TGR・WRCチャレンジプログラム再始動! 勝田貴元選手はエストニアから参戦再開
2020年7月14日
FIA世界ラリー選手権(WRC)に唯一の日本人としてワークスドライバー育成に挑戦している勝田貴元選手。WRCの再編日程の公開に伴いプログラムも再開されることが明らかとなり、WRC日本ラウンドを含め、今季は計8戦に挑む予定となったことが発表された。
開幕3戦を消化しながらも新型コロナウイルス感染症の影響で中断していた2020年のWRCが、9月4~6日のラリー・エストニアで再始動を果たす。それに合わせてトヨタの若手ドライバー育成プロジェクト「TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム」でWRCに挑む日本人ドライバー、勝田貴元選手のラリー活動再開が決定した。
2016年からTOYOTA GAZOO RacingのラリーチャレンジプログラムでFIAフィンランド選手権に参戦するほか、フォード・フィエスタR5でFIAヨーロッパラリー選手権やWRC2に参戦するなど、フィンランドを拠点にラリー活動を行ってきた勝田選手。
2018年にはWRCラリー・スウェーデンでWRC2クラス、2019年のラリー・チリではWRC2クラスを制すると、2019年のWRCラリー・ドイツではトヨタの主力モデル、ヤリスWRCをドライブして総合10位という記録を残したことは記憶に新しい。
この実績が高く評価された勝田選手に対してプログラムが強化されることになり、2020年のWRCにはヤリスWRCでの参戦が確定。欧州圏内のWRC7戦に加えて、ホームイベントでもあるWRC日本ラウンドを含めた計8戦に参戦することが発表された。
今シーズンのWRCでは、勝田選手は開幕戦ラリー・モンテカルロで自己最高位となる7位を獲得したほか、第2戦ラリー・スウェーデンでも9位完走を果たすなど順調な戦いぶりを見せていた。しかし、その後はコロナ禍により活動中断を余儀なくされていた。
この時の心境を勝田選手は「この大事なシーズンに走れないのは残念だし、この一年が今後のプランにどう作用するのか不安な気持ちもあります」と明かしていだのが、WRCの活動再開に合わせて、勝田選手のプログラムも無事に再開されることとなった。
まず勝田選手にとって活動再開後の初戦となるのが、フィンランドラリー選手権で、8月1日に開催されるコッコラ400ユホラ・ラリーにヤリスWRCで参戦することが決定した。
もちろん、WRCに関してもプログラムが再開される予定で、9月4~6日に開催されるWRCラリー・エストニア(グラベル)を皮切りに、10月15~18日に開催されるWRCラリー・ドイツ(ターマック)、10月29日~11月1日のWRCラリー・イタリア(グラベル)、そして11月19~22日に開催される予定のラリー・ジャパンの4戦にヤリスWRCで参戦する予定となっている。
勝田選手の活動再開に関して、プログラムを監修するTOYOTA GAZOO Racing WRTのトミ・マキネン監督は「WRCの2020年のシーズン再開が待ち遠しい。タカ(勝田選手)がラリー・エストニアに参戦するのは特に楽しみで、彼の経験と強さが活きるラリーだからね」とのこと。
さらにマキネン監督は「(彼にとって)年間を通してヤリスWRCで参戦するのは初めてなので簡単ではない。彼がヤリスWRCのスピード感覚を取り戻し、良い走りができるようにサポートしたい。そのためにも高速ステージが特徴のラリー・エストニアは重要な一戦になる」と付け加える。
活動再開に関して勝田選手は「延期されていたWRCがいよいよ9月から再開と発表されて嬉しいです。また当初は参戦予定にはなかったラリー・エストニアから参戦させて頂けることになり、チーム関係者の皆様に感謝しています」と喜びの心中を語る。
さらに「体調管理には引き続き十分に警戒しつつ、自粛期間中の走れない期間を利用して行ってきたフィジカル面の強化やeスポーツへの挑戦等の成果を出せるように励みます」とリアルラリー活動再開への意気込みを語った。
WRCラリー・エストニアは、WRCラリー・フィンランドのように高速ステージを中心に構成されていることから、フィンランドを拠点に活動する勝田選手には比較的に対応のしやすいイベントだと思われる。そして、WRCラリー・イタリアはフィエスタR5、WRCラリー・ドイツはヤリスWRCで参戦した経験を持つことから上位進出の可能性も高い。
さらに母国イベントとなるWRCラリー・ジャパンは、WRCのレギュラードライバーの中で唯一、2019年に開催された国際格式ラリーの「セントラルラリー愛知・岐阜2019」にヤリスWRCで参戦した実績を持つことから、少なからずアドバンテージがある。
世界選手権が軒並み中止となってしまった今シーズンの日本において、WRC日本ラウンドは日本で開催される今季唯一のFIA世界選手権となっている。そこで走ることが約束された勝田貴元選手は、ラリーファンだけでなく、日本のモータースポーツファンの期待が一身に集まることになった。まだまだ武者修業中の勝田選手。ヤリスWRCでトップクラスに挑む日本人ドライバーとして、シーズン再開後もその動向に注目したいものだ。
フォト/TOYOTA GAZOO Racing レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部
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