2021年ラリー競技開催規定および日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の変更ポイント

ニュース ラリー

2020年8月21日

8月11日に「ラリー競技開催規定」が一部改正され、「2021年日本ラリー選手権規定」も発表。同時に「2021年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定」も一部改正され、来シーズンにかけて注目すべき各規定の変更が、相次いでJAFから発表された。

 JAFは8月11日に「ラリー競技開催規定の一部改定」および「2021年日本ラリー選手権規定の制定」を公示。同時に「2020年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の一部改正」、「2021年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の一部改正」、「2021年JAFカップオールジャパンジムカーナ/ダートトライアル規定の一部改正」を公示するなど、ラリーおよびスピード競技の規定変更を発表した。

 まず「ラリー競技開催規定の一部改定」で注目すべきポイントが、参加車両の条件に、R車両に対して臨時運行許可証、いわゆる“仮ナンバー”の装着車両を加えたことだろう。

 第1種アベレージラリー、第2種アベレージラリー、スペシャルステージラリーともに参加車両の条件として「R車両で臨時運行許可証および番号標を有している場合、当該許可における運行目的は当該車両が参加するラリー競技会への参加でなければならず、かつ、運行期間は当該競技会に有効なものでなければならない」という一文を追加。

 同時に参加確認および参加車両検査においても、必要な場合という注釈付きで「臨時運行許可証(臨時運行許可申請書)」ならびに「自動車カルネおよび登録証書」という項目が追加された。

 これまで国内で開催されたラリー競技会では、2018年のモントレーにおいて、JSR(日本スーパーラリー)で南アフリカの国内ラリー仕様のヤリスが参戦した他、2019年のセントラルラリー愛知・岐阜にも、インターナショナル部門にWRカーのトヨタ・ヤリスWRCおよびR5仕様のシトロエンC3等が参戦したことがある。

 臨時運行許可証は、一般的には、道路運送車両法で決められた車検や登録、封印取り付け等の回送のために、地方公共団体等から赤い斜線が入った番号標と共に交付されるものとして知られている。

 しかし、今回の規定の改定で示している臨時運行許可証については「運行目的は当該車両が参加するラリー競技会への参加でなければならず、かつ、運行期間は当該競技会に有効なものでなければならない」という条件付きであり、オーガナイザーおよびラリー開催エリアの地方公共団体等との密接な連携が必要な、極めてセンシティブな性格を持つ案件なので、取り扱いには細心の注意が必要だ。

 しかし、これまでR車両が国内ラリーに出場するためには日本のナンバー取得が必要だったため、今回の規定変更に伴い、参戦へのハードルが従来より低くなったと言えるだろう。同規定の施行は2021年1月1日からなので、国内ラリーにとって2021年は、大きな転換期になる可能性も高い。

 そして「2021年日本ラリー選手権規定の制定」においても大きな変更が行われた。注目すべきポイントは日本ラリー選手権の区分で、それまで全日本ラリー選手権に設定されていた「ナビゲーター部門」が「コ・ドライバー部門」へと名称が変更されたことだ。

 地方選手権では「ナビゲーター部門」という名称が残されるが、「ラリー競技開催規定に定めるスペシャルステージラリーにおいてはコ・ドライバー」と但し書きがあるだけに、国内ラリーシーンにおいても“コ・ドライバー”という名称が浸透することになりそうだ。

 その他にも、選手権クラスの成立において、全日本選手権は「各クラス3台以上のレッキ受付台数を以て選手権クラスとして成立」としていたが、2021年からは「各クラス5台以上」とレッキ受付台数を変更。クラス成立を左右するだけに注目すべきポイントだ。

 一方、ジムカーナおよびダートトライアルのスピード競技も、2021年に合わせて規定変更が実施される。8月11日に公示された「2021年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の一部改正」で注意したいのは、全日本選手権のクラス区分だろう。

 まず、全日本ジムカーナ選手権の「クラス9(JG9)」は、これまで「オートマチック限定免許で運転できるP・PN・AE車両」となっていたが、今回の規定の改定では「オートマチック限定免許で運転できる4輪駆動のP・PN・AE車両」に変更された。

 さらに新たなクラスとして、「クラス10(JG10)」が設定されており、「オートマチック限定免許で運転できる2輪駆動のP・PN・AE車両」という項目が追加された。

 同様に、全日本ダートトライアル選手権の「クラス10(JD10)」も従来は「オートマチック限定免許で運転できるP・PN・AE車両」とされていたが、今回の規定の改定では「オートマチック限定免許で運転できる4輪駆動のP・PN・AE車両」に変更。

 さらに「オートマチック限定免許で運転できる2輪駆動のP・PN・AE車両」を対象にした「クラス11(JD11)」が新設されることになった。

 これは、4月10日に公示された「2021年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の制定」の修正版とも言えるもの。今回の公示により、高い将来性が見込める”ATクラス”が4輪駆動と2輪駆動に分割されたことで、今後のスピード競技で中心的な存在になるであろうクラスに対する、スピード感のある修正がなされたことになる。

 なお、この”ATクラス”における2輪駆動および4輪駆動のクラス区分に伴い、2021年のJAFカップについてもクラス区分が変更されている。

 8月11日に公示された「2021年JAFカップオールジャパンジムカーナ/ダートトライアル規定の一部改定」では、両カテゴリーともに2輪駆動(FF、FR)のPN車両を対象にした「クラスWomen」を含めて、JAFカップオールジャパンジムカーナが10クラスから11クラス、JAFカップオールジャパンダートトライアルが11クラスから12にクラスへと構成が変更されることになった。

 その他、8月11日に公示された「2020年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の一部改正」では、地方選手権の開催日程をそれまでの「当該年の1月1日~11月最終日曜日」から「当該年の1月1日~12月最終日曜日」まで終了期間が1か月延長された。

 今シーズンは新型コロナウイルス感染症の影響により、スピード競技の地方選手権も競技会の休止や延期が続いていた。それだけに、この期間の延長によって、多くの競技会が復活開催できることが期待されている。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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