シリーズを折り返したJAF九州ダートトライアル選手権。注目のCクラスでは、上原吉就ランサーが早くも3勝目獲得

レポート ラリー

2020年9月9日

去る7月、4カ月ぶりにシリーズ再開となったJAF九州ダートトライアル選手権は、シリーズを折り返す戦いが8月23日、スピードパーク恋の浦で繰り広げられ、激戦区のCクラスは上原吉就選手が今季3勝目を獲得。タイトルレースでも一歩、先行した。

2020年JAF九州ダートトライアル選手権第7戦
2020年JMRCオールスター選抜第7戦
サマートライアル2020

開催日:2020年8月23日
開催場所:スピードパーク恋の浦(福岡県福津市)
主催:MSH

 福岡県福津市のスピードパーク恋の浦を舞台に行われる今年のJAF九州ダートトライアル選手権は2月23日に開幕。3月22日の第2戦までは予定通りのスケジュールで行われたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、第3戦と第5戦は延期、第4戦は中止を余儀なくされた。しかしシリーズは7月5日の第6戦から再開され、今回の第7戦が今季4戦目の大会として開催された。

 残る3戦は、9月、11月そして12月に開催される。10月は延期となった全日本ダートトライアル選手権の開催を控えていることもあって開催はない。実質的な最終戦となる12月6日の一戦は、毎年、九州地区のドライバーの走り収めのイベントとして盛り上がりを見せるJMRC九州フェスティバルの中で開催されるため、例年以上に白熱した最終戦となることは間違いないだろう。

 シリーズを折り返す一戦となった今回の一戦は、夏真っ盛りの時期の開催となったが、第1ヒート開始直後から突然、雨が降り出すという展開に。一旦は止んだ雨が第2ヒートの前に再び降り出し、結果、コースコンディションは回復することなく、競技は進むことになった。

 このため、全8クラスとも第1ヒートのタイムが優勝タイムとなったが、最終のDクラスを制した橋本和信選手は、第1ヒートの0.26秒落ちのタイムで第2ヒートを走り切っており、2度目の雨のタイミング次第では、また違った展開もあり得たかもしれない。

 コースレイアウトは、今回もコース一番奥の緩いヘアピンコーナーを急傾斜の坂を2度上ってクリアする設定(下図参照)。最終ゴール前も、通常と同じく大小の島の間を縫ってゴールする。急な雨で特に非常にスリッピーな路面へと早変わりしたのが、このゴール前のセクションで、各選手、滑るマシンと悪戦苦闘を強いられた。

 リアドライブ車対象のRWDクラスでは、なかなか前に進んでくれないS2000を何とかゴールまで運んだ橋本英樹選手が、86の良本海選手を抑えて優勝を飾った。「ヒート1は思った以上に滑りました。あそこまで滑るウェット路面でS2000を走らせたのは初めてかもしれません。ただ今回、リアタイヤを185から195に変えてみたので、1本目は様子見ということもあって、抑えながら走ったんですよ。それが良かったかもしれません」と橋本選手。

 前回は、ヴィッツGRMNターボから86に乗り換えたばかりの九州地区期待の若手、良本選手の前に不覚を取ったが、今回はリベンジを達成した。橋本選手と言えば、激しい走りを見せるインテグラマイスターとして無敵を誇った一人だが、昨年からS2000にマシンをチェンジした。

「S2000はリアが掻いてくれるので、インテグラの時よりは怖くないです(笑)。今日も他のクラスのインテグラの方とは同じくらいのタイムは出せたので、良くもなく悪くもないって感じですね。九州もこのクラスを盛り上げたいので、RWD車のドライバーさんの参戦をお待ちしています」とライバルを募集中だ。

 2リッター4WDターボ勢が覇を競い合うS2、C、Dの3クラスも激戦が相次いだが、Cクラスでは上原吉就選手が今回も全日本ドライバーの岩下幸広選手を下して、早くもシーズン3勝目を挙げた。「路面が悪い時は岩下選手より自分の方がタイム出ることが多いんです(笑)」と天気を味方につけた形となった上原選手だが、車両を準備していた前日にエンジン関係のトラブルが発覚したため、かなり慎重に走ったという。

「最終コーナーで立ち上がらない感じがあったので影響はあったかもしれませんね。ただ、自分にとっての今日のポイントは奥のコーナーでした。全体的に荒れていて特に右回りで上って入っていく所がどうしてもクルマが跳ねてしくまうので、なるべく飛ばされないように注意しました」

「やっぱり再開したとは言え、休んでいた期間が長かったので、いつもの夏とはちょっと違った路面になっている感じです。そこをどう読め切るか、でしょうね」と上原選手。とは言え、ライバル勢も百戦錬磨の強者が揃うクラスだけに、今後も経験プラスαをしっかり決めた選手が勝利を手にするはず。残る3戦の戦いが大いに注目されるところだ。

ドライバーズブリーフィングは、三密を避けるため、場内放送によって行われた。
できるだけ人と人との接触を避けるため、表彰盾やメダルは対象選手が自ら手に取って表彰台に上がる形が採られた。全国各地の競技会で、こうした試みが行われるようになっている。
天候が大きく勝負を左右したPN1+クラスは、雨が降り出す直前に走った平安龍司選手が今季初優勝。「セッティングを変えてから初めての走行で勝てたので嬉しいですね。今までで一番のセットが出せたと思うので、次も頑張りたいです」。
PN1+クラス表彰の皆さん。
N1クラスでは今季、全日本でも表彰台に食い込んでいる濱口龍一選手が今回も快勝した。
N1クラス表彰の皆さん。
RWDクラスは橋本英樹選手が2本ともしっかりベストを奪い、2戦ぶりの勝利を獲得。
RWDクラス表彰の皆さん。
OPクラスはヒート1で断トツのベストを奪った大庭正章選手が優勝。
S1クラスは今季無敵の中村凌選手が快勝し、開幕4連勝。しかし本人は「第1ヒートは後半ではらんでしまったし、もっと雨の路面に対応できる走りをしないとダメですね」と自己採点は厳しかった。
S1クラス表彰の皆さん。
トップ4台が1秒の中にひしめく接戦となったS2クラスは井上博保選手が今季3勝目をマーク。
S2クラス表彰の皆さん。
Cクラス表彰の皆さん。
大会のトリを務めたDクラスは、ランエボマイスター橋本和信選手が、第2ヒートも第1ヒートと同等のタイムを叩き出してオーバーオールウィンを達成した。
Dクラス表彰の皆さん。
恋の浦をゴール付近から臨む。奥に上っていく林道風の道を2回往復するのが定番のコース設定だ。
当日のコース図。ゴール手前のセクションが突然の雨でスリッピーとなり、慎重なマシンコントロールが要求される難所となった。

フォト/内藤正美 レポート/JAFスポーツ編集部

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