JAFがデジタルモータースポーツの統轄を表明。スピード競技部会が再び二つの部会に

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2020年9月2日

8月28日にJAFは「国内競技規則の一部改正について」を公示。2020年9月1日施行で国内競技規則を一部改正してデジタルモータースポーツの統轄を表明。2021年1月1日の施行で「モータースポーツ専門部会規定」を一部改正し、新たな専門部会を設置した。

 ついにJAFがデジタルモータースポーツの統轄を表明した。8月28日の公示では国内競技規則を一部改正し、「日本国内の統轄権」に、9月1日施行で大きな変更を加えた。

 国内競技規則の「日本国内の統括権」については、従来は「日本自動車連盟はFIAにより日本国の自動車団体の代表として公認され、かつFIAの定款および国際競技規則を承認し、またはこれによって規制されるものであり、国内の自動車競技を管理統轄する唯一の権威であることを宣言する」としていた。

 これが、8月28日の公示では「国内の自動車競技ならびにあらゆる形式のあらゆる仮想、電子自動車競技を管理統轄する唯一の権威であることを宣言する」の一文を追加。これにより、実際の競技に加えてデジタルモータースポーツ、いわゆる”eモータースポーツ"に関してもJAFが統轄することとなった。

 FIAではデジタルモータースポーツは最も急速に成長している分野として認識されており、2018年からFIAでも認定されている。また、2019年3月にはFIAデジタルモータースポーツワーキンググループが発足し、現在ではFIAデジタルモータースポーツ委員会へと昇格して各種のルール整備が行われている。

 これは新型コロナウイルス感染拡大により、デジタルモータースポーツが積極的に行われるようになった昨今、これらの発展に伴い、国内でもスポーティングルールの整備がさけばれている。JAFもデジタルモータースポーツ作業部会を発足させて準備にあたってきたが、ついにデジタルモータースポーツを統轄することになったのだ。

 この日本国内の統括権を主題にした国内競技規則の一部改正に合わせて、JAFは2021年1月1日施行で「モータースポーツ専門部会規定」の一部改定も行っており、第2条の専門部会の設置において「デジタルモータースポーツ部会」の追加を8月28日に公示した。

 モータースポーツ専門部会規定では第3条の任務においても改正。デジタルモータースポーツ部会はデジタルモータースポーツに関する下記事項として「1.調査および研究(デジタルライセンスに関するものを含む。)」、「2.デバイスおよびその付帯機器、設備に関する調査、研究」、「3.競技会およびイベントに関する事項」、「4.諸規則の立案および統一解釈」、「5.上記に関する事項」が追加されたこともポイントだ。

 第4条の構成では専門部会の委員の定員として、「デジタルモータースポーツ部会:7名以内」という項目を追加。2021年はデジタルモータースポーツ部会が正式に設置されるだけに、国内におけるスポーティングルール等の設備やJAF公認・承認競技会等の開催が行われていくに違いない。

 一方、8月28日に公示されたモータースポーツ専門部会規定の一部改定では、「スピード競技部会」にも変更が実施された。当該部会ではこれまで、ジムカーナやダートトライアル、サーキットトライアル、ドラッグレース、オートクロス、ツイントライアル、ドリフト、ラリークロス、オートテスト、ヒルクライム等について意見具申を行ってきた。

 それが2021年1月1日より「スピード競技ターマック部会」と「スピード競技ダート部会」と二つに分けられることになった。

 スピード競技ターマック部会とは「専ら舗装路面を走行するスピード競技」で、ジムカーナやサーキットトライアル、ドリフト等がこれにあたる。一方のスピード競技ダート部会は「”専ら”非舗装路面を走行するスピード競技」で、ダートトライアルのほか、ラリークロスがこちらに分類される。

 ちなみに、第4条の構成を確認してみると専門部会の委員の定員は、従来のスピード競技部会が11名以内だったことに対して、新たな専門部会では、スピード競技ターマック部会が9名以内、スピード競技ダート部会が9名以内へとそれぞれ変更される。

 スピード競技の専門部会については、かつては「スピード行事第1部会」が「舗装路面で行うタイムトライアル競技」を扱い、「スピード行事第2部会」が「未舗装路面で行うタイムトライアル競技およびオートクロス等」を扱うという形で二つに分かれていた。

 これは、以前はスピード行事(スピード・イベント)の内、ジムカーナを「スラローム競技第1種」、ダートトライアルを「スラローム競技第2種」と規定していたことに由来するものだが、これらの二つの部会は、1997年からは「スピード行事部会」として一つに統合されたという経緯もある。

 近年ではジムカーナやダートトライアル、サーキットトライアルの他、前述の通り、ドリフトやラリークロス、ヒルクライム等の新しい競技が増えてきている。それにより再びスピード競技の専門部会を分割することによって、各競技に最適な諸規則の立案や統一解釈が行えることになりそうだ。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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