WECシーズン再開、スパでトヨタ勢が1-2フィニッシュ!!

レポート レース

2020年8月21日

新型コロナウイルスの影響により、2月22日~23日、アメリカ・オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズを舞台にした第5戦「ローン・スター・ル・マン6時間レース」を最後に、中断を余儀なくされていた2019-2020年のWECがついに再始動した。

2019/2020 FIA世界耐久選手権WEC第6戦 スパ・フランコルシャン6時間レース 開催日:2020年8月13~15日 開催地:スパ・フランコルシャンサーキット(ベルギー)

 8月13日~15日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットを舞台に第6戦「スパ・フランコルシャン6時間レース」が開催され、約6ヶ月ぶりにスポーツカーの最高峰シリーズが復活した。同大会で最も注目を集めたのが、これまでに大会4連覇を果たしているTOYOTA GAZOO Racingで、2020年の大会にも最上位クラスのLMP1クラスに2台のTS050ハイブリッドを投入。

 13日に行われた公式練習1回目では、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組の7号車が3番手に惜敗したほか、フォーミュラE参戦のため、セバスチャン・ブエミ選手が欠場したことから、中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組の2名体制となった8号車も4番手に留まった。

 14日の公式練2回目では8号車が2番手、7号車が3番手タイムをマークした。さらに公式練習3回目では7号車が2番手、8号車が3番手につけるなど、来月のル・マン24時間レースをターゲットにローダウンフォース仕様で参戦した2台のTS050ハイブリッドは順調にタイムアップ。

 そして、同日の夕刻、2度の公式練習の後に行われた予選でもトヨタ勢は好調で、ポールポジションこそサクセスハンディキャップの少ないレベリオン・レーシングの1号車へ譲りはしたものの、ドライバーズポイントでランキング2番手につける8号車が2番手につけたほか、ドライバーズポイントで1番手につける7号車も最大のサクセスハンディキャップを課せられながらも3番手を獲得した。

 スパ・フランコルシャン・サーキットは時として天候が一変することから“スパ・ウェザー”と呼ばれるが、その異名どおり、それまで好天に恵まれていた同コースは天候が一転。15日の決勝は激しい雨に祟られ、セーフティカーの先導でレースがスタートした。

 まさに波乱含みの幕開けとなるなか、2台のトヨタTS050ハイブリッドは序盤から4輪駆動を活かして素晴らしいパフォーマンスを披露した。スタート直後に8号車が首位、7号車が浮上すると、その後も徐々に天候が回復するなか、トヨタ勢の2台が一騎打ちを展開。最初のピットストップでウェットタイヤを選択した8号車に対して、7号車がドライタイヤを選択するなど、同チームながら激しいバトルが展開されていた。

 このタイヤ選択で吉と出たのは7号車で、8号車がドライタイヤへの交換を強いられるなか、7号車がトップへ浮上する。その後は雨脚が強くなったことでセーフティカーが導入されるほか、レース終盤には天候が回復。ドライタイヤでの勝負となるなか、LMP2クラスのアクシデントでセーフティカーが導入されるなど、天候の急変によりハプニングが続出するサバイバルレースとなったが、そのまま7号車がポジションをキープした。

「この結果には満足しています。ル・マンの直前というタイミングで完璧な週末となりました」と小林選手が語るように7号車が今季3勝目、“スパ”での初勝利を獲得し、ランキング首位を堅守した。

 これに続いて「変わりやすい天候に翻弄された難しいレースでした。それだけに2位に入って1-2フィニッシュの一端を担えたことには満足しています。7号車は本当に速く、勝利にふさわしい走りでした」と中嶋選手が語るように8号車も2位入賞。トヨタGAZOOレーシングが今季4度目の1-2フィニッシュを達成するなど、トヨタ勢にとっては最高のシーズン再スタートとなった。

 一方、TOYOTA GAZOO Racingとともに2019-2020年のWECで注目を集めているのが、トヨタの若手ドライバー育成プログラム、TGR WECチャレンジプログラムでWECに参戦する山下健太選手だと言えるだろう。

 山下選手はマーク・パターソン選手、アンデルス・フィヨルドバッハ選手をパートナーにハイクラス・レーシングのオレカ07ギブソンでLMP2に参戦しており、2019年の10月4~6日に冨士スピードウェイで開催された第2戦「富士6時間レース」で山下選手が所属するハイクラス・レーシングの33号車が総合9位、クラス4位で完走していた。

 それだけにシーズン再開後もWECでの活躍が期待されており、第6戦のスパ・フランコルシャン6時間レースでもハイクラス・レーシングの33号車は安定した走りを披露していた。

 14日の予選で総合10番手、LMP2クラスで6番手につけたほか、15日の決勝でも総合8位、LMP2クラスで5位完走。多くのチームが“スパ・ウェザー”に苦しめられるなか、山下選手が加入するハイクラス・レーシングの33号車は総合順位でベストリザルトを獲得するなど、今後に繋がる1戦となった。

決勝当日の朝はスパ・ウェザーに見舞われたたが、次第に天気は回復し、路面コンディションが変化する難しいレースとなった。
9月に行われるル・マン24時間に向け、スパの勝利で自信をつけたトヨタTS050ハイブリッドの7号車。
マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組は待望のスパ初優勝、そして今季3勝目を挙げた。
セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組の8号車は惜しくも2位。トヨタの1-2フィニッシュに貢献した。

フォト/TOYOTA GAZOO Racing レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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