さまざまなワンメイクレースが凝縮! 富士でレースずくめの2日間!!

レポート レース

2020年8月27日

普段はビッグイベントのサポートレースとして開催されているポルシェやロードスターなどが大会の主役となるレースだ。

梅雨明けの8月1~2日に富士スピードウェイで開催された「ザ・ワンメイクレース祭り2020富士」。今大会で初開催された「フォーミュラリージョナル・ジャパニーズチャンピオンシップ」以外にも6つの決勝レースが行われ、ここではそれらの結果をレポートする。

「ザ・ワンメイクレース祭り2020富士」
Porsche Carrera Cup Japan Round5&6
MINI CHALLENGE JAPAN 2020 Round1&2
ROADSTER CUP 1.5/1.6/1.8/2.0 Round1
86&BRZ/Fuji 86BRZ Challenge Cup Round1

開催日:2020年8月1~2日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ(株)、FISCO-C

 ちょうど梅雨が明けたばかりの8月1~2日に、富士スピードウェイで「ザ・ワンメイクレース祭り2020富士」が開催された。雨を心配せずに済んだレースウィークはシーズン再開後、おそらく初めてではなかったか……。

 スポーツランドSUGO大会からわずか1週間のインターバルで開催された「Porsche Carrera Cup Japan(PCCJ)」は第5戦と第6戦を実施。予選では小河諒選手がベストタイム、セカンドベストを近藤翼選手がマークし、それぞれ第5戦と第6戦のポールポジションを獲得した。「上村(優太)選手を含めて3人で、ほとんど差のない、誤差のような間隔で続いているので、きっと最後まで気が抜けない展開になりそうです」とは小河選手。

 PCCJ第5戦の決勝では、近藤選手がスタートを決めて1コーナーにトップで飛び込むが、コカコーラコーナーでは「小河選手を意識しすぎて、ブレーキングポイントを誤ってしまい、飛び出してしまって……」と語る近藤選手が、小河選手による逆転を許す。

 そのまま逃げたい小河選手だったが「1周目に右フロントだと思うんですが、タイヤのバランスが飛んでしまって、バイブレーションがずっと酷かったんです。ブレーキで攻められないし、右コーナーでは踏ん張れないし……」と、絶えず近藤選手と上村選手を背後に置いた状態で、小河選手が周回を重ねていった。

 それでも、多大なプレッシャーに屈することなく走り抜いた小河選手が第5戦を制覇。ほぼ1年ぶりの優勝となった。第5戦のProAmクラスでは内山清士選手が、そして、Amクラスでは高田匠選手が、それぞれクラス優勝を飾っている。

 PCCJ第6戦では序盤に近藤選手と小河選手がトップを争うも、そこに加わってきたのが上村選手。中盤からは近藤選手自身のプッシュ、そして小河選手と上村選手によるバトルの激化で、ようやく間隔が広がっていった。

 そして14周目のヘアピンで、上村選手が小河選手のインを刺すも接触があり、これが危険行為と判定されて6位に降格。小河選手は石坂瑞基選手にも抜かれてしまう。

 これで難なく逃げ切った近藤選手が今季初優勝し、「スタートから上手く決められて、そこから自分のペースで走れたので、いいレースができたと思います」と嬉しそうに語った。ProAmクラスでは内山選手、Amクラスでは高田選手が、共に2連勝を挙げた。

初ポールポジションの小河諒選手が落ち着いたレース運びで周回を重ね、昨年第8戦以来の優勝を成し遂げた。
第5戦の表彰式。左から2位の近藤翼選手、1位の小河選手、3位の上村優太選手。
ポール・トゥ・フィニッシュで前戦に続く勝利を掴んだProAmクラスの内山清士選手。
第5戦ProAMクラスの表彰式。左から2位のIKARI選手、1位の内山選手、3位の浜崎大選手。
開幕4連勝と勢いに乗るAmクラスの高田匠選手はポールスタートからの勝利を収めた。
第5戦Amクラスの表彰式。左から2位のSky Chen選手、1位の高田選手、3位の神取彦一郎選手。
セカンドベストタイムで決まる第6戦のポールは近藤翼選手。好スタートから逃げ切って今シーズン初優勝。
第6戦の表彰式。左から2位の石坂瑞基選手、1位の近藤選手、3位の小河選手。
第5戦に続いてポール・トゥ・ウィンを飾ったProAmクラスの内山選手。これで3連勝となった。
第6戦ProAmクラスの表彰式。左から2位のIKARI選手、1位の内山選手、3位のGO MAX選手。
Amクラスの高田選手もポール・トゥ・ウィン。負け知らずの5連勝で、シーズン全勝も見えてきた。
第6戦Amクラスの表彰式。左から2位のSky Chen選手、1位の高田選手、3位の神取彦一郎選手。

