JAF中四国ラリー選手権が開幕。長江修平ランサーが昨年のリベンジ達成!

レポート ラリー

2020年8月21日

新型コロナウイルス感染拡大のため、開幕延期を余儀なくされていたJAF中四国ラリー選手権が、8月9日、高知県でシリーズ開幕を迎えた。

2020年JAF中四国ラリー選手権第3戦
2020年JMRC中国・四国ラリーシリーズ第3戦
西日本グラベルラリーツアー2020第2戦
TRD RALLY CUP by JBL 2020 Rd3
四国のてっぺんラリー2020 in 嶺北

開催日:2020年8月9日
開催地:高知県
主催:MS.SRS

 今年のJAF中四国ラリー選手権は、当初、4月19日に広島で第1戦が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、中止を決定。5月30日に予定されていた第2戦は10月10日の開催へ延期されることになった。今回の第3戦は当初は8月1日の開催予定だったが、全日本ラリー選手権のカレンダー再編成の状況を受けて1週間後の8月9日に延期が決まっていた。

 感染収束の目途が見えない中での開催とあって、今回のラリーでも徹底した感染予防対策が図られた。選手を含む関係者には接触確認アプリ(COCOA)のダウンロードや、大会2週間前からの検温を記した問診票の提出が求められた。TCでの選手、オフィシャルの接触を最小限とすべく、ホワイトボードによる情報伝達も図られた。

 今回のてっぺんラリーは、吉野川の源流に位置する高知県最北部の嶺北地区を舞台に長年、開催されてきたラリー。昨年までは大川村の自然王国白滝の里にヘッドクォーターを置いてきたが、今年は昨年、サービスパークとなった隣接する、いの町本川地区を拠点とするラリーとなった。

 しかし使用される林道は変わらず、今年も「KANPUU」6.15km、「ASHIDANI」6.42kmの名物ステージが待ち構える。ラリーはサービスを挟んでふたつのセクションで各SSを1本ずつ走る計4本、約25kmで争われたが、注目されたのは「ASHIDANI」ステージ。通常とは異なり、逆走となったほか、サバイバルなグラベルラリーであるてっぺんラリーの中でも、特に“難所”であった区間が今回から見事な舗装路面へと様変わりしたからだ。

 13台がエントリーしたFG-1クラスは、前の週に86で全日本ラリーに参戦したばかりの福永修/斎田美早子組がランサーエボXでエントリー。当然ながら1番ゼッケンを与えられたが、これが逆に砂利掻き役を強いられた形となり、タイムが伸びない。代わって「福永さんのお陰で、きれいな路面で走れました」という2番ゼッケン、同じくエボXの長江修平/中岡和好組が2番手の寺川和紘/美野友紀組を3.6秒突き離してトップに立った。

 長江組は「舗装が得意な寺川さんに詰められると思ってプッシュした」SS2でも、今季、富士スピードウェイのレースで優勝を飾っている寺川選手を4.8秒差で再び下して連続ベストと波に乗る。路面が掃けたSS3は福永組がベストを奪うも、SS4では「舗装がうまく走れた」長江組がダメ押しのベスト。4本中3本を制する圧巻の走りを見せた長江組が快勝した。

 「開幕が遅れた分、クルマを直せる時間が十分取れたので不調だったエンジンも復調して、全体的にも走りやすいクルマになりました。実は今年から運転も変えて、クルマもその方向に合わせてセットアップしたんですが、SS1からタイムが出せたので、“行ける”と確信できました」と長江選手。0.2秒という超僅差で敗れた昨年のリベンジ達成を果たせたことに、ホッとした表情を見せていた。

 一方、5車種に分かれた6台が参加したFG-4クラスは大接戦となった。SS1は九州から遠征の日高重貴/吉田賢吾組のZC32Sスイフトがベストを奪うも、SS2は同じ32スイフトの安藤恭平/原野雅子組が、SS3は松岡竜也/縄田幸裕組の86がそれぞれベストを奪う三つ巴となる。

 最終のSS4を前にしてのオーダーは首位の松岡組を5.1秒差で日高組が追い、0.7秒遅れで安藤組が続くという展開。しかし、エンジンの調子が今一つでSS2でもタイムが伸び悩んだ松岡組は、ここでもペースを上げられず、続いてゴールした安藤組に逆転を許してしまう。そして日高組もステアリングにトラブルを抱えてペースダウン。結果、安藤組が大逆転を果たして優勝をさらった。

 「完走できないラリーが続いていた、このてっぺんラリーで勝てたので本当に嬉しいです」という安藤選手は、「いつもクルマを持たせるのに本当に苦労していたASHIDANI のダート区間が舗装になっていたので、今年は最後まで気持ちが萎えずに走れました」と笑顔でひとこと。「新しく履いたタイヤの特性をSS1で掴めたのも大きかったですね。最後は気合い入れて、壊さない程度に頑張って攻めました」と振り返っていた。

今回はSSのステージに近い本川地区にHQ、サービスが1本化されたため、リエゾンも含むラリー総距離は100kmに満たないコンパクトなラリーとなった。
クルーやサービスメカニック、関係者が一体となった感染防止対策が取られた。
FG-1クラスを制した四国ラリー界期待の一人、長江修平選手(左)とコ・ドライバーの中岡和好選手(右)。
FG-2クラスはラリー北海道へ向けたテストも兼ねて参戦の全日本クルー、山口貴利/山田真記子組が貫禄の勝利。「グラベルで4WDの利を生かしてマージンが作れたので、舗装区間はベタ抑えで走りました」と山口選手。
FG-2クラス優勝の(左から)山口貴利/山田真記子組。
1週間前の全日本ラリーでヤリスをデビューさせた小濱勇希選手が、ヤリスを実戦のグラベルに持ち込んで話題を呼んだFG-3クラスは、同じく全日本ドライバーである松原久/和田善明組が最終SSで小濱/安藤裕一組を逆転して優勝。「最後までリズムには乗れんかったけど、ボディを一新してしっかりしたクルマになって乗りやすくなった分、タイムに繋がったんでしょう」と松原選手。
FG-3クラス優勝の(左から)松原久/和田善明組。
FG-3クラス同様、最終SSまでもつれたFG-4クラスの激戦は、そのSS4でぶっちぎりのベストをマークした安藤恭平/原野雅子組が優勝を飾った。
FG-4クラス優勝の(左から)安藤恭平/原野雅子組。
併催のTRD RALLY CUP 2クラスでは吉原将太/佐野元秀組が、ヌタハララリースクールジュニアチームからラリー初参戦となった小暮ひかる/南出司組を抑えて前戦から連勝を果たした。
TRD RALLY CUP 2クラス優勝の(左から)吉原将太/佐野元秀組。
TRD RALLY CUP 1クラスは地元四国在住の桒村浩之選手と広島の古本舞桜選手のコンビが全SSベストで走り切り、優勝した。
TRD RALLY CUP 2クラス優勝の(左から)桒村浩之/古本舞桜組。

フォト/中島正義 レポート/JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