2020年全日本カート選手権OK部門の注目選手たち

インタビュー カート

2020年7月22日

2020年の全日本カート選手権OK部門開幕戦には28台がエントリー。ルーキーからベテランまでさまざまな顔ぶれが揃い、チャンピオン獲得に向けて始動した。そこで今回、今シーズン注目を集めている選手をピックアップ。

 7月12日、静岡県・オートパラダイス御殿場で2020シリーズの開幕を迎えた全日本カート選手権OK部門。この国内最高峰のシリーズ戦には、今季も有望なルーキーたちが多数参戦してきた。さらに、かつて全日本のトップカテゴリーに出場していた選手も2名がカムバック、元気な姿を改めて披露している。

 そこで、2020シリーズOK部門の“注目の新顔”4名を、開幕戦・御殿場大会を終えてのコメントとともに紹介しよう。

■野村勇斗選手(のむらゆうと/14歳/EXGEL with MASUDA RACING)
タイムトライアル7位/第1戦予選24位/第1戦決勝11位/第2戦予選10位/第2戦決勝21位

 2016年にFP-Jr Cadets部門を、2017年にFP-Jr部門を制してジュニア選手権2部門を制覇。2019年には全日本FS-125部門のチャンピオンも獲得した“タイトルハンター”が、日本カート選手権4階級制覇を目指して、いよいよOK部門にステップアップしてきた。

 御殿場大会では、ウェットコンディションのタイムトライアルで28台中7位に。以降はアクシデントなどもあり思うような結果を残せなかったが、ところどころで光る速さを披露した。同じダンロップ・タイヤを履く朝日ターボ選手や皆木駿輔選手を超えられるかどうかも、今後の注目ポイントだ。

「第1戦決勝の後方からの追い上げは良かったけれど、第2戦はタイヤがキツくてどうにもなりませんでした。選手によってタイヤメーカーが違うので、グリップ力の差もあるんですが、タイヤをもたせるのが難しいですね。OK部門のタイヤはすごくグリップするので、前と離れていても抜けちゃうんです。そこはこのレースの見どころでしょうか。今年はチャンピオンを獲りたいと思っているんですが、今のままじゃ難しいんで、次の茂原大会までにしっかり準備してきます」

■荒尾創大選手(あらおそうた/14歳/BirelART RAGNO Racing)
タイムトライアル21位/第1戦予選18位/第1戦決勝12位/第2戦予選17位/第2戦決勝10位

 2019年の全日本FS-125部門では、タイトルこそ野村選手に獲られたものの、速さの面ではそれを上回り、リタイアした2戦を除くと4戦3勝という成績を残してシリーズ最多勝ドライバーに。粗削りなスピードがOK部門でも通用するか、興味を引かれる存在だ。

 第1戦の決勝では18番グリッドからグイグイと順位を上げ、11ポジションアップの7番手でフィニッシュ。フロントフェアリングのペナルティで結果こそ12位となったものの、鮮烈なスピードを最高峰の舞台でも披露。今後に期待を持たせるレースとなった。

「今回はタイヤの使い方の難しさもあったし、他の部門と違ってタイムトライアルの重要性も感じました。第1戦では順位は上がったけれど、フロントフェアリングが入ってしまいました。混戦の中でも対応力が必要ですね。OK部門はタイヤの使い方がうまいかどうかが結果に大きく表れるところが面白くてやりがいがあります。これから上に行くのに必要な力がつくレースだと思います。目標はシリーズチャンピオン。次の大会は気持ちを切り替えて頑張ります」

■遠藤照剛選手(えんどうしょうごう/22歳/Croc Promotion)
タイムトライアル16位/第1戦予選10位/第1戦決勝23位/第2戦予選5位/第2戦決勝4位

 22歳のルーキーはジュニア選手権や地方選手権を含め、今回が日本カート選手権初出場。とはいえ、遠藤選手は全国的にその名を知られた存在だ。数々のスカラシップレースや上級カテゴリーのレースで蒼々たる戦績を獲得。特にロータックスMAXチャレンジではジュニア/シニアを合わせて3度の国内チャンピオンに輝き、日本代表として世界チャンピオン大会にも出場した実力者なのだ。

 大きな注目を浴びた“MAXキング”のOK部門初挑戦は、第1戦で2番手を快走、第2戦でも同じブリヂストン・ユーザーの佐々木大樹選手を抑えて4位フィニッシュと大活躍、期待に違わぬポテンシャルを披露した。

「OK部門はMAXと比べて、難しいところと自分でも大丈夫なところがあるだろうと思っていました。難しかったのはキャブレターの合わせ方や、マテリアルの違いを分かった上でセッティングを合わせていくところ。一方、ワンメイクではないので、やれるところは多いですね。レースでは体力がもちませんでした。周回数が長いですから。MAXではキャブレターをあまり細かく突き詰めることはなかったんですが、走りながら開度を調整するOK部門の経験は、MAXにも役立つと思います」

■佐々木大河選手(ささきたいが/26歳/TEAM WOLF)
タイムトライアル24位/第1戦予選22位/第1戦決勝13位/第2戦予選22位/第2戦決勝18位

 2009~2016年に全日本カートのトップカテゴリーに参戦。優勝こそなかったものの、あと一歩でそこに手が届く活躍を何度も演じた。特に2010年のスーパーKF部門・茂原大会で、最終ラップまでトップを快走しながら突然のエンジントラブルに泣き、地面に突っ伏して悲嘆に暮れた姿は、今もカートファンの胸に焼き付いている。2019年は心機一転、全日本FP-3部門に参戦し、2勝(トップフィニッシュ3回)を挙げてシリーズを大いに盛り上げた。

 強豪ドライバーの最高峰復帰戦は歯車の噛み合わないレースに終わってしまったが、今後のレースには兄・大樹選手との兄弟対決にも期待がかかる。

「マテリアルの違いからうまく噛み合わない部分があって、土曜日からトラブルが続きました。とにかくタイムトライアルが良くないと、挽回のために取れる手段が少なくなってしまいますね。OK部門は純粋なスピードの魅力というか、FP-3部門とは違った面白さがあります。もう26歳なんでチャンピオン狙いとは言いづらいけれど、今年は最低でも1回か2回は勝ちたいです。僕は(2010年の)茂原のトラウマがあって、トップに立つと不安になって遅くなっちゃうんです。そのトラウマを払拭するためにも、ひとつ勝ちたいです」

フォト/小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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