラスは、終盤になってJ'S RACING☆FITと、DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dによる激しいバトルが勃発。

 

 ピットストップごと一進一退の展開が続いたものの、ディーゼルエンジン搭載による高燃費で、ピット回数を減らせたDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dが辛くも逃げ切り成功。その差16秒は今大会の最僅差だった。

 

「ウェットコンディションではすごく速くなっているので、雨の中で走る時間が長かったから、そういう強みはありましたけど、最後の最後までどうなるか分からなかったので、この優勝はすごく嬉しいです」と関豊選手。その関選手と井尻薫選手以外の、吉岡一成選手と上松淳一選手、加藤芳皓選手にとっては初優勝とあって、喜びを倍増させていたに違いない。

 

ST-5クラス優勝は#37 TEAM NOPROのDXLワコーズNOPROデミオSKY-D(井尻薫/吉岡一成/関豊/上松淳一/加藤芳晧組)。

 

ST-5クラスの表彰式。左から2位の#69 J'S RACING、1位の#37 TEAM NOPRO、3位の#102 H.M.RACERS。

 

 

フォト/吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部