JAF中国ジムカーナ選手権は天王山の一戦が白熱!内田敦選手がロードスター対決を制す

レポート ジムカーナ

2020年9月11日

夏の訪れとともにシリーズが再開したJAF中国ジムカーナ選手権は、後半戦を担うTAMADA決戦の第1ラウンドが8月30日に開催。チャンピオン獲得の権利を賭けたホットバトルが展開された。

2020年JAF中国ジムカーナ選手権第2戦
2020年オールスター選抜第2戦
2020年JMRC中国ジムカーナチャンピオンシリーズ第2戦
2020年JMRC中国ジムカーナフレッシュマンシリーズ第2戦
2020年Design studio Quattroカップジムカーナwithフォーチュン

開催日:2020年8月30日>
開催場所:スポーツランドTAMADA(広島県広島市)>
主催:T4、SLT CLUB

 3月15日に岡山県のなださきレイクサイドパークで開幕した今年のJAF中国ジムカーナ選手権は、4月に予定されていた第2戦、第3戦が延期となり、5月から6月にかけて予定されていた3戦はすべて中止となってしまう、という新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けてしまう形となった。

 しかしシリーズは8月9日に延期された第3戦から再スタート。今回、第2戦が成立したことで3戦を消化する形となり、選手権の成立は確定した。これで残すは9月27日の第7戦のみ。再開後2カ月でタイトルレースが決着することとなった。その舞台は今回と同じく、広島のスポーツランドTAMADA。今年はTAMADAを制したドライバーがタイトルを手繰り寄せる可能性が高いと言えそうだ。

 TAMADAで開催されるジムカーナと言えば、程よく速度の乗るコースジムカーナをクリアした後に、一転してタイトなパイロンセクションを最後にこなしてゴール、というのが定番の設定だ。しかし今回は、コース作成者の小田雅史氏が、「敢えてサイドターンを使わない“ノーサイド”コースにこだわりました」というように、最後まで“回す”パイロンはなし。

 ただしその代わりに設定されたのが、最後のパイロンスラローム。内周を大きく右回りした後に、コースを斜めに横切る形で、絶妙に配置された5本のパイロンの間を駆け抜けるという設定だ。ある参加者によれば、「ここに来るまでにミスがなく、そこそこの走りができていれば、敢えてギリギリを狙わなくても抜けられるが、ミスがあって一発逆転を狙わなければならないような時は、イチかバチかで寄せに賭けるスラロームになる」。やはり今回も最後のパイロンがひとつの勝負どころとなったようだ。

 今年の中国地区戦で目立つのは若手の台頭だ。BR2クラスは、その象徴とも言え、今年、急速に速さを身に着けたS2000を駆る中田匠選手が、これまで2連勝している。今回も第1ヒートはペナルティを喫するも好タイムをマークし、好調を維持しているようだ。

 この第1ヒートで1分17秒376という断トツのベストタイムを叩き出したのが中本信一選手。NSXからエキシージに乗り換えた3年目のシーズンだが、「難しいクルマ。まだ攻め切れるクルマになっていない」と試行錯誤中だと言う。「今回も大会直前になってバネを変えて、昨日の練習走行でイジって何とか決まったセット。ただ今までの中では、一番しっくり来るセットでした」

 注目の第2ヒート。さらなるタイムアップを狙った中本選手だったが、約0.1秒のタイムダウン。3連勝を狙ってスタートしたラストゼッケンの中田選手は、中本選手の第2ヒートのタイムは超えるも、第1ヒートのタイムには0.06秒届かず。中本選手が今季初優勝を飾った。

「走ってみるとドーンと踏める所もなく、しっかり罠もあって、見た目ほど簡単なコースじゃなかったですね。最後のスラロームも、パワステがついてないエキシージでは、どうしても余裕を持ってしまうので、遅いんですよ。だからエキシージの良さが活かせるコースだったとは思いません。(チームメイトでもある)中田選手が、見違えるほど速くなったので、今日は勝ったけど、実際は0.5秒くらいは負けた気がする(笑)。でも、僕もこのエキシージというカッコいいクルマを速く走らせたいので、これからも詰めていきたいですね」と、先輩としての意地を語ってくれた。

