F1イタリアGP、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手が記念すべき初優勝!

レポート レース

2020年9月9日

イタリアのモンツァ・サーキットで開催されたF1第8戦イタリアGPでスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手がキャリア初優勝。チームもホームイベントで初優勝を果たし、ホンダとの協業50戦目という記念レースで母国凱旋を果たした。

FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)第8戦イタリアGP
開催日:2020年9月4~6日
開催地:モンツァ・サーキット(イタリア)

レース終盤には2番手のカルロス・サインツ選手が周回毎に詰め寄る白熱した攻防戦を展開。ピエール・ガスリー選手が逃げ切り、フランス人としても約半世紀ぶりのF1優勝に。

 9月5日の予選で素晴らしい走りを見せたのが、今季5勝を挙げているルイス・ハミルトン選手で、開幕戦のウィナー、バルテリ・ボッタス選手が2番手に着けるなど、メルセデスAMG勢がフロントローを独占した。

 一方、気になるホンダ勢では第5戦の70周年記念GPで自身初優勝を獲得したアストンマーティン・レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が最上位となる5番手に着けたものの、チームメイトのアレクサンダー・アルボン選手は9番手でフィニッシュ。

 さらに、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手が10番手、チームメイトのダニール・クビアト選手が11番手に着ける等、中盤グループに沈んでいた。

 6日の決勝は波乱のレースが展開された。そのきっかけとなったのは、19周目にハースF1チームのケビン・マグヌッセン選手がマシントラブルによりピット入口付近で停止したことだった。

 この直後にピットに入ったのはガスリー選手で、その際にハードタイヤに交換したのだが、この判断がドラマチックの逆転劇を演出することになる。ピット作業を終えたガスリー選手がコースへ復帰した直後にセーフティーカー(SC)が導入。

 SC解除後に各車がピットインを行う中、一足早くピット作業を終えていたガスリー選手はこれで一気に3番手に浮上することになったが、今度はスクーデリア・フェラーリのシャルル・ルクレール選手がクラッシュを喫したことでレースは赤旗中断となった。

 この結果、レースは27周目よりスタンディングスタート方式で再開される事になったのだが、ここで素晴らしいスタートを見せたのが3番手にジャンプアップしていたガスリー選手だったのだ。

 ガスリー選手はBWTレーシングポイントのランス・ストロール選手をかわして2番手に浮上。さらに、首位につけていたハミルトン選手がピットレーンのクローズ中にピットインをしたと判断されたことでストップ&ゴーのペナルティが課せられ、ガスリー選手がトップに浮上することになった。

 こうしてレース終盤でトップに浮上したガスリー選手は、2番手に着けるマクラーレンのカルロス・サインツ選手から激しいプッシュを受けるものの、ガスリー選手は残り26周をミスのない走りでポジションを守り抜き、待望の初優勝を獲得した。

「最高です。言葉にならず、信じられない気分です。首位を走っていたとき、このポジションを失いたくないと思いました。最後の5周は厳しい戦いでしたが、持てる力をすべて出し切り、激しくプッシュしました。自分がF1レースのウィナーと呼ばれるのは、まだ不思議な気分です」と喜びを語るガスリー選手。

 ホンダのF1テクニカルディレクター、田辺豊治氏も以下のように語った。

「スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリー選手が素晴らしい優勝を果たしました。ガスリー選手の非常に安定した力強い走りに加え、チームのレース戦略もきっちりと機能し、我々のパワーユニットも含め、全員が力を合わせて努力した結果だと思います。トロロッソ時代を含めたアルファタウリとの50戦記念という節目のレース、またチームの本拠地イタリアで一緒に優勝を祝えた事を本当に嬉しく感じています」

 なお、サインツ選手が2位に入賞し、ストロール選手が3位で表彰台を獲得している。

 一方、その他のホンダ勢の動向としては、チームメイトのクビアト選手は9位入賞。「タイヤ選択とSCのタイミングを考慮すれば望みうる最高の結果だと思います」と語る。

 予選で5番手に着けていたフェルスタッペン選手は「今日は全てが少しずつ悪い方向に行きました。スタートではホイールスピンを喫してポジションを落とし、赤旗中断後にはリスタートでエンジンに問題を抱えていました」と語るようにパワーユニットのトラブルでリタイアを喫した。

 さらにアルボン選手は「ターン1での接触でフロアの左側にダメージを受けてグリップを得られず、ダウンフォースも失い、苦しみながらの長いレースとなりました」とのことで、15位でレースを終えるなど明暗が別れることとなった。

攻防を制したガスリー選手をスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのスタッフがお出迎え。
ホンダF1マネージングディレクターの山本雅史氏もパルクフェルメのガスリー選手を祝福。

フォト/本田技研工業 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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