富士スピードウェイでスーパーGT公式テスト開催。GT500はホンダNSX、GT300はスバルBRZが総合トップ

レポート レース

2020年7月2日

新型コロナウイルス感染症の拡大ですべてのテストとイベントが延期となっていたスーパーGTシリーズ。しかし、ようやく6月27~28日に公式テストが富士スピードウェイにおいて無観客で開催。15台のGT500、28台のGT300、合計43台の車両が参加して2日間走り込んだ。

2020 SUPER GT富士公式テスト
開催日:2020年6月27~28日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)

 3月14~15日に岡山国際サーキットで行われた公式テスト以降、新型コロナウイルスの感染拡大で一切のテストとレースイベントの予定は延期となった。しかしようやく新たなレーススケジュールも決定し、7月18~19日に富士スピードウェイで開幕を迎えることとなった。

 直前に開幕を控え、6月27~28日に富士スピードウェイにおいて公式テストを開催。岡山のテストに続き無観客での開催となったが、3か月ぶりにGTマシンがサーキットを走り、貴重なデータを記録していった。

 今回のテストでは、GTアソシエイションから公式イベント開催に向けて示されたロードマップに従い、各チームでマスクやフェイスシールドの着用、場内での3密の回避、ソーシャルディスタンスを保つといった対策が取られた。またサーキット来場者には開催2週間前から検温と体調の問診を行い、入場ゲートでも検温を行うなど、徹底した新型コロナウイルス対策が講じられた。

 このテストには15台のGT500、28台のGT300、計43台が参加。一部の外国人ドライバーは各国の渡航制限のために来日できず、17号車「KEIHIN NSX-GT」のベルトラン・バゲット選手の代わりに金丸ユウ選手、39号車「DENSO KOBELCO SARD GR Supra」のヘイキ・コバライネン選手の代わりに山下健太選手が第3ドライバーとして参加した。

 27日のセッション1は、曇り/ドライ、気温25℃、路温29℃という蒸し暑いコンディションで10時にスタートした。まず開始早々に今季から導入されるFCY(フルコースイエロー)の訓練が行われたが、混乱もなくスムーズに進行した。車両の中には新たなカラーリングを纏ったものもあり、またGT300車両はこのテストからフロントウィンドウ上部にシリーズの大会冠スポンサーであるオートバックスのオレンジ色の帯が貼られたこともあり、従来とは異なる印象を受ける。

 セッション1では、マシントラブルなどでストップした車両があり、2回の赤旗中断はあったもののアクシデントはなく、終盤にFCY訓練を行い12時に終了。このセッションでは14号車「WAKO'S 4CR GR Supra」(大嶋和也/坪井翔組)が1分28秒482でトップ、38号車「ZENT GR Supra」(立川祐路/石浦宏明組)が2位、23号車「MOTUL AUTECH GT-R」(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が3位につけた。

 GT300では65号車「LEON PYRAMID AMG」(蒲生尚弥/菅波冬悟組)が1分37秒458でトップ、6号車「ADVICS muta MC86」(阪口良平/小高一斗/堤優威組)が2位、52号車「埼玉トヨペットGB GR Supra GT」(吉田広樹/川合孝汰組)が3位と、ブリヂストン勢が上位を占めた。

 午後のセッション2は、翌日午前の天気予報が雨ということもあり、予定を変更して13時40分~16時30分と2時間50分の枠で行われた。気温は29℃、路温も41℃と上昇。このセッション前にはFCY時の80km/hという制限速度を確認するキャリブレーションが実施された。

 このセッションでもマシントラブルのためにストップした車両があり、3回の赤旗中断があったが、大きなアクシデントもなく進行。セッション終盤にはクラスごとに10分間の専有走行枠が設けられ、100号車「RAYBRIG NSX-GT」(山本尚貴/牧野任祐組)が1分27秒870でトップを奪い、36号車「au TOM'S GR Supra」(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)、17号車NSXが続いた。

 GT300では34号車「Modulo KENWOOD NSX GT3」(道上龍/ジェイク・パーソンズ組)が1分37秒412でトップ。4号車「グッドスマイル初音ミクAMG」(谷口信輝/片岡龍也組)が2位と、ヨコハマ勢が上位に。3位は65号車AMGだった。

