JMRC近畿ジムカーナミドル戦が、快晴の名阪スポーツランドでリ・スタート!

レポート ジムカーナ

2020年9月10日

JMRC近畿ジムカーナミドルシリーズが、8月30日、名阪スポーツランドで再開された。開幕戦以来となる5カ月の長期インターバルを挟んでの戦い。練習もままならない状況下、勝敗のカギを握ったのは、“勝負勘をいかにキープしているか”、だったかもしれない。

2020 年JMRC近畿ジムカーナミドルシリーズ第5戦
PROXES スーパーGスラローム

開催日:2020年8月30日
開催地:名阪スポーツランドCコース
主催: TSCO

 全6戦が予定された、3月8日にスタートを切った2020年度のJMRC近畿ジムカーナミドルシリーズ。開幕戦は何とか開催できたものの、2戦目以降は新型コロナウイルスの感染拡大により、6月に予定されていた第4戦目まで中止が続いた。

 8月30日、名阪スポーツランドで幕を開けた第5戦は、選手達にとって待ちに待った5カ月ぶりのジムカーナ競技の再始動だ。この日を含め残り2戦。獲得ポイントでの争いとなるシリーズ戦もぎりぎり成立させてのリ・スタートで、再開に向けて奔走したであろうオーガーナイザーの姿が目に浮かぶ。

 舞台となった初秋の名阪スポーツランドは、戦いの再開を祝福するような好天に恵まれた。まだまだ予断は許されないコロナ禍にあって、エントリー数は、開幕戦を上回る全55台を記録。特設クラスを含めると、実に69台が参加する大盛況ぶりだ。

 「コロナへの不安はないです。会場は屋外だし、感染対策が徹底されているし。何より、ジムカーナの競技者はみんなマナーがいいから、安心してエントリーできます」とは、今回、参加した、とある選手。この時期、モータースポーツほどコロナを気にせず楽しめる娯楽はないと、安全性に太鼓判だ。

 エントラントもギャラリーも。誰もが安心してジムカーナを楽しめるように、コロナウイルスの感染対策はこの日も厳重に行われた。入場の際は全員を対象に検温が実施され、場内では場所を問わずマスクの着用が義務付けられた。観客席やピットには、ソーシャルディスタンスを促すアナウンスが定期的に流れる。さらに、慣熟歩行の際は、プラカードを持ったオフィシャルがコースに出て選手達の立ち止まりを制し、3密を避けるといった徹底ぶりだ。

 スタート前のピット。久しぶりのタイムトライアルに選手たちは、誰もが、いつも以上に緊張の面持ち。案の上、第1ヒートは、ミスコースしてしまう選手も多かった。長期にわたるインターバル。主催者が、テクニカルなコース設定を特徴とするTSCOだったことも、1本目のタイムが全般的に伸び悩んだ理由の一つかもしれない。まだまだ残暑厳しい中での開催。コンディション的には路面温度が低い1本目が有利と思えたが、各クラスともに勝負どころは完全に第2ヒートとなりそう、という雰囲気が漂い始めた。

 予想は的中。2本目に入り、ほとんどの選手が大幅にタイムを伸ばす。2番手のタイムに1秒以上の差をつけてGT1500クラスを制した川那部学選手は、1本目のタイムを2秒以上も短縮し、4番手から一気にジャンプアップして勝利を掴んだ。

 「テクニカルな今回のコースは、クルマの性能差がつきにくく、自分には嬉しいコース。1本目はサイドブレーキの効きが悪く、ミスする場面も多かったけど、2本目はフリーターンもしっかり決められました」と戦いを振り返る。コロナ禍の中、今回は勝つことよりも、楽しむことを念頭にタイムアタック。2本目も、焦らずリラックスして走れたことも大逆転劇の大きな要因だったようだ。

 GTFWDクラストップの加藤誠選手は、開幕戦に引き続き2度目の勝利。長期にわたるインターバルをものともしない走りでマークした2本目のタイムは、オーバーオールウィンの嬉しい、おまけ付きだ。「今年は、バネを変えてリセッティングした足がドンピシャ。初戦から手応え十分です」と加藤選手。

 「2本目のフリーターンの突っ込みは、明らかにオーバースピードだったけど、それでもクルマを回しきれました。乗れている証です」と、加藤選手は満面の笑み。最終戦を6位以内で終えれば、シリーズチャンプ。今シーズンは、勝利の女神を完全に味方に付けた様子だ。

 チャンピオン戦を主戦場としつつ、ミドル戦のGTRWDクラスに参戦する福永コージ選手は、これまでラインナップがなかった、自車に最適なサイズ(フロント)のタイヤを得て、トップ争いに急浮上。初戦の4位から大きく順位を上げての勝利となる。それでも「あと1秒は縮められたコース。まだまだです」と、勝ってなお気持ちを引き締める。

 転勤のため4月に住所を移転。それまでの東海地区戦からの鞍替えエントリーとなるGT-4WDクラスの山下和実選手は、近畿ミドル戦でいきなりのデビューウインだ。そしてこちらも、一番の勝因はタイヤと語る。「戦闘力が格段に高まった、待望の新作タイヤ。自分の走りや、クルマとのマッチングも、とてもいいです。今年はポイント争いの資格はありませんが、最終戦も大いに暴れますよ」と、クラス連覇に向け自信を覗かせていた。

入場ゲートでは、選手・関係者をはじめとする全入場者に検温が行われた。
受付時もソーシャル・ディスタンスが徹底された。
慣熟歩行では、特に人の密集が起こりやすいフリーターンの場所で、看板による注意喚起が掲示された。
表彰式は行わず、入賞対象者には個別にメダル、賞品等が手渡された。
ATクラスはヒート1はミスコースに沈んだ妖怪J清本選手が逆転で勝利をもぎ取った。
GT1500クラスは、ただ一人、1分40秒台にタイムを載せた川那辺学選手が優勝。
GT1586クラスは菱田真也選手が2ヒートもライバルを寄せ付けないタイムを叩き出して快勝した。
GTFWDクラスでは、加藤誠選手が2番手を2秒も突き離すスーパーベストをマークして優勝。
SW20が1-2フイニッシュのGTRWDクラスはヒート2もしっかりタイムを上げた福永コージ選手が優勝。
参加14台と激戦区となったGT4WDクラスは、シリーズ初エントリーの山下和実選手が両ヒートともベストの走りを見せてデビューウィンを決めた。
今回の大会では地区戦で活躍する上級者を対象とするクラスが3クラス特設された。Bクラスでは藤林伸吉選手が優勝。
特設PNクラスでは中部から参加の土手啓二朗選手が勝利をさらった。
特設S・Lクラスでは近畿のインテグラ・マイスター、前田忍選手が優勝した。
名阪スポーツランドCコースは、観客席から選手の走りを見渡すことができる。
当日のコース図。やはりフリーターンがひとつの勝負所となったようだ。

レポート/勝森勇夫 フォト/谷内寿隆

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