九州の入門シリーズは旧車勢が大活躍。AE86の前田耕造選手が見事な逆転勝利をさらう!

レポート ジムカーナ

2020年9月9日

2020年のJMRC九州ジムカーナジュニアシリーズは、再開後2戦目となる大会が8月23日に開催され、各選手、雨に翻弄される中、旧車勢の活躍が目立つ展開となった。

2020年JMRC九州ジムカーナジュニアシリーズ第5戦
「三重野正治メモリアル」スーパートライアルIN恋の浦2020

開催日: 2020年8月23日
開催場所: スピードパーク恋の浦(福岡県福津市)
主催: RC大分、AMS宮崎

 九州地区の入門ジムカーナシリーズであるJMRC九州ジュニアジムカーナシリーズは3月に開幕を迎えたが、4月開催予定だった第2戦は中止、6月開催予定だった第3戦は11月28日に延期されるなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響を被る形となった。

 それでも7月19日の第4戦からシリーズは再開。今回の第5戦は実質的にはシリーズ第3戦として開催された。10月には第6戦が控えており、延期となった第3戦をシリーズ最終戦とする計5戦のカレンダーが今年は組まれることになる。

 開幕戦と第4戦は熊本のHSR九州で行われたため、スピードパーク恋の浦での開催は今年初だ。主催はラリークラブ大分とアライズモータースポーツ宮崎が担当した。ラリークラブ大分は、全日本ラリー選手権が2輪/4輪に分かれた1990年代後半から2000年代前半にかけて、2輪駆動部門の一戦、「EAST九州」を開催、タフかつチャレンジングなラリーとして全国の2WDラリーストの人気を集めた。

 しかし、ラリークラブ大分の代表としてラリーはもちろんスピード競技も数多く主催し、長年に渡り、九州地区のBライセンスモータースポーツを牽引してきた三重野正治氏が、この6月に急逝された。故人の業績を偲び、今回の大会名には「三重野正治メモリアル」のタイトルが添えられ、参加者には、三重野氏のイラストが描かれたステッカーが特別に配布された。

 競技会は雨に翻弄される一戦となった。まず第1ヒート開始直前に突然の雨。やがて雨は止んで、ほぼドライとなるが、第2ヒートを前に再び雨が降り出した。最初の雨よりはやや降りが少なかった分、路面が乾くのも早く、第2ヒートでタイムを上げる選手も目立ったが、天候の急変により、最後まで路面の読みが難しい一戦となった。

 九州地区は軽自動車のクラスが地方選手権でも盛り上がりを見せているが、ジュニアシリーズに設定されたB-K2クラスは、同じコペンでエントリーする3選手が毎回、接戦を展開している。第1ヒートは渡邉和成選手がベストを奪うが、第2ヒートでは、第1ヒート、3位だった永野幸秀選手が渡邉選手の暫定ベストを0.145秒凌いで今季初優勝。前回優勝の内田克己選手はまさかのミスコースに終わり、3位に沈んだ。

「今日はコースレイアウトに助けられました」と振り返った永野選手は現在、40歳だが、20代の頃に2輪のオフロードレースやバイクジムカーナの経験がある。「でも4輪は別世界。何よりコースを覚えるのが大変です(笑)。ジムカーナはクルマの基本的な動かし方を勉強できるので、しばらくは続けたいですね」。レベルの高い三つ巴の戦いの後半戦の展開が注目されるところだ。

 一方、B-FF1クラスは、“旧車”世代のEP82スターレットに乗る楠木達也選手が、第1ヒートの脱輪を帳消しにする走りを第2ヒートで見せて見事な逆転優勝を飾った。「濡れている所は抑えて、乾いた所は踏み抜くというメリハリの走りが第2ヒートはできました」という楠木選手は大学4年生。「さすがにEP82はパーツがないので、ストリートのままの足は辛い時もありますが、走りで何とかカバーしています」とのこと。大学院に進むつもりなので、スターレットとの付き合いはもう少し続きそう、ということだ。

 またB-FRクラスでも旧車勢が元気な走りを見せて、AE86を駆った前田耕造選手が快勝し、開幕戦に次ぐ2勝目をマークした。前回のHSR九州の一戦では、走りのリズムを壊して自滅してしまったという前田選手。「今日はまた本来の走りのリズムを取り戻せた感じです。第1ヒートは突然の雨に対応できなくてリアが流れてしまいましたが、第2ヒートはうまくコントロールできました」と勝因を振り返った。

「子供の頃、ジムカーナをやっていた父親が乗っていたのが86なので、僕にとっては86はファミリーカーっていうイメージなんですよ。本当は温泉に行こうと思って買ったんですが、恋の浦の練習会でたまたま走ってみたら面白くて、ジムカーナにハマってしまいました。このクルマで行ける所までは行きたい。チャンピオンも狙いたいです」と前田選手。AE86での快進撃はまだまだ続きそうだ。

当日はJAFの「エコてんくん。」とトヨタカローラ福岡の「あいむ」が応援に駆け付け、大会を盛り上げた。
参加者をはじめとする関係者には検温が義務付けられるなど、新型コロナウイルス感染予防対策が徹底された。
大会当日は、三重野氏を偲んで製作されたメモリアルステッカーが参加者に配られた。
スピードパーク恋の浦のジムカーナコースは、多彩なパイロン設定が可能な広場がゴール前の勝負所となる。
こちらは下段のミニサーキット部分。ショートカットを使用してジムカーナならではのコース設定も行われる。
今回のコース図。一度広場に上がり、2本のパイロンを回るターンをクリアした後、一旦、下段に降りて再び広場に戻って最後のパイロンセクションに挑むという設定が採られた。
B-K2クラスは永野幸秀選手がチームメイトの渡邉和成選手との接戦を制して優勝を果たした。
B-K2クラス表彰の皆さん。
B-FF1クラスはEP82スターレットの楠木達也選手がヴィッツ、スイフトのライバル達を抑えて優勝を飾った。
B-FF1クラス表彰の皆さん。
B-FF2クラスはFTOを駆った乾匠一朗選手が快勝した。
B-FF2クラス表彰の皆さん。
B-FRクラス表彰の皆さん。
地区戦ドライバーが大挙参戦したオープンクラスは第2ヒートでスーパーベストを叩き出した米田泰章選手が勝利をさらった。
オープンクラス表彰の皆さん。
クローズドクラスは黒水泰峻選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
クローズドクラス表彰の皆さん。

フォト/西野キヨシ レポート/JAFスポーツ編集部

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