全日本/ジュニアカート選手権・東地域で活躍する女性ドライバーたち

インタビュー カート

2020年7月31日

レーシングカートは老若男女問わず楽しめるモータースポーツだ。近年は特に女性カーターの活躍が目覚ましく、全日本選手権の表彰台に登壇する選手も増えてくるなど各レースで頭角を現している。そこで2020シーズン、東地域に参戦する女性ドライバーたちに注目してみよう。

 2019年の全日本カート選手権では、FS-125部門で奥田もも選手が、FP-3部門で森岡泉美選手が優勝を飾り、女性ドライバーの活躍が大きなトピックスとなった。その波は今シーズンも継続中で、西地域FP-3部門の第2戦では森岡選手がタイムトライアル1位を獲り、坂上真海選手が3位表彰台をゲットしている。

 そして、7月26日に行われた東地域の2020シリーズ開幕戦もてぎ大会でも、女性ドライバーたちが元気なレースを披露して、レースを大いに盛り上げてくれた。そこで今回は、東地域に参戦中の女性ドライバー3名を、開幕戦の戦いぶりとともに紹介しよう。

■斎藤愛未選手(さいとうあいみ/Zi-ViVre RT) 全日本カート選手権FS-125部門参戦
 タイムトライアル14位/予選11位/決勝20位

 幼い頃にカートを始め、カート歴は今年で21年。ジュニア選手権時代の同期には松下信治選手、大津弘樹選手、高星明誠選手といったビッグネームが大勢いる。近年は鈴鹿選手権シニアMAXクラスなど全国の腕利きが集まるローカルレースで上位集団の常連として活躍を演じ、2018年の地方選手権FS-125部門もてぎ大会では優勝を飾った。今シーズンは自動車レースにも活動の場を広げ、KYOJO CUPにも参戦している。

 全日本ではこれまでスポット参戦に留まっていたが、今シーズンはいよいよフル参戦。その初戦は安定しないコンディションに翻弄されたこともあり思うような結果を残せなかったが、今後の活躍に期待が持てる存在といえよう。

「全日本はタイヤのグリップが高くて、上手に乗らないといけないし、タイヤをもたせる必要もあって、ウデが要るレースだと思います。今年の目標はチャンピオン。それ一本で狙っています。奥田選手はMAXでずっと一緒に戦ってきた選手なので、彼女が全日本で(先に)優勝したことは悔しかった反面、私も全日本で頑張ろうって励みになりました。今回のレースウィークの前には(KYOJO CUPで使用する)VITAしか乗ってなくて、カートとの乗り分けに少し苦労しました。でも、雨の日のVITAでグリップ感のないレースを経験して、カートでも前よりタイヤのグリップをうまく使えるようになったと思います」

■富下李央菜選手(とみしたりおな/14歳/カローラ新茨城レオンキッズレーシング) 全日本カート選手権FP-3部門参戦
 タイムトライアル4位/予選3位/決勝2位

 2019年にFP-Jr部門でジュニア選手権にデビューを飾ると、第4戦最上川大会で前方グループのアクシデントをうまく回避して2位表彰台に立ち、注目の存在となった。

 そして全日本FP-3のデビュー戦となった今回のもてぎ大会では、決勝前日のインタビューでの控えめな言葉とは裏腹に、大活躍を演じた。まず予選ヒートで4番グリッドからスタートダッシュを決めて、一時トップを快走。決勝では3番グリッドからひとつ順位を下げたが、すぐにそれをリカバーすると、さらに1台をパス。雨に濡れたデリケートな路面で集中力を切らすことなく単独走行を続け、見事に2位表彰台登壇を果たした。それでも「トップに追い付けなくて悔しい」と貪欲なコメントには、大きな将来性が感じられた。

「去年、最上川で表彰台に上がれたのは偶然だったと思います。もっと頑張らないといけない、と思いました。FP-3部門は去年とメンバーが違うし、速い人が多いので、もっと頑張らないとダメですね。今日(決勝前日)は、まあまあうまく乗れていたけれど、乗り方でもうちょっと良くなると思います。周回数はFP-Jrより長いけれど、体力面は問題ありません。とにかく上を目指して、3位以内には絶対入りたいです。今は抜かされない走り方が全然できていないので、それが今後の課題です。将来は、ドライバーとしてもっと活躍したいです」

■松井沙麗選手(まついさら/9歳/BEMAX RACING) ジュニアカート選手権FP-Jr Cadets部門参戦
 タイムトライアル3位/予選6位/決勝4位

 鮮やかなピンクのレーシングスーツが目を引く松井選手は、2019年にFP-Jr Cadets部門でジュニア選手権にデビューし、最上位4位でシリーズ9位となった選手だ。今シーズンは全日本OK部門開幕戦の前哨戦として注目を浴びたAPGチャレンジ第4戦でカデットクラス優勝を遂げ、勢いに乗って2020東地域FP-Jr Cadets2年目のシーズンインを迎えた。

 そのもてぎ大会。予選ではアクシデントにより最後尾のゴールにはなったが、序盤にはグリッドより順位を上げ2番手を快走してみせた。また、決勝では6番グリッドから3周で3番手まで浮上し、中盤に先頭集団から後れを取るも、終盤に再び前を追い上げて3位と僅差でフィニッシュ。4位という結果以上に成長を感じさせるレースを披露した。

「去年はあまり調子が良くなくて悔しい思いをしたけれど、いっぱい練習したので、今年は勝ちたいです。APGチャレンジでは、去年まで決まっていなかったセッティングがうまく決まって、とても気持ちよく走れました。今年のFP-Jr Cadetsで2年目なのは私だけなので、全部優勝したいし、それが無理でもチャンピオンを獲りたい。以前はバトルで引いちゃったりしていたけれど、今年は遠くからも抜けるようになりました。将来の目標はインディカーのドライバー。佐藤琢磨選手のように優勝して、世界一になりたいです」

フォト/小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