“エビス南マイスター”の座を完全防衛! 小橋正典選手がエビス大会2連勝!!

レポート ドリフト

2020年8月31日

第2戦と第3戦の2連戦は、「ドリフトの聖地」と呼ばれるエビスサーキット南コースで毎夏行われる。今年のエントリー総数は31台だが、うち外国人選手2名が新型コロナウイルスの影響で不出場となり、全29台の出走となった。

2020 D1グランプリシリーズ第2戦&第3戦 エビス大会
開催日:2020年8月22~23日
開催地:エビスサーキット南コース(福島県二本松市)
主催:株式会社サンプロス

国内はもとより、海外でも有名なドリフトの聖地・エビスサーキット。この2連戦はもはやD1グランプリ夏の風物詩となった。

 エビスサーキットといえば、進入ポイントとなる最終コーナーが急勾配で下るレイアウトで、マシンが横を向き豪快にジャンプする。ここをいかに車速を乗せたドリフト状態でクリアするかが得点に影響するため、ラインの見極め、そしてジャンプから着地でアクセルを踏み切る度胸も必要となる。

 また、去年から採用されたゾーンがコンクリートウォールギリギリのため、一歩間違えれば大クラッシュにつながる。車両への負担も大きく、マシントラブルも多発するコースだ。

 開催両日ともに午前中が予選を兼ねる単走バトル、そこからベスト16が午後の追走バトルトーナメントに進出するというスケジュール。今回の審査区間も例年どおりだったが、スタート地点が変更され、加速区間が短くなった。

 他ラウンドと違い、予選から決勝が1DAY開催。翌日も同様となるゆえ、マシントラブルやクラッシュの回復に使える時間が少なく、テクニック以上に車両の完成度が問われるラウンドだったと言えよう。

 なお、第1戦は新型コロナウイルス蔓延対策として無観客での開催となったが、今回は規制緩和を受けて500名を会場に収容。当日の模様はユーチューブでライブ配信された。

 第2戦の予選を兼ねた単走を制したのは、今シーズンからサイルンタイヤのサポートを受けているS15シルビアの田中省己選手。だが追走トーナメントでは1戦目でJZX100の畑中真吾選手と対戦し、後追い時のコントロールミスにより敗退した。

エンジンは2JZ改3.1LにGTX3484RSタービンでおよそ800馬力を発生する田中省己選手のS15シルビア。第2戦の単走で優勝した。

 決勝戦はGRスープラ齋藤太吾選手とS15シルビア小橋正典選手の対戦となった。昨年のエビス連戦(第5戦&第6戦)を連勝した小橋選手に対し、齋藤選手は2017年最終戦以来の決勝戦進出。両者がD1GPで対決するのは初だ。

 1本目は後追いの小橋選手が追い詰めて6ポイントリード、前後入れ替えた2本目では後追いの齋藤選手が後半セクターで追いつけず勝敗が決定した。パワーに定評のある齋藤スープラだが、小橋シルビアはそれを上回るトラクション性能を見せつけたのだった。

 エビスサーキットを拠点とするチームオレンジに所属する小橋選手は、ホームコースだから有利と思われることも多いが、生まれも育ちも(現住所も)青森で、ホームコースは地元で父親が経営するモーターランドSP。エビスサーキットはそれほど走り込んでいるわけではないらしい。

 藤野秀之選手をベスト8で破った横井昌志選手は、準決勝で小橋選手に敗れたが3位入賞。フットワークメーカーであるD-MAXがフルサポートする横井シルビアの足回りは市販品でかためられているのが特徴だ。

小橋正典選手が先行した2本目、齋藤太吾選手は後半で差をつけられてしまい、小橋選手の第2戦の優勝が決まった。
「去年の成績がマグレじゃないと証明できてうれしい」と結果発表後の小橋選手。中央は2位の齋藤選手、右は3位の横井昌志選手。
ベスト8では藤野秀之選手を破り準決勝へコマを進めた横井選手。続く小橋選手との対戦では1本目のミスが祟り3位となった。
第2戦の優勝は小橋選手、2位は齋藤選手、3位は横井選手、4位は日比野哲也選手、5位は松山北斗選手、6位は藤野選手、7位は川畑真人選手、8位は畑中真吾選手、9位は田中選手、10位は末永直登選手。

 第3戦の単走優勝は、第1戦に優勝したGRスープラの川畑真人選手。第3戦のベスト16中15台が2JZエンジンを搭載するなか、3UZ改ツインターボで奮闘。前日の第2戦よりも高い99.40(進入速度114km/h)をマークした。

 ちなみに単走2位の横井選手は98.9点で進入速度は115km/hだった。しかし追走ではおなじGRスープラの齋藤選手と対戦し、ラインを大きくはずして敗退。それでも第3戦終了時のポイントランキングは2番手につけている。

GRスープラでは初めての単走優勝を決めた川畑選手。ハイスピードドリフトで99.40の高得点を叩き出した。

 第3戦の決勝戦は去年の第5戦エビスラウンドとおなじチームオレンジ同士の対戦となった。末永直登選手が勝てば7年ぶりだ。1本目は97対104で末永直登選手が優勢、2本目が105対98で小橋選手が取り返し、その差わずかで延長戦サドンデスに突入。

 お互いタイヤの消耗が限界に近いなか、1本目に先行の末永直登選手がこれまで以上の車速で進入し、耐え切れずコースアウト&クラッシュ。走行不能となり小橋選手の勝利が決定。同門対決、サドンデス、クラッシュと劇的な幕切れとなった。

 第1戦でノーポイントに終わった小橋選手はこの連勝でポイントランキングトップに立った。エビス戦は2018年の第6戦、2019年の第5戦&第6戦、そして今年の2連勝で同コース5勝目となる。そして次戦は10月31日、11月1日のオートポリスだ。

僅差のバトルを繰り広げたチームメイト対決はサドンデスまでもつれ込み、小橋選手に軍配が上がった。
小橋選手は2連勝、そしてエビス南で5勝目を挙げた。併せてシリーズランキングでもトップに立った。左は2位の末永直登選手。
小橋選手のシルビアは対戦した末永直登選手とほぼおなじスペックでタイヤも同銘柄。車両製作のほとんどを自身で手掛ける。
エンジンはSR20DETから2JZに換装し、HKS製の3.4LキットとGCG製GTX3584RSタービンを組み合わせた約1000馬力の小橋シルビア。
第2戦でクラッシュし足回りに大ダメージを負った中村直樹選手は突貫作業で修復。ベスト8で横井選手を破る大活躍で第3戦で3位を獲得。
第3戦の優勝は小橋選手、2位は末永直登選手、3位は中村選手、4位は藤野選手、5位は川畑選手、6位は横井選手、7位は田中選手、8位は畑中選手、9位は日比野選手、10位は高橋選手。

フォト/SKILLD川崎隆介 レポート/SKILLD川崎隆介、JAFスポーツ編集部

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