 エアロパーツ+スリックタイヤ装着のN1車両で競われる「86&BRZ」レースと、チューニングカーによる「Fuji 86BRZ Challenge Cup(CC)」の混走レースは、CCの松井有紀雄選手がポールポジションを獲得し、86&BRZの山内正義選手をCCの古田聡選手が囲むグリッドとなった。

 決勝では松井選手が一人旅。その後方では古田選手と山内選手が激しく競い合う展開に。クラスが別でも互いに引けないところがあったのだろう。その熱さが頂点に達した7周目のヘアピンで両車が接触してしまう。

 これでさらにリードを広げた松井選手は逃げ切ってCC優勝。後半ではペースを抑える余裕を見せたかと思われたが、「抑えたというより、トラブルってワケじゃないんですが、終盤はペースが上がらなくなりまして……。でも、今回のように楽しく、面白く走り続けられたら最高です」とレース後に語ってくれた。

 一方、86&BRZレースは、先の接触が危険行為との判定で、山内選手が5位に降格。繰り上がっての優勝は、渡辺ひろし選手と激しく競い合い、最終ラップに順位を入れ替えていた落合立成選手が獲得。「予選で調子を崩していたので、何とか取り戻せて良かった」と語る。

D1でも活躍している松井有紀夫選手がJP-2Rクラス(セミチューニング車両/プロドライバー)で優勝。
Fuji 86BRZ Challenge Cup JP-2Rクラスの表彰式。左から2位の古田聡選手、1位の松井選手。
昨年チャンピオンを獲得した落合立成選手が、最終ラップで競り勝ち、このレースをモノにした。
86&BRZの表彰式。左から2位の渡辺ひろし選手、1位の落合選手、3位の土山哲史選手。

 20分間+1周で競われる「MINI CHALLENGE JAPAN 2020」第1戦と第2戦は、松本武士選手がポールポジションを獲得。第1戦は、絶妙のスタートを決めた後藤比東至選手の先行を許したものの、松本選手が100Rで早くもトップに浮上。そこからは誰も寄せ付けなかった。

「決勝の前半はスリップストリームが効くから付いて来るかもしれませんが、後半になってタイヤが厳しくなったら、引き離せるんじゃないでしょうか」と語る松本選手の予想どおりの展開となった。

 第2戦は第1戦トップ4のリバースグリッド。最前列に並ぶはずだった勝亦勇雅選手がマシントラブルでピットスタートとなり、2番手スタートで初参戦の三浦愛選手が有利になったかと思われた。

 後藤選手が「生まれて初めてのストール」で順位を落とした一方で、松本選手は容赦なし。1周目のダンロップコーナーで早くも三浦選手をかわしていく。

 その後は「気温が上がって水温が厳しいので、エンジンをセーブしながら走って、周回遅れが出てきたら差が広がるだろうと思っていました」と、これまた松本選手の予想どおりの展開となり、松本選手が連勝となった。

「FFは初めてで、初参戦としては自分の力を出し切れたと思います」と語るのはミニチャレンジジャパン初参戦となった三浦愛選手。初陣は2位に終わった。

 混走のナンバー付き車両で競われるクーパーSクラスは、伊藤聡夫選手が2連勝。特に第2レースはリバースグリッドをも苦にせず、3周目の1コーナーでトップに浮上していた。

第1戦はポールから、第2戦はリバースグリッドから優勝した松本武士選手。開幕2連勝を飾った。
第1戦JCWクラスの表彰式。左から2位の後藤比東至選手、1位の松本選手、3位の三浦愛選手。
第2戦JCWクラスの表彰式。左から2位の三浦選手、1位の松本選手、3位の後藤選手。
こちらも開幕2連勝でCPSクラスを制した伊藤聡夫選手。第2戦はリバースグリッドからの勝利だ。
第1戦CPSクラスの表彰式。左から2位の諏佐憲二選手、1位の伊藤選手、3位の瀧井厚志選手。
第2戦CPSクラスの表彰式。左から2位の瀧井選手、1位の伊藤選手、3位の山本賢選手。

 5クラス混走のナンバーつきロードスターによるロードスターカップは、2.0オープンクラスの山崎善健選手が長岡哲也選手に1秒2の差をつけ、ポールポジションを獲得。

「このクラスには初参戦、初ポールときたからには決勝で狙うのはひとつだけです」との宣言どおりの展開に。途中、長岡選手の接近を許しはしたが、終盤には振り切って山崎選手が初優勝を飾った。

 総合3位は1.8クラス優勝の神谷誠選手。1.6クラスは水野寿通選手が、2.0チャレンジクラスは菊池聡が、そして3台がコンマ4秒差で続いてゴールした1.5チャレンジクラスは、中村進選手が、それぞれクラスを制している。

RSC 2.0オープンクラス優勝はクラス初参戦の山崎善健選手。
RSC 1.8クラス優勝の神谷誠選手。
RSC 1.6クラス優勝の水野寿通選手。
RSC 2.0チャレンジクラス優勝の菊池聡選手。
RSC 1.5チャレンジクラス優勝の中村進選手。

フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