3か月のブランクがありながらも、ピットアウトした瞬間、すぐに感覚を取り戻すことができたという大嶋和也選手。その大嶋選手が駆るWAKO'S 4CR GR Supraがセッション1で1分28秒482と、GT500クラスでトップタイムを叩き出した。
GT300クラスはセッション1で次々とタイムが塗り替えられていく中、LEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥/菅波冬悟組がトップ。1分37秒458のタイムを出した蒲生選手は、久々のレーシングカーのドライブをとても楽しんだ様子だった。
セッション2終了間際に1分27秒870とタイムを大幅更新した、GT500クラスの山本尚貴/牧野任祐組のRAYBRIG NSX-GT。今年からチームに加わった牧野選手は「開幕ダッシュを決められるように頑張っていきたい」と語った。
道上龍/ジェイク・パーソンズ組のModulo KENWOOD NSX GT3がラストアタックを決め、GT300クラスのセッション2 のトップを奪取。「トップタイムで終わることができて本当に嬉しいよ」とパーソンズ選手がコメントした。

 28日のセッション3は予報どおりの雨/ウェット。予定は30分縮められ10時30分~12時で行われた。このセッションではほとんどのチームがレインタイヤの確認とセッティングなどを行った。雨の量は徐々に減り、セッション終盤には空も明るくなってきたが、100号車NSXが1分40秒147で前日のセッション2に続きトップタイム。38号車スープラが2位、14号車スープラが3位だった。

 GT300ではダンロップタイヤの11号車「GAINER TANAX GT-R」(平中克幸/安田裕信組)が1分47秒589でトップを奪い、55号車「ARTA NSX GT3」(高木真一/大湯都史樹組)が2位、96号車「K-tunes RC F GT3」(新田守男/阪口晴南組)が3位だった。

 午後のセッション4はこのテスト最後のセッション。14時20分のスタート時はまだ路面は濡れているところもあったが、ほとんどの車両がドライタイヤでコースインした。しかし開始直後にGT300の31号車「TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」(嵯峨宏紀/中山友貴組)が100Rでクラッシュを喫しセッションは中断。再開後、コースは徐々に乾き、各チームともロングランテストを行っていった。

 セッション終盤に8号車「ARTA NSX-GT」(野尻智紀/福住仁嶺組)が1分28秒059でトップに。37号車「KeePer TOM'S GR Supra」(平川亮/ニック・キャシディ組)、100号車NSXが続いてテストはタイムアップ。

 GT300では61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」(井口卓人/山内英輝組)が1分37秒379と今回のテストでのトップタイムをマーク。11号車GT-R、4号車AMGが続いた。そして16時25分からFCY訓練とセーフティカーのシミュレーションが行われ、2日間のテストは終了となった。

GT500クラスは前日のセッション2に続き、セッション3でもRAYBRIG NSX-GTが好調ぶりをアピール。ドライでもウェットでもしっかりタイムを出し、両コンディション下での調子の良さがうかがえる。
降雨の影響で走行に支障が出たセッションとなったが、GT300クラスは路面の水の減少を見計らってタイムを上げたGAINER TANAX GT-Rがトップ。ドライバーの平中克幸選手は「すごく良いテストがこなせた」とコメント。
セッション4を首位で締めくくったのは野尻智紀/福住仁嶺組のARTA NSX-GT。GT500クラスの総合トップとなった。「開幕に向けて良い流れでテストを終えられたと思います」と野尻選手。
GT300クラスのトップはSUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組。「2日間トラブルなく走ることができたのは、僕たちにとってすごく良い結果で、成長を感じることができた」と山内選手は好感触の表情だった。

 SUPER GTの開幕戦は7月18~19日に富士スピードウェイにおいて無観客で開催予定。18日はフリー走行、19日は予選と決勝を行うワンデイイベントとなる。今回のテスト結果がそのまま反映されるのか、それとも他の車両が巻き返してくるのか、シリーズ開幕を楽しみに待ちたい。

今シーズンから導入されるFCY(フルコースイエロー)システムの訓練の様子。FCYボードが掲示されるとコース全域での追い越しが禁止となり、上限80km/hの速度制限、また解除されるまでピットレーンに進入することはできなくなる。

フォト/© GTA レポート/JAFスポーツ編集部

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