20年目を迎えたTGRラリチャレの2020シーズンが本州でも本格始動!

レポート ラリー

2020年9月4日

8月上旬に今年のシリーズの幕を開けたTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジの2戦めが、8月22~23日に栃木県の那須塩原市で開催され、11月まで続く短期決戦が本格的に始まった。

TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 那須
開催日: 2020年8月22~23日
開催場所: 栃木
主催: T-PROCREWS

 今年のTGRラリーチャレンジは、3月、高知県で開幕の予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて7月までに予定されていたすべてのイベントが中止・キャンセルを余儀なくされた。

 今年のシリーズは8月2日にJAF北海道ラリー選手権とダブルタイトルで行われたカップ戦の石狩ラウンドで、万全の感染防止対策を施した上でスタートし、今回の那須ラウンドは単独戦としては今季1戦目、シリーズとしては2戦目の開催を迎える形になった。現時点では9月26~27日の須坂 峰の原ラウンドを皮切りに11月末まで、延期されたラウンドを含む6戦のカレンダーが決定しており、この約2カ月の短期決戦で一気にシリーズの趨勢が決まる見通しとなっている。

 今回の那須ラウンドは栃木県那須塩原市にある、つくるまサーキット那須、ドライビングパレット那須という同一敷地内にあるクローズドコースでラリーの行程を消化するコンパクトなラリーとして開催された。

 競技は「DORAPARE」(舗装0.50km)、「TSUKURUMA CIRCUIT」(舗装0.91km)、「MARUWA」(グラベル0.50km)の3本のステージをふたつのセクションで1回ずつ走る6SS、計3.82kmで行われた。

 参加10台と今回最多のエントリーを集めたのはNCP131ヴィッツ/NCP91ヴィッツを対象とした入門クラスであるC-2クラス。3本のSSを走行したセクション1をトップで上がったのはベストこそなかったものの、2番手、3番手、2番手とコンスタントに上位タイムをマークした栗原拓也/魚井千尋組。グラベルのSS3でベストを獲った遠藤竜太/村里尚太郎組が0.4秒差で2番手につけた。

 しかしセクション2に入ると、セクション1の舗装SSで連続ベストを奪った飯野光則/清島康伸組が再び舗装のSS4、SS5と連続ベストを奪い、遠藤竜太組を抜いて栗原拓也組の1.3秒後方まで迫った。飯野光則組は最終のSS6でも渾身の走りでベストタイムを奪取し、セクション2を完全制圧するが、栗原拓也組も同秒ベストで応酬。マージンを崩さずに守り切って優勝を果たした。

 TGRラリーチャレンジ挑戦3年目で初優勝を達成した栗原選手は、「トップを走っていたことは知らなくて、ゴールした時も“多分、3番手くらいだろう”と思っていたので、(自分が優勝と聞いて)驚きました。平均的にいいタイムが出せたことが勝因だと思いますが、グラベルコースをこれまで何度かフリー走行で走った経験があったことも大きかったと思います」とひとこと。

「今年はシリーズチャンピオンを狙ってみたい」という栗原選手だが、それが達成された暁には、中上級者対象のE-1クラスに上がり、そのクラスの第一人者である父親の栗原久男選手と直接対決するのが目標だ。

 その久男選手は、今回も大差をつけて堂々の優勝。「SSごとに父親のタイムを目標としている」という拓也選手には2.9秒の差をつけた。TGRラリーチャレンジ・ヴィッツマイスターの座を賭けた親子対決の行方も、今後は大いに注目されるところだ。

今回の大会でも様々な感染防止対策が講じられ、参加受付時など人の接触が想定される場合にはソーシャルディスタンスが図られた。
オフィシャルもマスク&フェイスシールド着用という万全の対策を講じて競技の運営に当たった。
ドライビングパレット那須では0.5kmの「DORAPARE」SSが設定された。
つくるまサーキットでは、舗装、グラベルのふたつのSSが設定された。
E-2クラスは舗装SSをすべて制した岩田晃知/増田好洋組が優勝した。
E-2クラス優勝の岩田選手。「ここは全くの初走行でしたが、ターマックのSSに合わせてタイヤ、サスペンションを選択して、そこでいいタイムが出せたのが勝利につながったと思います。今回は勝てましたが、また次戦からも新たな気持ちで挑んで、シリーズチャンピオンを狙いたいと思います」。
E-4クラスはAki HATANO/渡辺千尋組が全SSベストの速さを見せて快勝した。
E-4クラス優勝のAki HATANO/渡辺千尋組。
C-3クラスはグラベルSSで巻き返した大村健太郎/北林大組が0.5秒の僅差で逆転優勝を飾った。
C-3クラス優勝の大村選手は、「ドライバーもコ・ドライバーも今回がラリー初参戦でしたが、チームの皆さんにも色々手伝って頂いたお陰もあって、優勝できました」とチームスタッフに感謝していた。「ドラパレ那須でのジムカーナ経験が活かせたことと、最初はダートタイヤの選択が失敗かと思ったのですが、昨日の雨で路面が掘れてタイヤグリップが稼げたことがラッキーだったかなと思います」。
E-1クラスはグラベルSSでライバルを突き離した栗原久男/藤田快斗組が優勝。栗原選手はC-2クラスで優勝した息子の拓也選手と親子でダブルウィンを達成。
E-3クラスはJAF東日本ラリー選手権でも活躍中の細谷裕一/蔭山恵組が、86勢を抑えて総合ベストタイムを叩き出す走りで優勝を飾った。
C-2クラスはコンスタントに好タイムを並べた栗原拓也/魚井千尋組が優勝。
C-2クラス優勝の栗原拓也選手は父親の久男選手がチャンピオンを獲得したNCP91ヴィッツを譲り受けて参戦。待望の初優勝を獲得した。
AQUAのワンメイククラスであるC-1クラスは簑島琴美/大貫明日香組が優勝した。
C-1クラスは女性クルーが1-2フィニッシュを飾った。

フォト/滝井宏之 レポート/JAFスポーツ編集部

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