 昨年、21歳という若さでこのBR2クラスを制した吉崎太郎選手も注目の一人だ。今年はSA2クラスに移籍し、ハイグリップのSタイヤに履き替え、新たな挑戦を始めたが、今回は2ヒートともベストタイムを叩き出し、2WD総合ベストも奪って前回から2連勝を果たした。2年連続チャンピオンが完全に射程距離に入ってきた。

 一方、参加13台と今回最大の激戦区となったPN2+クラスは接戦となった。86/BRZ、ロードスターRF、ZC33Sスイフトなどが参戦可能のクラスだが、マツダのお膝元ということもあってか、ロードスターRF勢が毎回、トップを争っている。今年も、松村正吾選手が2連勝し、内田敦選手が2番手で続くという、チームメイト二人によるロードスターRFの1-2フォーメーションが早くも出来上がっている。

 今回もこの二人が抜け出し、第1ヒートは松村選手が1分17秒537でベスト。内田選手が17秒854で続いた。第2ヒートに入っても、二人がマークした17秒台にタイムを乗せるドライバーは現れず、勝負は最後の二人の戦いに。しかし先に走った松村選手は痛恨の脱輪でタイム更新は果たせない。対する最終走者の内田選手は、自らのタイムを1秒近くも縮める16秒942をマーク。逆転で待望の今季初勝利を飾った。

「気温も高かったので、2本目は状況的にはタイムアップできないんじゃないかと思いましたが、1本目はインを外して距離を長く走ったという反省があったので、2本目はイン外した所を車速落とさずに走れればタイムアップできるのでは、と思って頑張りました」と内田選手。

「今回は高速コースだったので、いかに高い速度で曲げていくかという勝負でしたね。ちょっと怖かったけど(笑)、車速はキープできたと思います。最後のスラロームは入口をしっかりライン取れれば大丈夫だと思って走りました。今日みたいなスラロームがメインの設定は最近では珍しいけど、僕はありだと思うし、楽しく走れましたよ」と、スリリングなバトルを振り返っていた。

スポーツランドTAMADAの感染防止対策も万全が図られ、参加者をはじめとするすべての入場者はコースの入口で検温を受けることが義務づけられた。
走行時以外はマスクの着用が必須とされ、慣熟歩行でも徹底された。
パドックも一台置きに配置され、三密を避ける工夫がなされた。
今回は元全日本ジムカーナのトップスラローマーである川脇一晃氏がMCに初挑戦。選手の目線に立った実況解説が好評を博した。
スポーツランドTAMADAは昨年の冬にコースが拡張され、よりダイナミックなコース設定が可能になった。コース幅の広いスペースで多彩なパイロンジムカーナの設定もできる。
当日のコース図。直線のほとんどない、コーナリングの連続する“ノーサイドコース”が設定された。
BRKクラスは今回も坂井一弥選手が快勝し、今季3連勝と無敵をキープ。
BRKクラス表彰の皆さん。
BR2クラスは中本信一選手が今季初勝利を獲得。
BR2クラス表彰の皆さん。
接戦となったBR4クラスは丸岡茂選手が0.17秒の僅差で優勝。
BR4クラス表彰の皆さん。
PN1クラスは全日本でも活躍する高屋隆一選手がヒート1のタイムで逃げ切った。
PN1クラス表彰の皆さん。
PN2+クラス表彰の皆さん。
SA2クラスではただ一人、1分16秒台をマークした中国地区期待の若手、吉崎太郎選手が前回から2連勝。
SA2クラス表彰の皆さん。
SA4+クラスは石原秀晃選手がオーバーオールウィンのタイムで快勝した。
SA4+クラス表彰の皆さん。
SCDクラスはヒート2で大きくタイムを詰めた原和正選手が優勝。
SCDクラス表彰の皆さん。
T28クラスはマルティニカラーのGDBを駆った日高洋選手が、ヒート1の4番手から大逆転で優勝。
T28クラス表彰の皆さん。
フレッシュマンシリーズでは小原怜大選手がヒート1のタイムで優勝。
フレッシュマンシリーズ表彰の皆さん。
クローズドクラスでは井上直樹選手が優勝を果たした。
クローズドクラス表彰の皆さん。
ATクラスはVWポロをドライブした木下裕司選手が優勝した。
ATクラス表彰の皆さん。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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